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悪夢の夜に  作者: 赤さん
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第1節 7章 逃亡編Ⅱ

「助かった。ほんとに助かったで!」


「それより、あれを連れてきた人物は?」

「最近、奴隷商の連中が何やらおかしな奴隷を運んどる用で、ああして魔物を引き付けるんですよ。全く死んでもやらなきゃいけねえ仕事なんてあるんですかねえ。」


源二はその言葉に一気に心を締め付けられる

奴隷が魔物を呼び出す?

確かに奴隷は格好の得物であるから魔物には狙われやすい。だが、それ以上に彼はいま最近奴隷が魔物を寄せ付けるといったのだ。


これまでのことを考えれば確かに不思議ではない。

召喚者の生存と、勇者の言っていた魔法を扱える奴隷の存在。それだけではない。よくよく考えてみれば、諸侯が叛逆した時あれだけの魔物を操っていた人物が、他国の人間が間接的に情勢を変化させるほどの力が一人に委ねられるモノなのだろうか。

思いもしなかった一言に思考の世界に浸ろうとする意識に喝を入れると、ふたたび緑の景色が飛び込んでくる


「兄ちゃん?大丈夫か?」

「ああ。」

「兄ちゃんみてえな強い人でも、奴隷に興味あるんやな。」


「なあ、魔法を使う奴隷を知らないか?」

「兄ちゃん。命を救ってくれたアンタだから言いますけど、そいつぁ関わっちゃいけませんで。」


明らかに声色が変わる


「というと?」

「あれは、奴隷とは言わんのですわ。ピラー、人柱や。」

「人柱?」


「ああ、強制的に魔法の能力を引き上げて、強力な魔法を使えるようにした奴隷を秘密裏に売る。魔法によっては反動が大きい物や、魔力の消費が著しいものもあるもんで、金持ちは密かに持ってるって噂や。

あんなもんつこうもんなら、二度とおてんとさんに顔向けできねえひでえしろもんだ。

もちろん、見たわけやない。あれはわいみたいなやつが入っていい領域じゃないんや。」


「それは何処にいるんだ。」


「奴隷都市って言われてる名もない街で、あそこじゃウィンフリートもエイレーネの目も届いちゃいないんや。」


源二達は森を抜けると、街へと入る。ここはウェルマーの言っていた奴隷を扱う都市ではないのか、そういった雰囲気は感じ取ることができず、ウェインフリートのギルドも目に飛び込んでくると、どこかなつかしさと恥ずかしさに避けるように街を歩いていた。


ウェルマーの依頼完了の報告の為、ウェインフリートやエイレーネ程整ってはいないが、立派な街に入るととある待合室で源二は待たされていた。

やがてドアが開くと、商談が上手くいったのかすっきりした顔でウェルマーが入ってきた


「お陰様で、無事に商談が成立しましたわ!おおきに!」


笑顔で源二の向かいへ座ると、二人分の茶を出す。


「そいで...気になることがあるんやけど。」


再び突然声色が変わると、ウェルマーは源二のフードの下に潜む双眸を見据える


「先日、神聖エイレーネである魔法使いが殺されたそうや...

なにやらとんでもない奴らしく、今でもその死体を探しあてれば帝国からぎょーさん金がもらえるんやて。

その魔法使いは勇者に殺され体中に聖刻っちゅう傷が刻まれて、左の腕がないんや...」



源二はその刹那、何処からともなく槍を出現させ男の喉元へ突き立てると、凄まじい力の抑制により穂先が音を立てて唸る

男はその穂先から逃れるように顎を上げるが、その姿はむしろ首を差し出すようにも見える


やはり、頼み事など受けるべきではなかった。迂闊だったと反省した。

今すぐに自分を殴りたい。だが今すぐ目の前の人間を殺し、逃げることができれば、情報だけは聞き出せた。一人でもその奴隷街というところまでたどり着けるはず。二国の目を欺けることができるはずだ。



「待て!待ってくれや!

