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猫耳はバレちゃいけない  作者: あしゅ太郎


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24/53

2人のミツと、1人のパニック(2)

深月が沖縄に旅立ってから、数時間後――。


リビングでは、白沢がソファにぐでっと寝転びながら、テレビをぼんやり眺めていた。

そのすぐ向かいには、深月になりきった来人が、ぎこちなく座っている。


(くそ……この状況、無理ゲーすぎる……!)


内心で悲鳴をあげながら、来人は努めて平静を装う。

白沢にバレたら終わりだ。いや、バレたら深月に何されるかわかったもんじゃない。


「ミツー。喉乾いたー」


ぐでぇっとしたまま、白沢が甘えるように声を上げた。


(な、なんだこの距離感!!)


来人は軽くパニックになりながらも、精一杯"深月っぽい"無愛想な声を作る。


「……水、そこにあんだろ」


「えー、取ってよ~」


(無理だろッ!!)


来人は叫び出したい衝動を必死に押さえ、ロボットのような動きで冷蔵庫からペットボトルを持ってくる。

白沢はそれを受け取ると、にこにこと笑った。


「おおきに。……ミツ、最近やさしいな」


「………そうか?」


(あああああああああああああああ!!!)


心の中で頭を抱えながら、来人は汗をだらだら流していた。


***


数十分後。


「ミツ、一緒にゲームやろー」


「い、いや、俺、忙しいし……」


「ちょっとだけでええやん~」


白沢は甘ったれた声でぐいぐい迫ってくる。

ついには、ソファの隣にぴとっと体をくっつけてきた。


(ちょ……近い近い近い!!)


耳まで真っ赤になりながら、来人は震えた声を絞り出す。


「わ、わかったから、離れろ……!」


「なんやねん、照れてんの?」


(無理です無理です無理です!!!)


白沢は悪びれもせず、来人(深月Ver.)にぺたっと寄りかかった。

来人は頭から湯気が出そうになりながら、ゲームのコントローラーを無理やり渡して、誤魔化そうとする。


だが、運命は容赦なかった。


ふと、白沢がじっと来人の顔を見つめたのだ。


「なぁ、ミツ……なんか、今日、ちょっと違う気ぃすんねんけど」


――――終わった。

来人は、心の中で崩れ落ちた。


(バレた……ッッッ!!!)


絶望のどん底に叩き落とされながら、来人は必死に言い訳を捻り出す。


「……気のせいだろ、今日、ちょっと寝不足なだけだ」


「うーん……」


白沢は首をかしげたまま、なおもじっと見てくる。


来人は、これ以上は無理だと悟った。

だがその時――


「……まぁ、ミツならええか」


と、白沢はふにゃりと笑って、またぴとっと来人に寄りかかった。


(え、そこ信じるの!?)


心臓が止まりかけた来人をよそに、白沢は幸せそうな顔でくっつき続ける。


こうして、ギリギリのバレ未遂劇は、なんとか幕を閉じたのだった。


……少なくとも、この夜は。

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