表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
(完結)ゲイ向けエロMODが導入された世界で陰キャがなんやかんやする話  作者: たろう


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

2/5

2.最高の世界

なんとか無事に家に戻ると、世間がどうなっているのかが知りたくてテレビをつけた。


テレビの向こうでは普段会社にいるために見ることのない番組が放映されている。〇子の部屋では同い年くらいのアイドルが全裸で会話している。はぇーすっご。俺は適当にいくつかの番組をはしごしてみたが、どれを見ても、やはり男は全員全裸だった。


コメンテーターやニュースキャスター、芸人からアイドル、イケメン俳優にいたるまで全員が公共の電波に乗せてはいけないものをもろ出しにしてテレビに映っていた。


この世界の男の人権について思いを馳せた。


しかしそれも一瞬のこと。


そのすぐ後で、俺はまっ昼間から公共放送でAVが放映さているようなものだと思いながらハッスルした。この世界に贈りたい賛辞の言葉で脳内はいっぱいだった。大好きな俳優のそれを心行くまで堪能して、俺はこの素晴らしい世界で一生を生きていこうと思った。


それから色々とすっきりした俺は買ってきたコンビニ飯を食べて、気持ち良く昼寝した。


目が覚めると夕方で、俺は晩飯確保のために早めにコンビニにもう一度行って弁当とお茶を買って帰った。帰る道々、俺は不審者に思われないよう必死に取り澄ました顔で歩いた。そうしながら、脳内では視界に広がるドエロイ光景をこの目に焼き付けることで必死だった。


完全に変態である。その称号は甘んじて受け入れよう。しかし俺にとって今はそんなことは全く些細なことだった。


それよりもむしろこれが犯罪でないということのほうが重要だった。なんと最高な世界ではないか。俺は再度世界に感謝する。だがタッチはできないのだ。そこだけはどうにもならなかった。現実はエロ同人のようにはいかない。イエス、ウォッチ!ノー、タッチ!


夜、コンビニ飯をレンジで温めてそれを食いながら適当にバラエティ番組やスポーツ番組を色々とはしごした。


野球選手が股間のバットを豪快に振り回しながら本物のバットを操り、走り回り、ボールを追いかけている様は最高だった。


もはや現実がAVを超えてしまっているとさえ言えた。


そんな中で俺は思う。


俺はドエロイ男たちが公共の場でなんやかんやしているところが見たいんや!


エロ同人に焼かれた脳みそで切実にそう思った。


神に祈りさえした。もはや神道でも仏教でもヒンズーでも、なんなら〇ホバでも〇一教会でもなんでもよかった。とりあえず誰とは知れぬ神よ、どうかこの世界を貞操観念の逆転世界にしてくだしあと。


今ならイケメン全裸の信者が勧誘にやってきたらほいほいついていってしまうのではないかと、自分の頭の悪さを恐れた。


一分ほど天に祈ったが、まぁ当たり前のことだがそれは叶えられるはずもなく。


悲しいかな、恰好だけはドスケベ仕様に変わり果てた世界にあって、恰好以外の倫理観は今までのままだったので、そういった光景はどう足掻いても見ること叶わないことは心のどこかでは、頭の片隅では理解していた。


ふとスマホを見ると、上司からのメッセージが届いていた。


それは俺の体調を気遣うものだった。すぐに俺は体調が回復した旨と感謝のメッセージを送信する。


その瞬間俺は思いつく。


明日出社したら、上司のチンポが拝めるんだ……。上司だけじゃない。同僚や先輩や少ないが後輩のあそこも見放題なんだ、と今更ながらに気付いた。俺の心は高揚する。俺のムスコはにわかに屹立する。


辛抱たまらん。


俺は明日職場でお宝を絶対拝むべき男一覧を頭の中に作りながらシャワーに入って精神と体を清めると、いそいそと布団に入り込む。


明日は寝坊なんかしないで無事に会社に行くぞと心に決め、アラームを確認して目を閉じる。


生まれて初めて会社に行くのを楽しみだと思った。


ぐふふ。わらけてくるぜ……。


しかもあれだ。満員電車だ。俺のわくわくは天元突破する。


そうだ。満員電車だ。明日もしかしたらラッキースケベがありうるのだ。密室、満員電車、むせかえる車内、触れ合う体。何も起こらないはずがなく。


俺はすでにあそこがビンビンになるのを感じていたが、多大な理性を投入することでオナニーをしたいという欲求をなんとか抑え込む。明日のために、これからの時間は俺のキンタマが健やかに精子を作れるように休息に当ててもらわなくてはならないのだ。俺の勝ちが確定した輝かしくも充実した未来の生活へと想いを馳せる。そのためには、俺のムスコにはこれからも頑張ってもらう必要がある。明日から酷使することは目に見えているのだ。今だけは労わらねばならないだろう。


