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よりにもよって王様かよ! 中間管理職のオッサン、勇者と魔王がいる異世界に転生したので、RPG的なお約束にダメ出しする  作者: 枝垂みかん
第二章

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そもそも非効率なんだよ


「まさかそのような方法で……‼︎」


 さっそくの解決案に、商工連盟の総裁は驚きの声をあげた。

 

「まだ上手くいくかはわからないけどな。もしダメなら、伐採したところに生育の早い木々を植えるなりして対策はする」

「植えるのですか?」

「野放図にバンバン伐っていたら、すぐに禿山だらけになってしまうだろ。なんならそちらで事業にしてもらっても構わないぞ」


 それもこれも魔法の集団運用による『異常繁殖魔法(オーバーグロウズ)』が成功するかどうかにかかっている。

 ただ発動すればいいのではなく、日当を上回る生産効率にならなければ継続はできない。


「オレの案が上手くいかなかった際には、考えてみてくれ」

「陛下は、農村での人余りを気にしておられるのですね」

「総裁から見てもやはり問題になりそうか」

「ええ。ダンジョン封鎖より一年、ここのところ荷運びなどの労賃が軒並み下がっておりますゆえ」


 もうそこまでの影響が出ているのか。


「その従事者の多くが農村からの出稼ぎ労働者なのだな?」

「村を出た若者も少なくないので、すべてが出稼ぎとは限りません」


 加えて総裁は、魔獣と遭遇する危険も減り、かつレベルアップによる運搬効率が増したことを理由に挙げた。

 おそらく雇い主は『仕事が楽になった』と判断をしたのだな。しかも人手は増加傾向の買い手市場。そりゃあ低賃金競争にもなってしまうか。


「近ごろでは護衛を頼まない者もおりまして」


 魔獣だけでなく、野盗も心配していないとはな。

 どうやら盗賊ギルドを潰したことがここにも利いているようだ。


「治安がいいのは結構なことだ。しかし仕事が減るのは困りものだな」

「まったくでございます」


 これらの余剰人材を林業が吸収してくれたら言うことなしなんだが……


 さて、世間話はここまでとして、そろそろ本題に。


「税について、総裁の意味が聞きたい」


 オレの率直な物言いに、ずっと隣で黙っていたへベス大臣の眉がピクリと。

 当然、総裁の雰囲気も変わった。


「大臣、先日話した税制改革の概要を」

「御意」


 事前に打ち合わせなどしていなかったのに、へベス大臣は要点を絞り、手短に説明した。


「……物納をやめ、一年ぶんの実入りから段階的な税率をかけていくと」


 総裁が大枠を理解ところへ、オレはいつくかの例を挙げて理解を深めてもらった。


「ハッキリ言うが、商人職人の多くは税負担が増えるだろうな」

「超えたぶんだけ次第に税率が高くなるのならば、そうもなりましょう」


 税金が増えます。こんなのちっともいい話ではない。なのに総裁の目のギラつきは増す一方だ。


「オレは意見を求めているんだぞ」

「お戯れを。否などありません」

「そうか」


 せっかく『税負担が増える以上に国民の大多数が市場に参入するぞ』と唆すつもりだったんだけどな、いい意味で当てが外れてしまった。


「税が増えるよりも稼ぎを増やせばいいのです。それに、商工連盟の者らにも富の差はありますゆえ」


 言われてみればそうだ。

 以前、盗賊ギルドの被害で立ち行かなくなった商店主の話をしていたな。

 家族経営の商売と大商会とで一律の税率、これには総裁の立場でも思うところがあったのかもしれない。


「百倍稼ぐ者が百倍納めても、持たざる者の一の納税より負担は軽い」

「そういう意味で、陛下の考えられた『超過累進課税』は公平感があります」

「ついでに納税額という共通の物差しがあれば、商工連盟を見る目も変わるのではないか」

「お心遣い、痛み入ります」

「よせよせ。そういうんじゃない」


 べつに高額納税者だから偉ぶれという話ではなく、オレは相手が金持ちだからと白い目で見てほしくないだけだ。

 普段は温和なのに僻み根性だけは抑えられない国民性を長く見てきたからこそ、思う。

 副次的に、そういう分断がなくなればとも考えている。


「しかし……」


 と総裁はへベス大臣の方へ目配せ。


「ご心配には及びませんよ。陛下は役人の負担も考慮してくださっておりますので」

「そうそう。年度末にまとめてとするのが、そもそも非効率なんだよ」


 ここで、前年度所得からの税算出と、地域ごとの月別納付について補足した。


「そうなりますと、浮き沈みが激しい稼業の者が困るのではありませんか?」

「計画的に金を使わないとな。もしくは前年より稼ぐか。税を取る側としては、そうなってもらいたい……という本音の部分は王様ジョークとして、注意喚起はする」

「早期に一部を、というのはどうでしょう?」

「ドカンと稼いだときに先に納めてしまうんだな。高額納税者なら、そういう対応もありか。大臣はどう思う?」

「さほど多くはないことなので問題ないかと。また、納付記録をつけておくだけですので」


 役人の負担は大したことない、と。

 なら採用の方向で詰めるか。


「総裁は、新規参入者のメリット——利点についてどう考える? 新たに商売をはじめてみようと考える者は増えそうか」

「そうですなぁ……、初年度の税がないとなると、挑戦してみようとする者もいるかもしれません」


 話は枝葉へと広がり、


「物納のやめた場合、隠し畑の農作物を売却しても商人側の帳簿には残ります。」


 オレも考えていたことを改めて総裁の口から聞かされたり。


「自分らで食べるぶんくらいはお目溢しでもいいけどな」


 これまでより農家の収入を正確に把握できると、答え合わせもできた。


 そして話は、税から通貨へ。


「金銀銅以外を硬貨に⁉︎」

「本当は三段飛ばしで『信用』にしたいところだが、なにが起こるか予想できないので、金本位制にしようと思う」


 オレが考えたのは『銀貨と銅貨のあいだに白銅貨を作る』だ。

 ちょうどいい素材も手に入るようになったし。感覚的には平成の五百円玉に近いかな。


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