にゃんとも騒がしいヒーローたち!?(2)
深月のラボに戻った一行は、仮想現実用のゴーグルを装着し、簡易的なセンサースーツを身にまとっていた。
「うむ、サイズもちょうどいい。まさか研究の合間に、こんなものまで開発していたとは……相変わらずだね、深月くん」
畑中は軽く伸びをしながら言い、ゴーグルの縁を調整している。
「最近の息抜きはゲーム開発だからな。あと、獣の耳の研究もな」
深月は端末にコードを入力しながら、にやりと笑った。
「今回はテストプレイも兼ねてる。“ラキネコ王国編Ver1.0β”。来人が猫化したときの行動データをベースに作ったNPCが登場する」
「は!?それ、俺聞いてない! 勝手にそんな……!」
パニックになる来人を尻目に、深月は「開始」のボタンを押した。
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光に包まれ、視界がゆっくりと変化していく。
気がつけば、畑中と秦は不思議な森の中に立っていた。背景にはファンタジー感あふれる木造の王国の塔、辺りにはきらめく蝶と光の粒が舞っている。
そして、木陰の奥からひょっこりと顔を出したのは──
「え、えっと……おふたりとも、助けに来てくれたんですか……?」
王国風の衣装を着た“猫姫・来人”だった。モフモフのしっぽに、柔らかな三角耳、少し上目遣いの瞳に、恥じらいの混じった声色。
「ッ……! なんだこれは……完璧じゃないか……!」
畑中の目が見開かれ、輝く。
「……ゲームだって分かってても腹立つな……」
秦はぎりっと奥歯を噛み、手元の剣を引き抜いた。
「ようこそ、勇者たち。猫姫・来人を救いし者には、王国一の称号と、彼のハートを与えましょう」
システムボイスが響いた瞬間、森の奥から魔獣たちが次々と現れた。
「第一ステージ、“王国の森”開始です」
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「来人くん、後ろへ! 僕がこの程度の獣たち、片づけてみせるさ!」
「お前ら、何マジになってんだよおおおお!」
「うるさい、来人は俺が守る!」
森の中、2人のバトルが始まった。敵は猫化を引き起こす魔獣「ミャオロイド」、攻撃方法はバカバカしいほどキュートなのに、動きはやたら早い。
「そっち行ったぞ! 来人に近づくな!」
「どきたまえ! そのスライディング、服が破れるだろうが!」
「それお前が一番ダメージ受けるやつ!!」
叫び声と剣戟音が入り混じる仮想の世界。その中心で、猫姫・来人は、耳をしょんぼり伏せながら呟いた。
「……なんで俺、救われる役なんだろ……」




