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猫耳はバレちゃいけない  作者: あしゅ太郎


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23/53

2人のミツと、1人のパニック(1)

「……ちょっと、兄貴。これ、何?」


来人は不機嫌そうに眉をひそめ、指先で奇妙な装置をつついた。

銀色に光る小型機械の中央には、小さな画面と、見覚えのある自分の顔――いや、深月の顔が表示されている。


「あー、それ? ものまね装置。なりたい人の写真を読み込ませたら、その人の姿に変身できるんだ」


「なにそれ……なんで俺が兄貴になってんの!?」


「イタズラ心ってやつ?」


深月はまるで悪びれた様子もなく、肩をすくめた。

隣で腕を組んでいた秦も、呆れ顔でため息をつく。


「早く戻してやれよ」


「んー…」


どうも歯切れが悪い。


「そう言われると思った~。だから今、そのための材料集めに行くとこ」


「どこに?」


「沖縄」


さらっと言い放った深月に、来人と秦は同時に叫んだ。


「はぁ!?」 「沖縄って、そんな簡単に……」


「必要な材料、向こうにしかないんだよ。サガリバナって知ってる? 夜咲いて、朝には散る、幻の花。あれが必要なの」


深月は軽く説明すると、小さなリュックを背負い、タクシーを呼び出していた。

白沢には何も言っていないらしい。


「で、俺たちには何を……?」


「深月のフリして大知をごまかしといて。頼んだ!」


そう言うなり、深月はタクシーに飛び乗り、あっという間に走り去ってしまった。

呆然と取り残される来人と秦。


「……おい。マジかよ」


「深月のフリって……よりによって、俺かよ……」


来人は深月そっくりの姿のまま、頭を抱えた。

この状況、果たして白沢にバレずに乗り切れるのか――

嫌な汗が、じわりと背中を伝った。


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