息子よ。貴重な休暇を楽しめよ……。


俺は股間にそう話しかけると、できるだけスケベなことを考えないようにして、興奮で見開いていた両目を再び閉じる。長い時間がかかって、やっと俺は眠りに落ちた。


翌朝、アラームとともに俺は目が覚めた。六時十五分。


気分は爽快。体調は良好。世界が輝いて見えるようだ。


カーテンを開けて一応窓の外を目を皿のようにして見る。昨日のことが一日限りの夢でないことを確認するためだ。


窓から通りを見下ろすと、期待通り男たちが全裸で道を歩いているのが見えた。


よし。勝ったなガハハ。


俺は昨日食べ損ねた朝食を食べ、シャワーを浴びて、髭を当たり、髪の毛をセットしてから、大学時代に好奇心で買っていたチンポ用アクセをムスコに嵌めると少し早めに家を出た。俺のイチモツは朝から元気すぎて、なかなかどうして、竿を通すのが大変だった。


部屋を出て歩道を歩く。心は軽い。どこもかしこもスケベな恰好の男たちが歩いていて、俺のいつもならば鉛のように重い足取りも、今となっては羽のように軽かった。


逸る気持ちを抑えながら、できるだけ一般通過通勤者に見えるように振舞いながら歩いて駅に着く。駅はすでに混雑している。


俺は期待に胸を膨らませて混雑する車内に入り込む。


思った通り、車内はすぐに人でいっぱいになる。


俺はまるで何もわかっていない羊の群れに放り込まれた狼のような心持ちだった。実際のところ俺はウケなので食べられるほうなのだが。


混雑した車内で俺は借りてきた猫のように振舞った。吊革につかまったまま直立不動の態勢を崩さない。


俺は上にあげている手を下におろしたい欲求に駆られたが、元来の気の小ささからそれは実行に移されることはなかった。そもそも、そんな勇気があるのであれば既に俺に彼氏の一人や二人いてもおかしくはない。きっと、たぶん、おそらく、そうだったらいいな……。


それに、俺にそうする蛮勇があったとして、もし仮にそんなことをすれば、おそらくきっと確実に痴漢として捕まることは目に見えていた。昨日の今日で、同じような目には遭いたくはなかった。イエス、ウォッチ、ノー、タッチの精神は俺の中にしっかりと息づいている。


ただ、現実問題としてどう頑張ってみても体が触れ合うのをさけることはできないので、そこだけは車内の人たちには我慢してほしいと思う。こればかりは不可抗力なのだ。スマヌ、スマヌ。揺れる電車内で、口先だけの謝罪を心に浮かべながら、合法的に俺はエロ同人的状況を堪能した。


目的の駅で電車から降りると、既に帰りの通勤ラッシュの時間のことに思いを馳せる自分がいた。スマホでラッシュ時間を検索すると、夕方六時台だとわかった。


無理やりにでも定時退社したらダッシュだなと思いながら、俺は会社ビルを目指して歩く。


入口から入りエレベーターに乗り込むと、エレベーター乗り場は人でごった返していて、何とか乗り込んだ狭い箱の中で、必死に無心を装っていた。


目的の階で降りて、とりあえずトイレに行って髪型が崩れていないこととちんちんにティッシュが付着していないかを確認してから自分の席に座る。


少し早く着いたおかげかオフィスにあまり人はいないが、後から後から同僚や先輩らが入室してきて自らの席に着いていった。


俺はその間、記憶にやきつけるために、必死でただひたすらに彼らのチン宝を見つめ続けた。


あの人あんなに態度でかい割りに粗チンだなと思ったり、結構かわいいと思っていた後輩のチンポがマグナムでびびりちからかしたり、俺は就業前の本来ならば憂鬱な時間をうきうきで過ごした。


そうこうしていると、萩原先輩が出社してきて、俺がじっとりねっとり入口を見ているのに気づいて片手を上げる。俺は何もやましいことはしていませんよと、取り繕いながら手をあげて挨拶をし返すと、先輩が早いなと言いながら俺のとなりに腰を下ろした。


ぎしりと音がして、視線を横に向けると、無防備な先輩がガニまたで股間のマグナムを晒している。


先輩は男らしい人なので、会話の最中に足をとじるなどという女々しいことはしない。いつだって明朗会計、両足をおっぴろげている。一言でいうならあられもない恰好というわけだ。


