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よりにもよって王様かよ! 中間管理職のオッサン、勇者と魔王がいる異世界に転生したので、RPG的なお約束にダメ出しする  作者: 枝垂みかん
第二章

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頷いてるんじゃないよ


 木と木の二属性魔法の成功により、燃料問題は解決した。

 しかも新造した白銅貨も広められて一石二鳥。

 いや、雇用対策や生活支援という観点を含めたら、一石四鳥五鳥にもなる公共事業だ。

 今回ばかりは自画自賛してもいいんじゃないだろうか。


 そして燃料に心配がなくなり、アフトギウムの量産も順調。

 徐々にだが、新装備も整いつつあった。

 先行導入したのは、ペデモント将軍が担当する海岸の塔ダンジョンの兵士たち。


 今日はその視察に来ていた。

 さっそく案内されたのは、第四層の階層主の間。

 ここでボスキャラとして現れたのは、鋼鉄巨兵(メタルフレーム)という巨大ブリキロボみたいな魔獣だ。

 以前、兵士たちは苦戦していた相手……。果たして、新装備の威力やいかに。


 魔法兵の隊長が号令をかけ、火と熱の魔法がメタルフレームに殺到。先手をとる。

 つづけて、主に元盗賊らで編成された兵士たちがメイス片手に前へ。メタルフレームの反撃を掻い潜り、熱せられた脚を打ちつけて外骨格をベコベコに。


 ここまでは以前とほぼ同じ。

 若干レベルアップしたぶんの差はあれど、展開は大きく変わらず。


 しかしここからだ。

 前回は、盾兵がカバーに入った際に吹き飛ばされたり怪我を負っていたが——


 メタルフレームの巨大な拳を盾の流曲線が受け流した。往なし切れずに残った衝撃も、内蔵された板バネ構造が打ち消す。

 ギリギリまで肉薄した盾兵のなかには、尖った角をメタルフレームのつま先へ突き立てた者もいた。

 そうやって魔法攻撃再開の準備までの間を稼ぎきったのだ。


 こうなると以降は必勝パターン。

 魔法、打撃、防御、この繰り返しで削り切る。


 なかには広範囲の薙ぎ払いに巻き込まれた者もいた。激しい攻防に完璧など求められるわけがない。

 だがだ、アフトギウムの防御プレート、それと革とメッシュの複合構造の防具が彼らの生命を繋ぐ。

 鋲留めされたプレートは爆ぜ飛ぶも、本人の負傷は自力で立ち上がれる程度。


「あと一息だ!」

「「「応ッ‼︎」」」


 ペデモント将軍の励ましを受け、兵士たちはやりきった。

 第四層の階層主を王国兵のみで撃破したのだ。


「陛下、ご覧のとおりです。継戦能力が大幅に向上しました」

「長く元気でいられるぶんだけ、魔獣撃破の効率も上がるな」

「はい。防具類の負傷緩和もさることながら、動きやすさが利いているのかと。なにより盾兵です!」


 ここを強調して、ペデモント将軍は嬉しそうに語る。


「魔法兵も棍兵も休めば動けますが、負傷した盾兵は復帰にも時間がかかります。場合によっては……」

「水と水の二属性魔法でも治癒できないこともあるか」


 これは、間に合わない事態を指してだけではない。治癒魔法までの時間をあけたぶんだけ、その効き目が悪くなるという魔法の特性もあって。

 褒めてくれるのは正直嬉しい。喜んでくれるのも。でも、


「結果は地味——」

「いえ、非常に大きな成果です」


 キッパリ言うようになったな。

 とはいえ実際、攻撃力が増したわけではない。そこは兵士諸君によりいっそうの努力を期待するしかないか。


「戦いつづけられるのならば、我らは成長できますので」

「そのとおりだな。つまらない謙遜をした」

「とんでもありません。兵士らへのお心遣いは防具の造りから伝わってきます」


 そういうの居心地悪くなるからやめて。

 こらこら、オマエらも聞き耳立てて頷いてるんじゃないよ。まったく。


「破損箇所、負傷箇所、あとは兵士らの要望もまとめておくように。悪かったところだけでなく、以前の装備と比較して良かったところを心掛けて報告してくれ」

「……良かったところを、ですか?」


 どうやら忖度しろと聞こえてしまったようだ。


「良いところを伸ばしたい。というか、ヒトでもモノでも褒めるのって意外と難しいんだ。批判の方が考える労力が少ないし、良い指摘より悪く言う動機の方が大きいからな」


 それを愚かとは言わない。そういうもんなのだ。

 えてして、こういう調査ではネガティブな意見が集まりがち。

 するとどうなるか。マイナス点の解決に改良のリソースが裂かれて、結果として良さを潰してしまうなんてことも起こり得る。


「受け取る側にしても批判は目立つうえ、対処しやすいから優先してしまいかねない」

「そういうものなのですか?」

「ああ。良いところを伸ばすより、悪いところを削ったり変えたりする方が楽だろ」


 これのぜんぶがいけないとは言わない。

 でもオレが多く見かけたのは、


『ユーザーのご意見を取り入れて、さらに使いやすくなりました』


 というサービスや商品が、たいていダメになっているパターンだ。

 アプリなんかがいい例か。なんで変えたんだよって思うことは多々あった。


「もちろん職人たちは取捨選択をする。でも、なるべくなら自分が使うものが良くなった方がいいだろう。だからこそ心掛けてほしい、ペデモント将軍が意見を調整しろって意味じゃなくな」

「はい。兵士らに心掛けるよう伝えます」


 生命を守る道具だ。下手にいじって性能低下なんてしたら目も当てられない。だから、これくらい慎重でいいとオレは思う。


 なんにせよ、新装備はまずまずの出来なようで安心した。

 おっと、いかんいかん。さっそくオレが『まずまず』とか評価を下げてはダメじゃないか。

 想定した性能は充分に発揮されて、結果にも現れた。盾兵の負傷が減ったという点は非常に喜ばしいこと。

 あと、盾の角で攻撃もしていたのを良かった点として挙げておこう。


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