表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
猫耳はバレちゃいけない  作者: あしゅ太郎


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

39/53

耳出しデートと観覧車(3)

「うわ、これめっちゃかわええ! 見て、ミツ! ひつじの帽子やって!」


「……被るのか?」


「そらもう! ていうか、ミツも被ってみ?」


売店で目を輝かせる白沢に、深月は渋い顔をしながらもおそろいの帽子を手に取った。


「……似合ってる?」


「うん、めっちゃかわええ……あ、いや、その、似合ってるって意味やで」


深月は帽子を外して白沢のうさ耳をそっと隠すように被せ直す。


「お前の耳は、今のままが一番かわいいけどな」


「っ……あ、アホ、何言うてんねん……」


「何が?」


とぼけるように笑って、深月は人混みの合間に白沢の手を取る。


「迷うなよ」


「……子ども扱いすな……」


「違う。これは、俺が離したくないって意味」


そう言われて、白沢は俯きながらもしっぽをふりふりさせていた。


---


ふたりで園内をのんびり歩き、たどり着いたのは「小動物ふれあいパーク」。

その中でもひときわ白沢が目を輝かせたのは、もちろん“うさぎコーナー”。


「……あっ、ミニレッキスや。しかもめっちゃ毛並みええ……!」


小さな柵の中、のんびりと草をはむうさぎたちに、白沢のテンションは急上昇。

すぐにしゃがみ込んで、そっと手を差し出す。


「こんにちはやで……今日はええ天気やなぁ。暑ないか?水分ちゃんととるんやで……」


なぜか完全に会話体でうさぎに話しかけている白沢。

深月はその様子を柵の外から腕を組んで見守りながら、ふっと笑みを漏らした。


「……なんか、実家の親戚んち帰った子どもみたいだな」


「なっ……ちゃうわ!真剣やねん!この子ら、ちゃんと目見て話聞いてくれるから……な?」


白沢がそっと抱いたネザーランドドワーフは、ぴくりと耳を動かしただけだった。


「……あ〜、うん。今の、ちょっと返事してくれた気ぃする」


「してねぇよな?」


「してるって信じるんや!」


その真剣な表情に、深月はまた笑いをこらえきれず吹き出す。


「……お前も耳出てるから、もしかして仲間意識でもあるのか?」


「ち、ちゃうわっ。俺のはケモ化由来で、彼らは自然の摂理で……!」


白沢が慌てて耳を隠そうとしても、今日は“見せたままOKデー”。

うっかり忘れてた、と慌てる白沢の横で、うさぎがぴょこんと跳ねた。


「……あっ、ちょ、今しっぽ踏んだ!うわっ、ごめん!ちゃうねん、敵意とかないねん!」


「……お前、うさぎとコミュニケーション取るの下手すぎね?」


「ちゃうわ!愛が先走ってるだけや!」


柵の中で転がる小動物、横で振り回される白沢、そしてそれを見守る深月。

ふと、その愛おしさが胸に込み上げてきて、深月はひとつ、静かに言葉をこぼした。


「……やっぱ、お前、動物界でもかわいい部類だな」


「なんやそのカテゴライズ!俺は人間や!」


「でも耳も尻尾も出てるしなー。違和感ないなー」


「ほ、ほんま、そろそろ帰り道でケモ化維持薬の効き目切れてほしいわ……!」


ぶつぶつ文句を言いながらも、白沢の手元ではうさぎがすやすやと目を閉じる。

それを見て、白沢もほんのり笑みを浮かべた。


「……ふわふわやな、こいつ。なんか、落ち着くわ」


「……俺のほうが、もっと落ち着ける自信あるけど?」


「なんやねん急に!」


「今夜、試してみる?」


「やめろぉぉぉ〜〜〜!」


ふれあいコーナーに響いた白沢の叫び声と、

その横で肩を震わせる深月の笑い声。


小さな命に囲まれたその時間も、

ふたりにとってはかけがえのない、愛おしい夏の思い出になった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