第67話 迎撃準備
夜明けの光の中で、俺は地面を見ていた。
体の痛みはリアンの回復魔法でほとんど消えていた。ただし、昨夜の戦闘の感触は残っていた。ダリウスの格が、自分たちとどれだけ離れているか。メテオストライクを直撃で受けた時の重さが、体の記憶として残っている。
「今夜また来るな」
俺は全員に向かって言った。
「なぜそう思う」
バルドが聞いた。
「マーリンが内部調査を動かした。ダリウスは調査が進む前に証拠を消す必要がある。時間がない。昨夜は想定以上に粘られて退いたが、そのままにはしない」
「今夜こそ本気で来る、ということか」
「そう見ている。こちらも今日中に準備を整えないといけない」
全員で昼間のギルドに移動した。
ギルドの中なら手出しできない。その時間を使って、今夜の魔法構成を考えた。
俺はまず自分のポケット数を確認した。前回の戦闘でレベルが29に上がっていた。ポケットが31になっていた。
「今夜の構成を決める」
俺は言った。
「トリートメントを2回入れる。メテオストライクが来た後の立て直しに使う。範囲内の味方だけを大きく回復できる」
「リジェネレーションは」
「外す。マジカルガードでダメージそのものを防ぐ方が効果的だ。全員に重ね掛けする時間もないだろう。トリートメントを2回にして立て直しを優先する」
マジカルガードを6人分入れる。レベル2の魔法なので2×6=12ポケット消費だ。敵を発見してから交戦が始まるまでの間に、全員にかける。
「ディスペルマジックとキャンセレーションも入れる。ディスペルは手下や、医師を倒した奴に使う。ダリウスには魔法がかかりすぎていて一発では効かないが、相手によっては有効だ。キャンセレーションはダリウスの魔法を打ち消す可能性に賭ける。完全に消えなくても、威力が落ちることがある」
「エレメンタルガードは」
「外す。ダリウスの魔法は1属性に偏っていなかった。地中から来る奴が大地属性を使うのはわかっているが、確実に来るかどうか不明な以上、ポケットを割けない」
「ディテクトマジックは必要か」
「入れる。姿を消された時の対応が必要だ。ストレングスも1枚入れる。ニアにかければ戦闘力が大幅に上がる」
計算した。トリートメントが5ポケット×2で10、マジカルガードが2ポケット×6で12、ディスペルマジックが3、キャンセレーションが3、ディテクトマジックが1、ストレングスが2。合計31ポケットで全部埋まった。
「サーク、お前はどうする」
「前回の戦闘で炎がレベル27になりました。ポケットが29になっています」
サークが構成を説明した。
「コータリゼイションを必ず入れます。パワーワードスタンをかけられた瞬間にすぐ使う。前回はあれで行動不能になりました」
「それは大きい。次は止まらない」
「サモンエレメンタルはポケットの都合でⅢにします。Ⅳだと他が全部入らなかった。バーニングストライク聞けばダリウスに有効なので取ります。スタンスローターは増援の手下用にします。ファイアーボールを2枚入れてミラーイメージを範囲で消せるようにします」
「フレイムボディーは」
「医師を倒した奴が来た場合に備えます。バルドさんにかけて近接させれば、接触ダメージで対処できます。シャインヒールも1枚入れます。万が1タカオさんが倒れた時の回復手段です」
「ディテクトマジックも入れるか」
「はい。透明化や地面への潜伏を発見するために必要です」
サークが29ポケットを全部埋めた。
「ニアは」
「ポケットは変わらず13や」
ニアが言った。
「マジックファングを先にかけておく。爪と牙の攻撃力が上がる。効果時間が長いので戦闘前にかけておける」
「それは前回との大きな違いだな」
「シャインヒールも入れる。スカイウィングはバルドが空中戦をできるようにするため。あと落下した時にかけ直せる」
「ダリウスの反射の回数を減らすために、最初に弱い魔法を撃ってもらいたい」
「サンダーを2枚入れとく。最初に撃て言うことやな」
「そうだ」
「ディテクトマジックも1枚入れる」
12ポケットが埋まった。
「リアンはどうだ」
「ポケットは24よ」
リアンが構成を説明した。
「サモンエレメンタルⅢを入れて手数を増やす。バーニングストライクはダリウスに効けば大きい。スタンスローターで手下をまとめて麻痺させる。シャインヒールで万が1の回復。ファイアーボールはミラーイメージを消しながらダリウスにダメージを入れる」
「サンダーも入れるか」
「1枚入れる。最初の反射回数を減らす用よ。ディテクトマジックも1枚」
「合計は」
「24ちょうど。全部埋まる」
「ゾマはどうする」
「ポケットは20だよ」
ゾマが答えた。