でも、わいはあんたを売ったりはせん!わいは命を救ってくれたあんたを裏切ったりはせん!」


ウェルマーは立ち上がると、槍の穂先を気にせぬように少しだけ前に出る


「どうせ、このまま行っても小さい商会のまま。わいはあんたに賭ける!」


源二は一瞬懐疑的になるが、目の前にいる男の行動を見ればそれはある程度信用できた。

それに、自分を本気で売るつもりだというならば、恐らく聞かされたのは商談の時。ならば、自分に知らせる前に兵を突入させることもできたはずだ。


少年はそっと武器を下ろすと、ウェルマーも胸をなでおろすと男は椅子に勢いよく座り、自分が入れたお茶を流し込む。


「こんなんもう勘弁してくれや?命がいくつあっても足りんわ。」


「そいで、兄ちゃん。名前を聞いてもいいか?」

「ゲンジ」

「ゲンジ。おおきにな。ゲンジさん!

それで、ゲンジさん。なんでピラーを探してるんや?」


「そこに、探したい人がいる。」

「なるほど...」

「止めないのか?」


「もうなりふり構っちゃいられん。どこまでもやりますわ。」


人を疑り深く見ることになれてしまった自分になぜそこまでしてくれるのかは源二にはわからない。だが、これまでのことを考えれば好意は素直にもらっておいた方がいいのか、少し悩んでいた。だが、それ以上に目の前にいる男が本気だということは理解できたのであった。


