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猫耳はバレちゃいけない  作者: あしゅ太郎


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13/53

――そして、うさぎ男が爆誕した。(3)

夜――。

深月の家のリビングは、ソファとテーブルの上に置かれた食べかけのピザ、それにビール缶が散らばるという、完全なダメ人間空間と化していた。


「……やっぱビールはうまいな」


深月はソファにだらんと座り、缶を軽く振る。


「せやな。けど、こんなダラダラした夜、久しぶりやわ……」


白沢も隣に座って、同じくビールを煽る。


耳は、なんとか引っ込んでる。

今んとこ、落ち着いてる。


――ただ、だ。


(……妙に、心細い……)


普段、仕事場ではどっしりしてる白沢だが、なぜか今、胸の奥が妙にざわついていた。


気づけば、ちら、と隣の深月を見てしまう。


「……」


深月は無防備に眠そうな目をして、缶を手でくるくる回している。


――なんやろ。

こいつ、昔からこんな奴やったっけ?


白沢はふいに、そっと深月に寄りかかりたくなった。


(……俺、どうかしてるわ)


頭ではそう思っても、気持ちは逆らえない。


ふらりと体が傾き、気づけば、深月の肩に頭を預けていた。


「……おい、大知?」


「……ちょっと、だけや。……ほっといてくれ」


低くくぐもった声で言う。

耳が、ぴょこっと一瞬出たけど、もう気にしてられへん。


深月は一瞬驚いた顔をしたあと、ふっと笑った。


「……しょうがねぇな」


ぽんぽん、と白沢の頭を軽く叩く。

それだけで、妙に安心する。

心臓のバクバクが、少し落ち着いた。


(……なんでやろ。……こいつの匂い、落ち着く)


白沢は目を閉じて、小さく息をついた。

そのまま、ウトウトと意識が遠のく。


「……やれやれ。まさか大知がこんな甘えん坊だったとはな」


深月のぼやきも、もう聞こえなかった。


---


翌朝。


「――おい、大知、起きろ。朝だぞ」


「ん、んぁ……」


寝ぼけた白沢が顔を上げると、深月の顔がすぐ目の前にあった。


「うおっ……!?」


思わず飛び退き、ソファからずり落ちる。


「おま……! なんで顔近いねん!」


「お前が俺に抱きついてきたんだろーが。重かったわ」


深月はゲラゲラ笑いながら言った。


「し、知らんわっ!」


真っ赤になって怒鳴る白沢。

耳がぴょこぴょこ揺れている。


「ほら、朝飯作ってやるからさっさと顔洗ってこい」


「……わ、わかったわ!」


言われるまま、白沢はばたばたと洗面所に駆け込んでいった。


深月は、その背中を見送りながら、缶コーヒーを一口飲む。


「……まぁ。これはこれで、悪くねぇか」


ぽつりと、誰にも聞こえない声で呟いた。


そして今日もまた、二人のにぎやかな一日が始まる――。

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