第80話 帰還――そして物語は続く
王都滞在中に、冒険者ギルドへ立ち寄った。
バルドとリアンの能力を正式に確認しておきたかった。ゾマはウィンストン館の用事で出かけていたため、後日ということにした。
水晶での測定が終わると、数字が浮かんだ。
バルドの近接戦闘は、29から36になっていた。バルドは数字を見て「まあそんなもんだろ」とぶっきらぼうに言ったが、その顔は悪くなさそうだった。積み重ねてきた前衛としての経験が、そのまま数字になっている。信頼できる前衛だという実感が、あらためてあった。
リアンは炎魔法が25から32、光魔法が27から30になっていた。ポケットも27から32に増えている。リアンは数字を確認してから、小さく頷いた。
「火力も支援も底上げできたわ。後衛としては、今の構成で10分戦える」
「そうだな」
後日、ゾマの数字も確認した。水属性が16から22、風属性が25から30、闇属性が9から10。ポケットは26から32、近接も4から7に上がっていた。危険感知と気配感知も微増している。
「全体的にバランスよく伸びてるね」
ゾマが自分の数字を見ながら言った。
「風は上限が近づいてきた。これからは水を主軸に伸ばしていくことになりそう」
「アクアロードへの道だな」
「うん。まだ先は長いけど」
全員の数字が揃った。今まで経験した戦いの中で、ここまで全員がまとまって成長したことはなかった。パーティとしての完成度が、確実に1段上がった。そう感じた。
装備の整理もこの時期に行った。
ユリコ一派から回収したマジックアイテムを1つずつ確認していると、リアンが1つの指輪を手に取って言った。
「これ、クラウドが使っていた大地魔法使い向けの指輪ね。サークは装備できないわね」
「売るか」
「そうなるわね」
その他の装備も含めて売却を進めた。結果が出た時、俺は思わず聞き返した。
「合計で、いくらだ」
「24000ゴールドです」
過去最高額だった。
折半して、タカオ側の取り分は12000ゴールド。手元の残金と合わせると、考えられない数字になった。
俺は回収した装備の量を思い出しながら、内心でつぶやいた。
ユリコたちは、どれだけ装備を揃えていたんだ。
1つひとつの装備が高品質で、数も揃っていた。国家乗っ取りを目指す組織だったとはいえ、その資金力の規模が改めて実感できた。それだけの力を持った相手と戦っていたのだという、遅れてきた実感があった。
回収品の中には、魔力魔法用のポケット拡張装備もあった。しかし俺たちの中に魔力魔法の使い手はいない。
「使い道がないな」
「そうね。売るしかないわ」
敵の構成には、魔力術士がいた。でも俺たちには合わない装備だ。組織の歪さが、こういうところにも出ている気がした。
それから、ハイルセンへ戻った。
拠点はウィンストン館だ。男爵に事情を話して、また世話になることにした。
男爵についての違和感は、まだ消えていない。センスライで嘘が検出された件もある。しかし使用人全員への聞き込みで、誰1人「男爵が悪人だ」と言わなかった。ゾマが確認した限り、その証言に嘘はなかった。
敵ではない。それだけは確かだ。
今はそれで十分だと、俺は判断した。
ウィンストン館の部屋で、窓の外を眺めながら俺は考えた。
最初はサークとの2人旅だった。
アールストンでグルックを助けて、シルバムの廃坑でガルバンと戦って、王都でニアと出会った。ハイルセンでバルドとリアンとゾマが加わって、ユリコの組織と少しずつぶつかりながら、ここまで来た。
振り返れば長い道だった。
でも今は、信頼できる仲間たちがいる。バルド、リアン、ニア、ゾマ。サーク。それぞれがそれぞれの場所で戦って、支えてくれた。
これで終わったのか?
