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よりにもよって王様かよ! 中間管理職のオッサン、勇者と魔王がいる異世界に転生したので、RPG的なお約束にダメ出しする  作者: 枝垂みかん
第二章

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78/85

まぁその、致したよ


#78 まぁその、致したよ


 紆余曲折を経て、流入者たちの処遇はレガリスレクス王国民として同化させるのではなく、奪還予定の土地を根拠とした新たな統治機構という結論となった。


 一年後のネヴィア討伐に向けて、一刻の猶予もない。


 物資の確保や食料の調達など内政的な課題も多いが、そのあたりはへべス大臣が商工連盟のクベルナート総裁と上手くやってくれた。

 かねてより食料は過剰生産気味だったので、増産までの期間は充分に稼げるとのこと。


 おかげでオレは心置きなく、戦力強化に邁進できる。

 そこで役に立つのが蓄えに蓄えた王国民のレベルアップのデータ。

 これまではマギアレフィカに一任していた研究だったのだが、現在は魔導士結社のマグス・ドゥ・クス主席導師を責任者に任命している。

 理由はご懐妊だ。


 ——魔王が訪れた住民説明会の夜、マギアレフィカはオレの私室にやってきたんだ。

 あとから聞いた話では、オレがムリをして魔王と対話していたのではないかと心配して、というのが訪れた動機だったそうだ。

 しかしオレは、つい『こないだの裸の件か⁉︎』と見当ハズレの返事をしてしまい、マギアレフィカが『陛下がお望みでしたら』となって、ふぁさりふぁさりと肌を露わに……。まぁその、致したよ。

 翌朝、部屋を出るなり遭遇したプエルラーレに、


『ふひひっ。ヘーカぁ昨夜はお楽しみでしたね〜』


 なぁんてニヤニヤ茶化されるまでがセットの展開を経て、第二子を授かることなった。


 というわけで現在、新たに研究室室長となったマグス・ドゥ・クス主席導師のもと、世界各地から集まった魔道士結社の英才たちが効率厨と化して——もとい、効率的なレベルアップの研究に勤しんでいるのだ。

 そして過剰とも言える人的リソース投入により、研究はさらなる広がりを見せた。

 

 従来はダンジョン管理局の協力を得て、探索登録をした国民の身体情報を集め、そこから被験者の属性を前提に組み込んだグラフを作成していた。

 ざっくり言ってしまえば、レベルアップの傾向を探究が研究の主。


 そこへ加わった新しい方向性は、神殿の協力による、職業資格の認定における必要条件の割り出し。

 もちろん試験があるので、なにが求められるかはわかっていた。

 ここで調査されたのは魔法や技能の習得過程の必須条件。これはかなり重要で、不可思議だった事柄だ。

 

 レベルアップに伴い魔法を覚えることはままあった。逆にどれだけレベルを上げても魔法を習得できない場合もあった。また、学習によって会得するパターンも。

 今まで、この疑問の答えは『適性』の一言で片付けられていたのだが——


「ご説明します。火と熱を従とする火の主属性、水と冷を従とする水の主属性、風と雷を従とする天の主属性、土と木を従とする地の主属性、これらの初級中級魔法習得における必要条件は、実体験です」


 長い説明の割に、ありきたりな答えだな。

 マグス・ドゥ・クス主席導師も誰かさんみたいに、魔法のこととなると饒舌なタイプなのか?


「もっと具体的に頼む」

「木の従属性の経験がわかりやすいかと。農業従事者や林業従事者に習得者が多いのも、日々、作物の生育を目にしておりました」

「なるほど」

「他属性も同じく。きっかけとなる体験や観察が魔法習得において、良い結果をもたらします。ですので初級魔法でありながら、天主属性従雷属性迅雷魔法(サンダー)は習得者が稀、との結論となりました」

「雷が近くに落ちた経験でもないとってことか」


 ……あるじゃないか。もっと安易な体験方法が。


「乾燥した日に羊毛のセーターを着て動くか、毛皮で髪を擦るかすればパチッとなるだろ。金属製のドアノブにでも触れたら、けっこう派手に。暗い部屋だったら紫電も見えるはず」

「な、なんですと⁉」


 たかが静電気の話なのだが、マグス・ドゥ・クス主席導師は目の色を変えた。


 風属性だったらストローで風車を動かすとか、他にも煙を起こして視覚化したらどうか。

 などなどいくつも思いつく体験のアイディアはあったんだが、それも聞かずに、


「まだ職業資格の認定条件についてを聞いてないぞ。まったく」


 報告をほっぽりだして研究室へ戻ってしまった。

 


 後日、マグス・ドゥ・クス主席導師から丁寧なお礼と事務的な詫びがあり、付け加えられたところによると、


「四大主属性魔法の全習得ならびに、武器使用時の魔法併用が『光の戦士』認定の条件です」


 とのこと。

 神殿が認定できるなかでも最高職への道が明かされた。

 光の戦士のイメージは魔法剣士みたいな感じか。


「試験内容に『魔法を帯びた武器攻撃』とありましたが、達成にもかかわらずほとんど認定者の出なかった理由はこれです」

「魔法だけでも武術だけでとダメということだな」

「はい。それ以上に、天主属性魔法の習得難易度が立ちはだかっておりました」


 光の戦士なのに光属性の魔法が必須でないのをツッコミたいところだけど……、研究成果にケチをつけるみたいで野暮か。


 ちなみに神殿で行われている職業の認定は、そこに祀られている精霊や神霊に祝福されることで成立している。

 だから、試験には合格できても認定されないということが起きていた。


「陛下がお示しくださった体験方法により、すでに雷魔法の習得者が複数確認されております」


 以降、話は王国兵を光の戦士にジョブチェンジさせる段取り、そして流入民たちのダンジョン育成へと進んでいく。

 明るい兆しは見えたが、まだまだネヴィア討伐に向けた戦力強化ははじまったばかり……。


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