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猫耳はバレちゃいけない  作者: あしゅ太郎


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14/53

――そして、うさぎ男が爆誕した。(4)

それからというもの、白沢大知と冬崎深月の同居生活は、なんだかんだ言いながらも続いていた。


「なぁミツ。今度、でっかい耳かき買ってこーへんか? 耳のメンテしてや」


「誰が耳かき要員だ。勝手に決めんな」


「頼むわー、自分で耳掃除するのムズいねん」


「……して欲しいなら、土下座して頼めよ」


「アホか!」


軽口を叩き合いながら、掃除や洗濯を分担し、スーパーで一緒に買い物して、飯を作って、酒を飲んで――

ごく普通の、だけど少しだけ変な「同居生活」。


日中は、さすがに仕事に支障が出るため、弟・来人にも渡した、ケモ化を抑える飲み薬を白沢も服用している。


だが、家に帰ってきたあと白沢のうさ耳は、基本的には白沢自身のメンタル次第で出たり引っ込んだりする。


リビングでふたりでゲームしてるときなんかは、大抵、ぴょこんと可愛く飛び出してしまっていた。


「おい、耳出てんぞ」


「うっさいわ、ほっとけ!」


顔を真っ赤にして耳を押さえる白沢を、

深月は毎回ニヤニヤしながら眺めていた。


――はず、だった。


だけど。


(……なんだろう、最近……)


ソファで隣に座る白沢を、つい、目で追ってしまう。


ゲームのコントローラーを握る手とか、

無防備に笑う横顔とか。


ちょっとした瞬間に、胸の奥が、ぐっ、と熱くなる。


(……は? 何考えてんだ俺)


自分にツッコミながらも、

この感覚はもう、誤魔化せなかった。


イタズラで巻き込んだはずだったのに。

実験台として軽く扱うはずだったのに。


――気がつけば、白沢の全部が、どんどん愛おしく思えてきていた。


---


「……なぁ、ミツ」


ある夜、ソファでごろ寝しながら、白沢がぽつりと呟いた。


「なんだよ」


「最初はムカついたけどな。お前のせいでこんな体になったこと……」


深月はビールを口に運びながら、白沢の言葉を待つ。


「でも、今は……まぁ、これも悪ないなって、思ってる」


白沢は、わざとそっぽを向いて言った。


「……ちょっとだけな」


うさ耳が、ぽそっと、嬉しそうに揺れた。


「そっか」


深月は、心臓が跳ねるのを誤魔化しながら、そっけなく返した。


それ以上、何も言わなかった。


けど――


(……俺もだよ、バーカ)


心の中では、誰よりも強く、そう思っていた。


---


次の日。

朝起きたら、白沢が深月のベッドに潜り込んでいた。


しかも、耳ぴこぴこ、甘えモード全開で。


「……おい。どこで寝てんだ」


「さみしかったんや。……責任取れ」


「取るか、アホ!」


ベッドの上で、じゃれあうように揉み合いながら、ふたりの距離はまた、ちょっとだけ縮まった。




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