第10話 VS 兎とオオカワウソの怪人②
「やっぱり俺っちを抑えにきたっすか。 スカーレッドキング! 今度は前の様にはいかないっすよー!」
「うさぁ? スカーレッドキング?」
「気にしないでスカー。 カラス女さんがカッコイイ感じの名乗りをあげたから便乗してスカンクもそう名乗っただけスカー」
「そう言う事なら仕方ないうさ! 行きましゅよ! 人間しゃん!」
グリーンの音波攻撃は、わざわざ抱えているエレキギターを鳴らさなければならない。
なので、ミニロップ女はグリーンに対して超接近戦を挑む。
スカンク男もグリーンの後ろへ回り込んで攻撃の隙を狙う。
「怪人二人相手は厳しそうっすねー。 それに、このちっちゃい子は兎さんっすかー。 じゃあ、こうすれば良さそうっすね!」
グリーンはミニロップ女をヒョイッと持ち上げ、顔をスカンク男の方へ向けて抱きかかえる。
ミニロップ女は脱出を試みるが、抜け出す事は出来ない!
「人質に取るとは卑怯スカー」
「いやいや、思いっきり攻撃してたじゃないっすかー。 それ以上動いたらナデナデ、モフモフしちゃうっすよー」
「ん? それなら別にいいスカー」
「その通りうさ! グリーンしゃんは武器を持ってましぇん! ミニーに構わず攻撃するうさ!」
「くそー! 卑怯っすよー! こんな小さな子殴れるわけないじゃないっすかー!」
「舐めないでくだしゃい! ミニーはこう見えても女幹部うさ!」
グリーンはミニロップ女を抱きかかえながら、スカンク男の攻撃から身をかわす事で、その戦いは引き延ばされていく。
その間に、大河尤鼠の戦っている方で戦況が動き始めた。
「なんなんだあのサイドステップ! まるで瞬間移動じゃないか!」
「落ち着いてブラック! 私は攻撃を貰い過ぎたけど、突破口が見えてきたわ!」
「そうだ! こちらの攻撃を躱し続けてると言う事は当たったらまずいと言う事!」
「私が囮役をするからみんな合わせて!」
「駄目だ! 危険すぎる! 囮役は狙われ続けてる俺が――」
「駄目よ! その役は私が一番適役なの! それに、レッドの攻撃力が一番高いんだから」
「くっ…… わかった! 必ず仕留める!」
「あんまり…… あんまり焦らすなよぉ。 でも、動きが鈍って来てるなぁ。 もうすぐだ、もうすぐだぁ、クククク……」
「レッドの事ばかり見てないで、こっちを見なさい! 化物!」
大河尤鼠が視線を向けると、そこにはピンクの変身を解いた姿がそこにあった。
「生身の人間じゃねぇかぁ! 引き裂かせろおおおぉぉ!」
大河尤鼠は溢れ出る涎も気にせず、ヒーロー達に目もくれず、物凄い勢いで変身を解いたピンクの元へと突っ込んでいく!
そこへブラックが横から入り、大河尤鼠の突進を食い止める!
しかし、大河尤鼠はブラックを押し込みながらどんどんピンクへと近づいて行く。
そこへレッドがヒートソードで斬り掛かり、イエローも輪っかの様な光線を腕に巻いて直接殴って攻撃を加える。
流石の大河尤鼠もこれにはダメージを貰う。
致命傷には至らないが、ブラックを突き飛ばしてヒーロー達から距離を取った。
「くそがァー! 目の前に生の人間がいるってのによぉ!」
「思ったよりダメージは少なそうね! でも、私達にはあれがある! 任せたわよ、レッド、イエロー!」
「ピンク? 何をするつもり? まさかあなた! やめなさい!」
ピンクは自分の手首をナイフ切り裂き、流血して見せる!
すると、大河尤鼠の目の動向が開き、完全にロックオンした状態に陥る。
またとんでもない勢いでピンクに突っ込んでくる大河尤鼠を先程と同じ様にブラックが間に入って止めるが、興奮している大河尤鼠の勢いは先程よりも増しており、いっきにピンクの元まで押し込まれる。
おもわず 「早くしてくれー!」とブラックが叫ぶと同時に、レッドが大河尤鼠へ光り輝くヒートソードを突き立てる!