「行こう。」

二人はそそくさと街を出ると、奴隷外へ向かう


揺れる荷車の中、辺りを見回すと街に近づいたのか他の商人の荷車も見え始める

人身売買という普通じゃない商業を生業としているだけであってやはり周りの人間とは違う暗さを感じさせる。

やがて街へたどり着くと、。何かその街の光景は妙な暗闇を孕んでいるような気がした。


「ここが奴隷街や。」


ウェルマーと源二は街の中央にむけて歩き出すと、中央でセリにかけられている。

檻に入れられた魔物が雄たけびを上げ、暴れまわると周りをかこっている者たちも楽しそうに叫ぶ

見たことあるような声と、挙手。それに呼応するように台上の人物が値段を上げる。


人々の視線はどこか狂気を孕んでいて、目が据わっているような隙を見せれば今にも喰われてしまいそうな恐ろしさを感じていた。


源二はウェルマーに連れられ、その場を離れる


「この街は秩序がないんや。そういうところには大体外様に厳しいように裏で牛耳っとる奴がおるもんだから、あんま目につかん方がええんや。

ここは表向きには魔物や動物を売買するってことになっとるんやけど、こうして少し裏に入れば...」


路地を曲がると、檻に入れられた人間、亜人が居た。

源二は檻に入れられたもの達へ目を遣る

枷に繋がれた奴隷は惨めな麻布の布切れを着せられているが、泣いたりすることもない。


「あれは、ピラーじゃない。あれはこんな堂々とは売られないんや。

あの奴隷は女の子やからどこかの娼館に買われるんや。」


「奴隷って貴族だけの物じゃないのか。」


「そういうのもある。それこそ魔法が使えたり、稀な血統なんかは特別な市場に出される。

ああいう普通の奴隷は地方の貧しい村から売られ、男も女も種類は違げぇが体で稼ぐんや。」


源二は壇上に立たされている自分と同じような年齢らしい女の子の姿を捉えると、その場を立ち去った

奴隷という存在自体、見るのは辛いはずだった。だが、今の少年にはそんな感傷に浸る余裕はない。あるいは、消失してしまったのかもしれない。


「ゲンジさん、奴隷を見るのは初めてなんやろ?」

「ああ。」

「ずいぶんと落ち着いてるようやな。」

「いや、そんなことはない。あまりいい気分ではない。」

「そりゃそうや。でも、これが奴隷ってもんや。」


二人はさらに奥へ進んでいくと、立派な扉の前で立ち止まる

ウェルマーは扉を叩くと、中から小窓を開け二人を見つめると、ウェルマーは言われるがままに商人の証明証なのか何かを手渡すと、次は大きなドアが開いた。

二人は中へと入ると、そのまま奥のホールのような場へと足を進める


「ここが、ピラーや貴族向けの奴隷の売り場や。わいも来るのは初めてや。」


そういわれた途端、台の上に枷に繋がれた人物とそれを引っ張る人物が現れる。

壇上に現れたのは再び少女、それも獣人だった。

それに合わせるように、その少女の紹介がされると再び競りの要領で進行していく

その様子に恐怖したのか、泣きわめく少女が泣き出すとその様子に薄笑いを浮かべる


「それになんと!この少女は低位でありますが火属性魔法も使えます!近くに付いていれば旅の最中に暖を取らせることも容易いでしょう。」


その一言に一層会場は盛り上がり、値段が跳ね上がる


「悪趣味すぎる。」

「同感や。これならまだ普通の奴隷のほうがマシってもんや。」


しばらくその様子を見ると、とある女の声が耳に届く


「アタイが買った。」


その声に静寂が訪れると、それ以上値段を上乗せする者はいなかった。


やがて買い手が決まり、少女が舞台裏へ引っ張られていくと会場を後にした。


「さっきの女は?」

「恐らく、調教師の類や。どこの所属かはわからねえがああやって魔法使いは調教師の元へ運ばれると、二度とまともな人間じゃいられねえ。」


源二は再び振り返ると、かすかに女と目が合ったような気がした。



その後も源二達は何日も何日も召喚の魔法と人柱の手掛かりを探していたが、何も見つけることができなかった。



「ゲンジさん、一度人柱になったらもう長くはねえ。悪いことは言わねえ、あきらめたほうが良い。」

「正確には追っているのは人じゃない。魔法だ。」

「魔法?」

「召喚魔法。」

「聞いたこともねえ...」


源二は苦悩の表情を浮かべる


「ゲンジさん、今日はもう休みましょう。」


ウェルマーはそういって先を歩き始める

源二はいつもその様子を立ち止まったまま見ていた


しかし、数日かけて捜索しただけあって多少これで状況がだいぶ整理できた。源二は心の中で呟く。

調教師という存在は流れてきた魔法使いを調教し、強大な魔法を使わせるようにする。洗脳の類なのだろうか。

そこから調教師を抱えている貴族や団体に奴隷が渡ることで、人柱として扱われる。

召喚の魔法の行使を行ったのもそういうことであれば合致する。

勇者の件とツバキのことも踏まえて考えると、ピラーを扱っている国は神聖エイレーネの可能性が高い。


源二は思考の世界に入り込んでくるとその中を僅かに土を踏む音が聞こえてくる。


それだけではただの音、通行人に過ぎないがその雰囲気はどこか静けさを狙っているような。まるで何かに気づかれないために近寄ってきているようなそんな気配を確かに感じ取っていた。



源二はその音により一層集中すると、一つだけではなく複数存在することに気が付く。


そう、こうなるはずだ。商人の間に俺の存在が知られているなら俺の方から探す必要はない。


商人は正確に言えば俺のことじゃない、俺の死体を探していた。

ここ最近の街を見る限り奴隷商の間ではまだ俺の存在は知られていない。

ならば一番最初に知られるのは...エイレーネにゆかりのある奴隷商、あるいは...