「昨日は急に休んでしまいすみませんでした」

「あぁ、いいよ。そういうときもあるだろ」

「ありがとうございます」

「その分、今日は頑張ってくれよ」

「はい!」

「昨日の作業の進捗については――」


頼れるカッコいい先輩が俺に昨日の仕事について説明してくれる。俺はメモをとりながら話を聞き、要所要所で質問する。そのやりとりの途中で、やはりどうしても色々と見えすぎてしまい、こっそりと深呼吸を挟む。高ぶる気持ちを抑えなくてはならない。


先輩の話を聞きながら、俺は幾度かさすがにその恰好は破廉恥すぎませんかと言おうとして、しかし言えずに口を閉ざした。これがこの世界の普通なのだと思えば、俺の気遣いは狂人のそれなのだ。生きるのは難しい。


そうしていると、俺の上司である鈴木課長も出社してきた。遠目にもわかる存在感。


何がとは言わないがありとあらゆるところがでかい。俺の興奮は最高潮に達する。


眼福である。俺は今夜のおかずはこれだなと思った。


そのノンケチンポが、もとい上司が俺に気付いてすぐ側までやってきた。


俺の目の前にそそり立つエクスカリバーがある。


「長谷川、大丈夫か?」


その言葉に俺は慌てて立ち上がると、返事をしながら頭を下げる。


「昨日はご迷惑をおかけしてすみませんでした」

「気にするな。それよりも、元気そうでよかった」


そう言って笑った。笑顔がまぶしい。乳首ピアスも眩しい。


「それより、お前、それはどうした?」


課長の指が指し示す先を見ると、そこには俺の股間があった。


「あ」


俺の口から思わず言葉が漏れる。同時にその言葉に心臓が跳ねる。昨日の警官の台詞が耳元で聞こえた。


「あ、その、今日はつけてくるのを忘れました」


咄嗟に嘘をついた。


そもそももともとピアスなんてしてないのだからつけ忘れもくそもないのだが、そう言うしかなかった。


どうやったらつけられるのか。病院だろうか?そういう施設がある?この会話が終わったらすぐにでも調べないとまずいかもしれない。そもそもあれはつけたり外したりできるのだろうか?


早急に行動に移そう。都合がよいことに、明日は土曜日だ。この土日でなんとかせねば。最悪有休をとってでも……。


そんなことを俺は必死に頭の中で考えていた。


「そうか。気をつけろよ。社会通念上守らねばならない男の義務だからな」

「はい!」


思わず大きな声が出たが、それに満足したのか鈴木課長は気をつけろよと言って自らの席へ移っていった。


引き締まったケツが遠ざかるのを眺めながら俺は席に着くと、スマホを操作してすぐに病院を予約する。検索をかけたらいくつもの候補が上がってきて、俺は自宅そばの病院に予約をいれた。明日すぐにでも施術してもらえるらしい。保険も効く。神か。


一つやらなければいけないことが片付いて、俺は仕事に心置きなく取り組むことができるようになった。


隣にいる先輩の意外にも鍛えられた体がちらちらと視界に入るので、仕事は最高に捗った。頭はかつてないほどに冴えわたり、下半身は今までにないくらい熱くなっていた。もし計測することができたら、俺の血液の循環は今この時最高効率を叩き出していただろう。


「やけに今日はやる気があるな、どうしたんだ?」


先輩が訝し気に俺に尋ねて来た。


「やる気しかないっすよ!」


俺は満面の笑みで答えていたと思う。


通りがかった鈴木課長が噴き出して笑った。


そして、どうにかしてこの素晴らしい光景をスマホのカメラに残せないものかと業務中ずっと頭を悩ませ続けた。日中九時間を費やしても結局解決策は思いつかず、俺は血の涙を流しながら退勤した。


ビルを出た瞬間、通勤ラッシュのことを思い出し、俺は鼓動の高鳴りとともに駅までダッシュした。


あの楽園を再び、というただそれしか頭になかった。


帰りの電車も最高だった。


仕事終わりの蒸れた男たちの匂いに包まれながら、少し汗ばむ体を感じながら、全身に感じるいやらしい感触を感じながら、俺はうきうきで列車にゆられながら帰った。頭の中での妄想は捗りまくった。エロ同人の後遺症であることは言うまでもない。重症だ。これも病院にかかったほうがいいだろうか。


部屋に辿り着くと、普段は疲れ切っていて何もしたくないと思うのに、今日は少しもそんなことは考えなかった。元気がありあまっているのを感じる……。


それから賢者タイムに晩飯を食ってシャワーを浴びて、珍しくゲームもせずアニメも見ずに俺は安らかな気持ちで眠った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