「喰らえ! 大河尤鼠! 俺とイエローの合体武器! シャインニングソーーーーード!」
レッドのシャイニングソードは大河尤鼠の体を貫く! そして、引き抜きざま背中を切り刻んだ!
ついに大河尤鼠は大ダメージを負ってしまい、フラフラと崩れ落ち、膝をつく。
「いいなァその武器ぃ。 俺も武器さえあればお前達の血が見れるぅ。 くくくく……」
「レッド! 止めを!」
「任せろ!」
レッドが大河尤鼠にシャイニングソードを振り下ろそうと振り上げた瞬間、なんとシャイニングソードは砕け散って壊れてしまった!
「くそっ! シャイニングソードはまだ試作段階! 既に限界だったか!」
レッドとイエローが武器を失い、大河尤鼠は大ダメージを負ってはいるものの、その闘争心は未だ顕在。
大河尤鼠はゆっくりと立ち上がって、舌なめずりをする。
その時、どうにかグリーンの拘束から逃れたミニロップ女が大河尤鼠の背中に飛びつき、命令を下す。
「引き上げるうさ!」
「冗談じゃねぇ…… 今の今まで我慢して来たんだ! 帰りたきゃお前達だけで帰ってろ……」
「ミニーの命令は総督閣下のお言葉! 命令違反はすっごい怒られるうさ!」
「総督閣下の…… そいつはまずいな。 わかった、もう少し我慢する」
「逃がすものか!」
「追っては駄目よレッド! 思ったほどダメージは与えられてないみたい」
「そうだぜレッド、ここは痛み分けだ。 ピンクの手当ても急いだ方が良さそうだぜ」
「私の事はいい。 けど、武器がないままでは戦えないわ」
ミニロップ女達は乗って来た車に乗り込み、量産型戦闘員を一人召喚してから秘密基地へ向けて出発した。
その様子を高いビルの上から覗いていた泯府鉤爪が、引き上げていくヒーロー達を目で追う。
ヒーロー達も移動手段は車で、専用の特殊な車両を持っているようだ。
車が動き出すと、泯府鉤爪は音もなく飛び上がり、身に着けているドレスコートを広げて飛翔し、その後を追いながら報告の連絡を入れる。
「もしもし、今からヒーローの後を追う。 カーブでの減速具合からかなり重たいみたいだ。 色々な機材を詰んでいるはず…… こっちのデータを事細かく記録しているとなると、同じ怪人をぶつけても次には対策済みだろうね」
「報告ご苦労でごわす。 そのまま後を追い、有用な情報が入ったらまた連絡を頼むでごわす」
「了解」
泯府鉤爪は通話を切り、そのままヒーロー達を追って拠点らしき場所へと辿り着いた。
「海岸線沿いにある不自然に大きな施設。 それに、出迎えてるのは海軍の将官か。 なるほど、国防戦隊ってのはそのまんまの意味だったみたいだ」
泯府鉤爪は再び報告の連絡を行う。
「もしもし、ヒーロー達の拠点を特定した。 他にもあるのか分からないけど、あいつ等は国から補助を受けて活動している。 となると、別の攻め方も出て来る。 官僚はみんなお金スキーでしょ? 義援金なんかを使ってるとしたら、そこから付け入る隙が生まれる」
「それは総督閣下の好みではないと思うでごわす。 拠点を特定した以外に何か情報を得られそうでごわすか?」
「下調べもまだだし、今日いきなり潜入するのは厳しい。 今日の所はこれで引き上げ。 あと、大河尤鼠が深手を負ってるから手当の準備を整えておいて」
「ご苦労さんでごわす。 手当の件は伝えておくでごわす」
泯府鉤爪は通話を切り、秘密基地へと向けて飛び立った。
秘密基地へと辿り着いたスカンク男は、大河尤鼠をメディカルルームへと案内する。
ミニロップ女は報告をする為、うららの元へやって来たのだが、先に帰還していた泯府鉤爪によって、全て報告済みであった。
「ご苦労様! 報告の通りだとすると、同じ面子だと次は大河尤鼠が居ても苦戦する事になるかなぁ?」
「はい、ミニー達だけでは力不足だと思ううさ。 追加の戦力が必要でしゅ!」
「そうねー。 それじゃあ、チンパンジー博士と半藤入鹿博士がラボで武器とか作ってるから、相談して持って行くといいよ!」
「ありがとうございましゅ! 次こそはヒーロー達を仕留めてみせるうさ!」