俺は静かにそう問いかけた。
転生した時に神が言っていた「歪み」。それがユリコたちの組織のことだったとすれば、すでに解決した。幹部は全員倒した。組織は崩壊した。王都の政治的な処理も、シルバムの調査団が進めてくれている。
もう大きな問題はないはずだ。
サークが部屋に入ってきた。俺の隣に静かに座った。しばらく2人で黙っていた。
「タカオ様」
「なんだ」
「お疲れ様でした」
俺は少し笑った。
「お前もな」
窓の外に、ハイルセンの夜が広がっていた。穏やかな灯りが、遠くまで続いている。
これで終わったのだろう。
長かった戦いが、ようやく終わった。サークと2人で始まった旅が、ここまで来た。失ったものもあったが、得たものの方がずっと多かった。
俺はゆっくりと目を閉じた。
この時の俺は、そう思っていた。
すべてが終わったのだと。
第1部 完
巻末参考(ステータス一覧)
全員のステータス
【所持金】 1966→13966ゴールド(スクロール作成後)
タカオ:回復・支援の中核
【加護魔法】 ランク55 43
【ポケット】 44+1
【習得魔法】
レベル1:ヒーリング.ブレス.エイド.ディテクトマジック
レベル2:ヒーリングプラス.ストレングス.ウィーク.センスエネミー.マジカルガード
レベル3:リジェネレーション.キュアディジーズ.ディスペルマジック.キャンセレーション.ヘイスト.エレメンタルガード.ウォーターブリーズ
レベル4:キュアポイズン.フィッシュムーブ.センスライ.クリエイトスクロール
レベル5:レイズデッド.トリートメント.リムーブカース.リセット
レベル6:リフレッシュ.グレーターディスペルマジック.アナライズマジック
【スクロール】
レベル1 エイド×1
レベル2 センスエネミー×1
レベル3 キュアディジーズ×1
レベル4 キュアポイズン×1 センスライ×1
レベル5 リセット×5 レイズデッド×1 リムーブカース×1
レベル6 アナライズマジック×1
【知識系】
各種知識 ランク16
魔物知識 レベル7
植物知識 レベル8
地域知識 レベル12
【水泳】 レベル4
【善行ポイント】 2.00→22.00→1.50
サーク:後衛火力・対ボス対応
【属性魔法(炎)】 ランク60 レベル44
【属性魔法(地)】 ランク25 レベル10
【属性魔法(光)】 ランク30 レベル21
【ポケット】 39+1
【習得魔法】
レベル1:スリープ.ファイアボルト.サンダー.ライト.ディテクトマジック.バークスキン
レベル2:サモンエレメンタルⅠ.ホーリーライト.ホーリーウェポン.フレイムボディー.ストーンサーバント
レベル3:サモンエレメンタルⅡ.ライトニング.マジックファング.シャインフラッシュ.ホーリースフィア.ファイアーボール.ミラージュフレイム.シャインヒール.アースシーイング
レベル4:サモンエレメンタルⅢ.セーブライフ.バーニングストライク.スタンスローター
レベル5:サモンエレメンタルⅣ.ファイアイミュニティー.サプレスエレメンタル.フレアボム.コータリゼイション
レベル6:サモンエレメンタルⅤ.バーンアウト.フェニックスライフ
【近接戦闘】 ランク9 レベル7
【鋭敏感覚】 レベル14
【気配感知】 レベル10
【水泳】 レベル4
【善行ポイント】 6.66→26.66→7.36
ニア:遊撃・索敵
【属性魔法(風)】 ランク25 レベル22
【属性魔法(光)】 ランク63 レベル14
【ポケット】 19
【習得魔法】
レベル1:サンダー.ウィンドショット.スリープ.ライト.ディテクトマジック
レベル2:サモンエレメンタルⅠ.スピード.インパルス.ウィンドトーク
レベル3:サモンエレメンタルⅡ.スカイウィング.ガストウィンド.シャインフラッシュ.シャインヒール.マジックファング
レベル4:サモンエレメンタルⅢ.トルネード.ミサイルプロテクション
【近接戦闘】 ランク50 レベル31
【電撃ブレス】 レベル12
【危険感知】 レベル16
【気配感知】 レベル16
【視認】 レベル18
【水泳】 レベル1
【善行ポイント】 24.15→44.15→38.15
バルド:前衛タンク・一部知識
【近接戦闘】 レベル36
【武器知識】 レベル6
【地域知識】 レベル16
【魔物知識】 レベル4
【水泳】 レベル3
リアン:後衛火力+補助
【属性魔法(炎)】レベル32
【属性魔法(光)】レベル30
【ポケット】 32
【魔法知識】 レベル14
【水泳】 レベル2
ゾマ:幻影・戦術補助・中衛壁
【属性魔法(水)】レベル22
【属性魔法(風)】レベル30
【属性魔法(闇)】レベル10
【ポケット】 32
【闇ブレス】 レベル9
【近接戦闘】 レベル7
【危険感知】 レベル17
【気配感知】 レベル13
【視認】 レベル10




