第62話 市場崩壊の代償と、王都への決断
薬草買い占め事件が完全に解決した。
ヴェイン商会の当主と商人ギルドの監査役が拘束された。証言が取れた。商人ギルドマスターが正式に動いて、内部の調査が始まった。ユリコ側が市場操作で得ていた資金源の1つが断たれた。
全部が終わった後、ハミルトンから連絡が来た。
「改めて礼をしたい」
商人ギルドと合わせて、正式な謝礼として500ゴールドが出た。バルドたちとの分配を済ませた後、宿代を引いて所持金を確認した。1632ゴールドになっていた。
翌日、郊外でサークとニアと3人で成長の確認をした。
俺の加護魔法がレベル26からレベル28に上がっていた。一度に2レベル上がったのは久しぶりだ。ポケットが27+1から29+1になった。その他のスキルに変化はなかった。
善行ポイントが10.40から15.90に増えていた。5ポイント以上の増加だ。
「大きいな」
俺は言った。
「市場操作の阻止と、マニピュレーターの捕縛が評価されたのかもしれません」
サークが言った。
「大規模な善行扱いということか」
「規模が大きければ、それだけポイントも動きやすいのでしょう」
サークのステータスを確認した。
炎魔法がレベル18からレベル23に大幅に上がっていた。今回の戦闘でファイアーボールやバーニングストライクを積極的に使った結果だ。地魔法と光魔法は変化なし。ポケットが23+1から26+1になった。近接戦闘がレベル6からレベル7、鋭敏感覚がレベル9からレベル14へ。鋭敏感覚の伸びが目立った。追跡中に嗅覚を酷使した分が経験として積み上がったのだと思う。
善行ポイントが6.96から12.46になっていた。
ニアは戦闘に直接参加していなかったため、スキルの変化はなかった。善行ポイントが8.65から9.15に微増していた。
「炎のレベルが23か」
俺はサークに言った。
「上限が近づいてきましたね」
ランクが25の場合、レベルの上限はそのランクに依存する。23まで上がってきたということは、そろそろ上限に当たる可能性がある。
「ランクを上げるか」
「上げます。今のうちに余裕を作っておかないと、成長が止まります」
計算した。ランクを25から30に上げるのに善行ポイントが2.0必要だ。30から36まで上げるのに4.8必要になる。合計で6.8ポイントの消費だ。
サークが善行ポイントを使った。12.46から6.8引いて5.66になった。炎のランクが36になった。これで6レベルの魔法が解禁されるラインに届く。
「次の魔法を検討する」
俺はサークに向かって言った。
「炎の5レベルだ。何が使えるようになる?」
「まずサモンエレメンタルⅣです。これは確定で取ります。現状のサモンエレメンタルⅢより強力な精霊を召喚できます」
「他は」
「フレアボムがあります。命中すれば単体への最大火力になります。格上の相手に対して一撃を狙う使い方ができます」
「最有力だな」
「はい。それとファイアイミュニティーです。炎に対して完全な耐性が得られます。今すぐ必要かどうかは状況次第ですが、将来の保険として価値があります」
「サプレスエレメンタルは」
「格上の精霊には効きにくいという制約があります。以前戦ったような高位精霊を相手にする場合、効果が薄い可能性がある。保留気味です」
「コータリゼイションは」
サークが少し間を置いた。
「今回、マニピュレーターの麻痺魔法でリアンを含めた複数人が一度に無力化されました。あれがなければ状況は変わっていた。範囲内の眠り、麻痺、混乱を回復できる魔法があれば、同じ状況への対応ができます」
「評価が上がったな」
「はい。ただ、常にポケットに入れるのは圧迫します。スクロールにできればいいのですが」
「属性魔法のスクロールは作れるのか」
「リアンに確認してみます」
その日の夜、リアンに確認した。
「属性魔法はスクロール化できないの」
リアンが少し考えてから答えた。
「加護魔法や共通魔法と違って、属性魔法はスクロール化が難しいのよ。誰でも使えるようにすると、扱い方を間違えた時の危険が大きくなる。暴発防止の処理が必要で、そのコストがスクロールの8倍から10倍になる」
「実用的ではないということか」
「ほぼそうね。一般には流通していないわ」
「代替はないのか」
「ストアマジックという共通の6レベル魔法があるわ。魔法をアイテムに封じ込める魔法なんだけど、属性魔法にも対応している。ただしコストは同じくらいかかる」
