表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
猫耳はバレちゃいけない  作者: あしゅ太郎


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

7/53

心に灯るもの(1)


日が暮れて、街に灯りがともるころ。

俺たちは、駅前のちいさなレストランで飯を済ませて、夜風に吹かれながら帰ってた。


「……今日、楽しかったなー」


ぼそっと俺がつぶやくと、隣を歩く秦がちらりと横目で俺を見た。


「そうだな。……お前が笑ってると、俺も楽しい」


「っ……」


不意打ちみたいに投げられたその言葉に、胸がきゅうっと締め付けられる。

いつもの冗談めかした軽口じゃない。

まっすぐで、あたたかい声だった。


俺は、何て返せばいいかわかんなくて、ただポケットの中で手をぎゅっと握りしめた。


夜の空気は少し冷たくて。

それなのに、心臓のあたりだけ妙に熱かった。



---


マンションに戻ると、玄関の鍵を開けながら秦が言った。


「シャワー、先浴びろよ」


「……ん。ありがとな」


いつもの何気ないやりとり。

だけど、胸の奥がふわふわしてた。


湯船につかりながら、今日のことを思い返してた。


おこげに出会ったこと。

秦が、何も言わずに隣にいてくれたこと。

テラス席で、俺の手に自分の手を重ねてきたこと。


(……猫化してなくても、俺、秦のこと……)


そのとき、はっきり気づいた。


俺は、猫化してるときだけじゃない。

普通の、"素の俺"の心でも、秦のことが好きなんだ。


耳も尻尾もない、ただの俺でも。

秦に撫でられると嬉しくて、笑いかけられると、胸が跳ねる。


(ずっと……そうだったんだ)


それを、ようやく素直に認めた。


ふわりと、お湯よりもあったかいものが、胸いっぱいに広がった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