その刹那、源二に向かい何者かが飛び込んでくる

しかし、その攻撃は当たることなく源二の姿が闇夜に消失する。

飛びついてきた男の後ろからさらに一気に飛びつき、首を絞めるように足で羽交い絞めにすると初めて男の声らしき苦悶の声が腕を通して伝わる

すかさず、用意していたナイフで喉元を掻き切ると鮮血が飛散する

その姿に驚くことなく次の人物が源二に急迫するが、攻撃が当たることはない。

源二の姿は闇夜に消え、消失したかと思ったらナイフの先が背中から心臓を串刺しにする。


「クソ!」


さらにもう一人の男が源二にナイフを投げるがそれも当たることはなく壁に突き刺さる

少年はすぐさま間合いを詰めると、投擲によって伸びきった腕を可動域の反対方向へ衝撃を加えると、鈍い音が弾ける

そのまま人差し指を立て、体の上を通過するように勢いよく振りぬくと男の身体が切り裂かれ鮮血が飛び散る

しかし、その鮮血は地面に落ちることなく複数の棘を形成しさらにその後ろにいる人物の腕を翳めると、源二は右腕を首に回す


「なぜここに来た。」

「クッ!」


再び鮮血が腕の肉を削ぐと苦悶の声が喉を震わせる


「そうか。」


源二は腕を緩めると鮮血の糸の一閃を浴びせようと目前まで迫る

「わかった、わかった。別にお前を殺そうってんじゃねえ!お前を攫ってこいって言われたんだ。」

「攫う?」

「お前がどんな魔法を使うのかはわからねえ、だが物好きな女がお前を奴隷にしたがってる」

「俺を?」

男は頷くと、少年は容赦なく眉間を貫くと力なく倒れていった


流石に大きな物音に起きたのか、ウェルマーがこちらを驚きの表情で見ている。

血の滴りが静寂の中に存在感を表していた


やはり、この奴隷街はエイレーネと深い関わりがある。

かといって今ここにいる男まで危険にはできない。

せっかく作ってくれた勇者の好機を無下にして、現状確認できる召喚魔法の使い手を危険な目には合わせられない。

すると、できることは一つ。


「ウェルマー、頼みがある。」

「なんや?」

「俺を、あそこに出してくれ。」

「あそこって、奴隷市にですかい!?」

「そうだ。」

「なんでや!?」

「俺の身体は希少性が高い。すれば、然るべき人物にたどり着く可能性がある。

どちらにしたって普通の商人と関われば、俺を血眼になって探している。

独自の情報網のみを使ってる奴隷商とこの街だけが今の俺の頼みの綱だ。」


「わかってるんですかい!?戻ってこれないんやで?」

「ああ、だがそれ以上に。俺は探したい人物がいる。」

「でも、ゲンジさんが奴隷にされちゃ元も子もないで!」


「現状、調教がどのように行われるかはわからない。」

「とにかく、この街にいてもやがて多くの者が俺を殺しにやってくるだけだ。

まだ一部の人間しか知らないうちに敵の喉元へ入り込む。」


確かに洗脳の魔法などそういった類のものがないとは限らない。

しかし、自分を買いたい女がいる。女というだけではこの街にも多い、探し出すほうが難しい。

だが、こちらにも闇の魔法がある。

ここに来るまでいくつも体を裂かれ、意識をかき消されるような痛みや苦しみに襲われるたび、意識が強制的につながるのを感じた。


すると、注意すべきは洗脳。

自分の知っている洗脳は純粋な強制力じゃない、じわじわと心の根幹を捻じ曲げていくものに近い。

現時点では途切れたものを強制的につなぎ合わせているという感覚に近い闇の魔法で、どう対応するか...


いや、むしろ最初から意識が途絶えていたらいいのでは...

いくら意識がつなぎ合わせられるといってもしばらくの間起きないということは容易にあった。

自分の保有している魔力、この世界に来てから自分の中に空腹感、満腹感を感じるような感覚に似た何かが確かにあった。

今はその満腹感に近い、満たされた感覚。

先の戦闘で少しの消費はあったが、すぐに満たされた感覚を感じていた。

だが、瞬時にかつ悟られることなく大量の魔力を消費しきることは難しい。


そしてもう一つ、意識そのものの存在を許さないダメージを負う。

もちろん自分は不死身というわけではない、当然死ぬ。

だが、本来であれば即死とされる損傷を負ったとしても、それが現存の魔力量で回復不可能な損傷でない限り元から蓄えられている魔力量でゆっくりと回復していく。

意識はなくとも。あるいは意識が途切れたからこそ魔力を蓄えていたものが零れ落ちていくから元から持っている効力が効くのか...



