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ふたりだけの秘密(2)
「で? これ、抜け毛? それとも換毛期?」
仕事帰り、居酒屋の個室。
秦はにやにやしながら、俺の袖を引っ張ってきた。
かすかに生えた白毛を、指でなぞる。
「や、やめろって……!」
肩がビクッと跳ねる。
体に走る、小さな電気みたいな感覚に――
俺の頭の上、ぴょこんと白い猫耳が飛び出した。
「……あー。やっぱ出たな」
「だから触んなっつっただろ……!」
思わず涙目で睨む。
秦は楽しそうに笑った。
「可愛いから、いいじゃん」
ふざけんな。
真顔で言うな。
耳まで熱くなるだろうが。
案の定、感情が高ぶったせいで――
腰のあたりから、ふわりと白い尻尾が出現。
秦はそれを見て、さらに目を細める。
「……責任取れよな?」
「は?」
「俺にしか、見せないって決めたから」
耳元で、低い声が囁かれる。
思わず、ビクリと体が跳ねた。
――こうして、
俺と秦だけの、甘ったるい秘密が始まった。