「トルネードを入れる。風属性だからファイアーボールは使えないけど、範囲攻撃でミラーイメージを消せるはずだ。ダメージも入れられる」
「それは有効だ」
「サモンエレメンタルⅢで精霊を出して手数を増やす。スカイウィングはバルドの飛行用。クライミングミストは地面から敵が出てきた時用だ。視界を塞ぎながら動きを遅らせる」
「それは重要だ。地中から来る可能性がある以上、出てきた瞬間に対処できる手段があるのとないのとでは大違いだ」
「キュアリングミストで回復。ウィンドショットを2枚入れてダリウスの反射を消費させる。ディテクトマジックを2枚」
「2枚入れるのか」
「自分の感知と、別のエリアの感知で分けて使いたいんだ。地中からと空中から同時に来る可能性があるから」
「それは理にかなっている。合計は」
「20ちょうどだよ」
「バルドの準備は」
「俺は魔法を使わない。動き方だけ確認しておきたい」
「ダリウスへの近接が前回はスカイウィングのディスペルで崩された。今度はゾマとニアの両方がスカイウィングを持っている。どちらかがディスペルで落とされても、もう一方がかけ直せる」
「それは安心だ」
「手下への対処は俺が優先する。ダリウス本体への接近は、精霊とドラゴンで注意を引いてからだな」
「そうしてくれ」
「全員の構成が決まった」
俺は言った。
「整理しよう。ダリウスのスペルターニングは回数制限がある。最初にニア、リアン、ゾマが弱い魔法を撃って消費させる。その後にバーニングストライクとファイアーボールの本命を入れる」
「パワーワードスタンが来たら」
「サークがコータリゼイションを即座に使う。前回みたいに行動不能のまま引きずられることはない」
「メテオストライクが来たら」
「マジカルガードで軽減しながら分散行動だ。密集しているとまとめてやられる。全員が固まらないように動く。その後、俺がトリートメントで立て直す」
「ミラーイメージは」
「ファイアーボールとトルネードで範囲を狙う。分身をまとめて消す。その隙に近接を入れる」
「地中から来る可能性の対策は」
「ゾマのクライミングミストとディテクトマジックが担当する。地面の動きを感知したら即座に報告してくれ」
ゾマが頷いた。
「完璧ではないが、前回よりは対処できる」
俺は言った。
「今夜が勝負だ」
全員が黙った。反論はなかった。
夕方の光が、王都の石畳に伸びていた。夜が来れば、ダリウスが来る。そう確信していた。
メモ
タカオ
加護魔法 ランク36 レベル29
ポケット 30+1
習得魔法
レベル1:ヒーリング・ブレス・エイド・ディテクトマジック
レベル2:ヒーリングプラス・ストレングス・ウィーク・マジカルガード・センスエネミー
レベル3:リジェネレーション・キュアディジーズ・ヘイスト・ディスペルマジック・キャンセレーション・エレメンタルガード・ウォーターブリーズ
レベル4:キュアポイズン・センスライ・クリエイトスクロール・フィッシュムーブ
レベル5:レイズデッド・トリートメント・リムーブカース・リセット
各種知識 ランク16
魔物知識 レベル7
植物知識 レベル8
地域知識 レベル5
水泳 レベル4
善行ポイント 15.90
スクロール:エイド
サーク
属性魔法(炎) ランク36 レベル27
属性魔法(地) ランク25 レベル7
属性魔法(光) ランク30 レベル19
ポケット 28+1
習得魔法
レベル1:スリープ・ファイアボルト・サンダー・ライト・ディテクトマジック・バークスキン
レベル2:サモンエレメンタルⅠ・ホーリーウェポン・ホーリーライト・フレイムボディー・ストーンサーバント
レベル3:サモンエレメンタルⅡ・ライトニング・マジックファング・シャインフラッシュ・ホーリースフィア・ファイアーボール・ミラージュフレイム・シャインヒール
レベル4:サモンエレメンタルⅢ・セーブライフ・バーニングストライク・スタンスローター
レベル5:サモンエレメンタルⅣ・ファイアイミュニティー・サプレスエレメンタル・フレアボム・コータリゼイション
近接戦闘 ランク9 レベル7
鋭敏感覚 レベル14
気配感知 レベル10
水泳 レベル4
善行ポイント 5.66
ニア
属性魔法(風) ランク25 レベル15
属性魔法(光) ランク63 レベル9
ポケット 13
習得魔法
レベル1:サンダー.ウィンドショット・スリープ・ライト・ディテクトマジック
レベル2:サモンエレメンタルⅠ・インパルス・ウィンドトーク
レベル3:スカイウイング・ガストウィンド・シャインフラッシュ・シャインヒール・マジックファング
近接戦闘 ランク45 レベル13
電撃ブレス レベル11
危険感知 レベル12
気配感知 レベル13
視認 レベル16
水泳 レベル1
善行ポイント 9.15