それか、源二は軽く体を擦るとスッと指が流れていく中にごつごつと隆起した皮膚を一つ二つと感じる。

それかこの聖刻という治らない傷に似たものがあれば...


でも、これしかない。


まだ源二が奴隷になる前、エイレーネの王宮では現在王宮にいた篠原とラインハルトと向き合っていた。

篠原はその状況に強い腹痛を抱く

というのも、今彼女の脳裏に過っているのは先日聞いた源二の凶報しかなかった。


「源二という少年の発現させた魔法についてまだ説明をしていなかったこと、謝罪しよう。」


男は軽く頭を下げると、再び篠原たちに向き直る


「今から100年前、この世界は魔族という異形の者と人類とが争った時代があった。

我々は主に光の魔法を操り、魔族は闇の魔法を操っていた。

源二というものが発現させた魔法はその闇の魔法に当たる。

で、あるが故に彼をこの国にとどめておくことはできなかった。


だが、それもただ使う魔法が異なるというだけの些細なこと。我々の国の為に召喚されたあなた方をそのような因縁に巻き込むことは皇帝として無念の極み。

光の魔法の代償について覚えているだろうか?」


「精神の消失...」


ラインハルトは軽く頷く


「その現象が闇の魔法にも当然存在する。だが、闇の魔法はそれだけではない。身体の消失も伴う。」

淡々と今まで公表されていなかった闇の魔法に関する情報が語られていくと、篠原の顔が一層暗くなっていった。


「大戦時代、狂戦士と呼ばれる存在がいた。その者は人種の闇の魔法使いだった。

先に話した通り、人間にも闇の魔法使いはいた。だが、再生はできても痛みは生じる。

その痛みでほとんどの者の気が触れてしまうのも稀ではなかった。

だが、狂戦士は痛みなど感じる素振りもなく自分の身体を一つの剣として戦い続けた。それが、人の道を外れることになろうとも。

我々は人類の為に戦い続ける者がその責務を全うする程、人ではなくなっていく者を座視してはいられなかった。それ故に、ヒト種の闇の魔法はその苦痛を与えられる前に殺すことが、我々にできる数少ない贖罪なのだ。」


篠原はこれから言われることの内容を容易に想像できたことと、やはり先日メイドが言っていたことが本当であったのだということの証明として感じられ、息をのむ


「篠原殿、これを。」


ラインハルトは布に包まれたモノをラインハルトから手渡されると、視線を送り、男が浅く頷く

布をゆっくりと開いていくと、そこには変わり果てた傷だらけの腕がくるまれていた。

惨い友人の、幼馴染の姿に一同は戦慄する。あまりの衝撃に嘔吐することはなかったが全員が息をすることを忘れていた。


「源二殿は、死んだ。理解しろとは言わない。ただ、彼のためにも我はこの選択をしたことを間違ったとは思ってはいない。

その腕は、教会が管理する。ご学友のことも考え、誰が討ち取ったかはあえて伏せさせていただきたい。

源二殿の報告を召喚者たちにするかは、貴方に貴殿に一任する。」


ラインハルトはそう告げると、部屋を後にした。


「そうだ。この世界に闇の魔法使いは要らない。二度と、あんなことはさせん。」



首に当たる鋼鉄、冷気が身体の骨身に届く。

肌を覆う麻布のような感触はまさに必要最低限といった印象で、鈍い光を帯びる傷も僅かに見えている

失った左腕にはないが右の腕は枷をかけられ、背中の後ろで鎖を縛ることで体を自由にさせなくさせていた


「いいんですかい、源二殿。」

「いい。」

「ほんまにほんまか?」

「俺なら大丈夫だ。」


源二は大きく息を吸うと心臓の鼓動を感じる

呼吸が時を経るごとに早くなっていくと苦笑いを浮かべる



「ほんま堪忍な...」


ウェルマーは源二の鎖を持つと、建物内へ運び込んだのだった


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