「結局、魔法として取得するのが基本か」
「そういうことになるわね」
「サーク」
俺はサークに言った。
「リアンと一緒に取得する方法はどうだ。費用を半分ずつ出して、同時に覚える」
「それは」
サークが少し意外そうな顔をした。
「リアンなら乗ってくると思います。収集癖がありますから。」
予想通りだった。
「いいわよ。覚えるだけ覚えましょう。」
「なら、サモンエレメンタルⅣ.フレアボム.コータリゼイション.ファイアイミュニティー.サプレスエレメンタルの5つを全部半額ずつで。ただしサークのレベルが25になってからという事でいいか。」
サークのレベルがまだ届いていない魔法がある。取得は到達後だ。ただし方針が決まった。費用が実質半分になる分、他の魔法や装備への余裕ができる。
「ユリコをどうする?」
その夜、全員が宿に集まった時に、バルドが言った。
静かな言い方だったが、誰も軽い話だとは思っていなかった。
「放置はできない」
俺は言った。
「ここまで動いた。マニピュレーターを捕まえた。アルケミストを倒した。アーキテクトは逃げた。資金源の1つを断った。ユリコ側から見れば、俺たちは確実に邪魔な存在になっている」
「反撃が来るということか」
「来ると思う。ユリコが放置するとは思えない。だとすれば、待つより先に動いた方がいい」
「どこへ」
バルドが聞いた。
「王都だ」
俺は言った。
「政治に影響を与えられる存在がいる。マニピュレーターはそう言っていた。王都にいる可能性が高い」
「規模が大きくなるな」
「ハイルセンでできることは、やれるだけやった。次は王都で動かないといけない」
全員が黙っていた。反対意見が出なかった。それが答えだった。
翌日、出発の準備を始めた。
市場の操作は止まった。資金源が断たれた。マニピュレーターが捕まった。ここで起きていたことは、1つの区切りを迎えた。
しかしユリコはまだいる。
「王都へ行こう」
俺は言った。
ウィンストン男爵に報告してから出発する。ニアとゾマのことを考えると、移動と拠点の問題もある。王都に着いてからどう動くか、まだ全部は見えていない。
ただ、向かう方向は決まった。
ユリコがいる場所へ。
メモ
タカオ
加護魔法 ランク36 レベル28
ポケット 29+1
習得魔法
レベル1:ヒーリング・ブレス・エイド・ディテクトマジック
レベル2:ヒーリングプラス・ストレングス・ウィーク・マジカルガード・センスエネミー
レベル3:リジェネレーション・キュアディジーズ・ヘイスト・ディスペルマジック・キャンセレーション・エレメンタルガード・ウォーターブリーズ
レベル4:キュアポイズン・センスライ・クリエイトスクロール・フィッシュムーブ
レベル5:レイズデッド・トリートメント・リムーブカース・リセット
各種知識 ランク16
魔物知識 レベル7
植物知識 レベル8
地域知識 レベル5
水泳 レベル4
善行ポイント 15.90
スクロール:エイド
サーク
属性魔法(炎) ランク36 レベル23
属性魔法(地) ランク25 レベル7
属性魔法(光) ランク30 レベル19
ポケット 25+1
習得魔法
レベル1:スリープ・ファイアボルト・サンダー・ライト・ディテクトマジック・バークスキン
レベル2:サモンエレメンタルⅠ・ホーリーウェポン・ホーリーライト・フレイムボディー・ストーンサーバント
レベル3:サモンエレメンタルⅡ・ライトニング・マジックファング・シャインフラッシュ・ホーリースフィア・ファイアーボール・ミラージュフレイム・シャインヒール
レベル4:サモンエレメンタルⅢ・セーブライフ・バーニングストライク・スタンスローター
近接戦闘 ランク9 レベル7
鋭敏感覚 レベル14
気配感知 レベル10
水泳 レベル4
善行ポイント 5.66
ニア
属性魔法(風) ランク25 レベル15
属性魔法(光) ランク63 レベル9
ポケット 13
習得魔法
レベル1:サンダー.ウィンドショット・スリープ・ライト・ディテクトマジック
レベル2:サモンエレメンタルⅠ・インパルス・ウィンドトーク
レベル3:スカイウイング・ガストウィンド・シャインフラッシュ・シャインヒール・マジックファング
近接戦闘 ランク45 レベル13
電撃ブレス レベル11
危険感知 レベル12
気配感知 レベル13
視認 レベル16
水泳 レベル1
善行ポイント 9.15




