第47話 退却と再編
メモ
タカオ
加護魔法 ランク28 レベル16
ポケット 17+1
習得魔法
レベル1:ヒーリング・ブレス・エイド・ディテクトマジック
レベル2:ストレングス・ウィーク
レベル3:リジェネレーション・ディスペルマジック・エレメンタルガード・ウォーターブリーズ
レベル4:センスライ・クリエイトスクロール
各種知識 ランク16
魔物知識 レベル6
植物知識 レベル3
地域知識 レベル2
水泳 レベル4
善行ポイント 9.75
スクロール:エイド
サーク
属性魔法(炎) ランク19 レベル9
属性魔法(地) ランク10 レベル1
属性魔法(光) ランク25 レベル14
ポケット 12+1
習得魔法
レベル1:スリープ・ファイアボルト・サンダー・ライト・ディテクトマジック・バークスキン
レベル2:サモンエレメンタルⅠ・ホーリーウェポン・フレイムボディー
レベル3:サモンエレメンタルⅡ・ライトニング・マジックファング・シャインフラッシュ・ファイアーボール・ミラージュフレイム・シャインヒール
近接戦闘 ランク9 レベル5
鋭敏感覚 レベル7
気配感知 レベル5
水泳 レベル4
善行ポイント 3.06
ニア
属性魔法(風) ランク13 レベル10
属性魔法(光) ランク63 レベル2
ポケット 7
習得魔法
レベル1:サンダー.ウィンドショット・スリープ・ライト・ディテクトマジック
レベル2:インパルス
レベル3:スカイウイング.ガストウィンド
近接戦闘 ランク45 レベル4
電撃ブレス レベル11
危険感知 レベル9
気配感知 レベル8
視認 レベル13
水泳 レベル1
善行ポイント 0
「もう回復魔法が尽きている。このままでは持たない」
俺は全員に向かって言った。
「危険を知らせつつ、一旦撤退する」
誰も反論しなかった。バルドが頷き、リアンが周囲を確認した。サークが来た方向を向いて、追手がないことを確かめた。
判断は正しいと思った。奥にはまだ本物がある。ニアの危険感知が反応し続けている。ただし今の状態で進むのは無謀だ。回復手段がなければ、次の1戦で誰かが倒れる。
冒険者として長く動き続けるには、無理をしない判断が要る。それは体力的な話だけではなく、次の戦いに向けて整えておくことも含む。
「ニア、上から追手の有無を確認してくれ」
「わかった」
ニアがスカイウイングで上昇した。少しして降りてきた。
「誰も来てへん。気配は奥に留まっとる」
外に出てこない。拠点を守ることに徹している。その性質が改めてわかった。こちらが入らなければ、向こうからは動かない。だとすれば、準備を整えてから戻っても逃げはしないはずだ。
町には戻らなかった。
ニアとゾマは町の中に入れない。全員が疲労していて、今から町まで歩いて戻る体力を使うより、近くの安全な場所で野営した方がいい。森の外縁、木が薄くなっている場所に適当な平地を見つけて、そこに落ち着いた。
火を起こした。バルドが手際よく組み上げた。ニアとゾマが少し離れた場所に伏せた。
全員が疲れていた。声が少なかった。火の音だけが続いた。
リアンが回収した装備を広げた。女魔術師の杖と指輪と、複数枚のスクロールだ。
「鑑定に出したい。シルバムに行ったら真っ先にギルドへ」
「わかった」
俺は頷いた。
翌朝、シルバムのギルドで鑑定を依頼した。
結果が出るまで1時間ほどかかった。リアンが受け取りに行き、戻ってきた時の顔で結果がわかった。
「凄いわよ。鑑定料を引いても、しめて1200ゴールドになったわ」
俺は少しの間、その数字を頭の中で繰り返した。
「……そんなにか」
「永続のマジックアイテムって高いのよ。それに高レベルにならないと使えないものが多いから、使える人間が限られる。希少価値が上がる」
リアンが続けた。
「使えそうなら使いたかったけど……今回は相手が魔力魔法の使い手だから無理だったわね。魔術師系の装備は魔力操作の精度を上げるものが多くて、種類が違うと干渉する可能性がある」
6人で山分けすると1人あたり200ゴールドになる。俺はニアとサークの分も合わせて600ゴールドを受け取った。
所持金が1気に増えた。これで次の準備ができる。
「明日はもっと魔法を厳選しよう」
ギルドの片隅で、6人が集まった。
「昨日の戦闘で気になったことがある」
俺は続けた。
「敵はライトニングを使ってきたが、ファイアーボールは使ってこなかった」
「確かに」
リアンが言った。
「森の中で大規模な炎魔法を使えば山火事になる。それを避けた可能性があるわね」
「敵に制約がある。それを利用できるかもしれない」
「ただし、確信はない」
「ああ。仮説として持っておく程度だ」
敵の制約を過信して動くのは危険だ。ただ、相手が森を壊さないという前提があるとすれば、こちらの戦術の組み方が変わってくる。
「次の構成を考える」
俺は自分のポケット数を確認した。合計18だ。
「エレメンタルガードを全員にかけたいが、6人全員には無理だ。ポケットが足りない」
「優先順位をつけるしかないわね」
「そうだ。代わりに、戦闘前に全員へリジェネレーションをかける。ポケット18あれば6人分入る」
「それだけで18全部使うのか」
バルドが言った。
「そうなる。その代わり、他は何もできなくなる。俺の役割は最初の段階で完全に終わる」
「回復と支援に特化するわけだ」
「それでいい。サークとリアンが攻撃と補助を担う。俺は最初の一手を全部突っ込む」
役割を切り分ける。それが今の編成での正しい動き方だと思った。
「私もシャインヒールを取るわ」
リアンが言った。
「回復手段が1つ増えれば、持久戦に対応できる」
「ゾマはどうする」
「キュアリングミストを多めに入れるよ」
ゾマが答えた。前より落ち着いた声だった。自分の役割を考えて答えているのが伝わってきた。
「わいは回復なんもできんわ」
ニアが言った。少し不満そうな顔をしていた。
「風魔法には回復系はないわね。光が伸びれば変わるけど、今はまだ」
「索敵と機動に集中しろ。今のニアに1番必要な役割だ」
俺がそう言うと、ニアは短く「わかった」と言った。不満を飲み込んだわけではなく、受け入れた顔だった。
「俺にもシャインヒール、教えてもらえますか」
サークがリアンに向かって言った。
「光魔法はもう使えます。レベルも届いている」
俺はサークを見た。自発的に役割を広げようとしている。昨日の戦闘で、攻撃だけでは足りない場面があったのをサーク自身が感じていたのだと思う。
「いいわよ、仲間なんだし」
リアンが言った。
「それは違う」
俺は言った。
リアンが眉を上げた。
「仲間だからこそ、対等でなければいけない。魔法を教えるのには価値がある。タダにする必要はない」
「でも……」
「40ゴールドが相場だ。俺が払う」
「それは多すぎるわよ。半額の20でいいわ」
「わかった。20ゴールドで」
俺はリアンに20ゴールドを渡した。リアンが少し呆れた顔をしながら受け取った。
サークが小さく頭を下げた。
夜、全員で最終的な構成を確認した。
俺のポケットは18。リジェネレーションを6つ入れる。3レベル魔法が6つで計18ポケット分だ。全部使い切る。エイドスクロールを1枚持つ。それが俺の全装備だ。
サークはポケット14。ディテクトマジックを2枚、ライトニング、サモンエレメンタルⅡ、シャインフラッシュ、シャインヒールを入れる。攻撃と回復の両方を担う。
ニアはポケット7。ディテクトマジック、スカイウイング、ガストウィンドを入れる。機動と索敵に特化する。
リアンはポケット16。ディテクトマジックを2枚、ホーリーウェポン、シャインヒール、シャインフラッシュ、ライトニング、サモンエレメンタルⅡ。万能に動ける構成だ。
ゾマはポケット10。キュアリングミストを2枚、フォッグクラウド、スカイウイング、予備を1つ。補助と撹乱が役割だ。
「これで全員分揃ったな」
「明日入る」
バルドが言った。
「準備は完了だ」
俺は6人を見回した。昨日と違う空気があった。疲れは残っているが、整っている。
奥にいるものが何なのか、まだわからない。ニアが「さっきより嫌な感じ」と言っていた本物の魔力が何なのか。
明日、確かめに行く。




