表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
猫耳はバレちゃいけない  作者: あしゅ太郎


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

41/53

耳出しデートと観覧車(5)

観覧車を降りるころには、園内はすっかり夜の色に染まっていた。ライトアップされた道を歩きながら、4人は出口へ向かっていた。


「……いや、やっぱ高いとこ無理かと思った」


観覧車を降りた直後から、秦はずっと頬を赤らめていた。


「でも途中から、ちゃんと外見てたじゃん。偉かったよ」


来人が隣を歩きながら、小さな声で言った。


「……来人が隣にいたから」


それだけぼそっと言って、秦はまた視線をそらす。来人は思わず吹き出した。


「なんだよそれ。俺も涼一と一緒ならどこにでも付き合うよ?」


その少し後ろ、白沢がふと隣を歩く深月を覗き込んで、ぽつりと声をかけた。


「なあ、今日……楽しかったか?」


深月は一歩前を歩いていた足をゆるめ、白沢の顔を見下ろすようにしてから、ふっと笑った。


「楽しかったよ。おまえが笑ってるとこ、いっぱい見れたしな」


「……そ、そんなん……俺は別に、そんな……」


目を逸らしてごまかそうとする白沢の横顔を、深月はどこか優しげな眼差しで見つめた。


「おまえ、テーマパーク好きなんだろ? もっと早く連れてきてやりゃよかったな」


「……べ、別に、誰とでも楽しいわけちゃうし……今日は、特別やったからやで」


「俺にとっても特別だったよ。大知と一緒に来られて、よかった」


小さく囁くように言って、深月はそっと白沢の肩に自分の肩を重ねた。


白沢は照れくさそうに、でも少しだけ誇らしげに、唇の端を上げて歩調を合わせた。


駐車場に戻る途中、4人はしばらく無言になった。静かに流れる夜風と、近くで虫の音が響いていた。


「なんかさ」


来人がぽつりとつぶやいた。


「こうして4人でどこか行くの、初めてだったけど……悪くないなって思った」


「うん。たぶん……今日のこと、ずっと忘れへんと思う」


白沢が珍しく小さく笑って、そう呟いた。


それぞれの胸に、今日という一日がゆっくりと沈んでいく。


車に乗り込む直前、深月が空を見上げてぽつり。


「また、どこか行こうな。4人で」


「今度は大知さんに計画してもらおうか?」


「えっ、ちょ、ま、またくじで当てたらなっ!」


笑い声と、夜風と、遠くで響くカエルの声。


帰り道。

夏の終わりに少しだけ近づいた秋の匂いが、ほんのりと車内に漂っていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