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(仮)俺の花嫁は傾国の悪女ではない、多分。(2026.05)  作者: MAYAKO


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第五話 そしてその夜     

投稿です。


「ソルティいいっ!やってしまいましたああああああっ!ああっどうしましょう!?」


「調子にのって呑みすぎるからでしゅ」


「に、臭いますか?ソルティ?私、お酒臭いですか?」


「はい、凄まじく臭いましゅ」


「……初夜で酒臭い女って、アリですか?」


「ソルティ的にはナシ、でしゅ」


「ひいいいいいいん、どうしましょう!?」


 用意された部屋で、半べそ状態のシュガーロッド、爆誕!


「ソルティ的にはアルコールはナシで、ちゃんと向き合って愛して欲しいでしゅ」


「私だって!でも!」


「呑んじゃいましたからねぇ、でも向こうも呑んでいましゅ、臭いはあまり気にならないにょでは?披露宴でお酒は付きものでしゅし」


 一方、こちらでは。


「ゲンジロウおおお!やっちまったあああっ!ぐわあっどうする!?」


「調子にのって呑みすぎるからです」


「に、臭うか?ゲンジロウ?俺、酒臭いか?」


「はい、凄まじく臭います」


「……初夜で酒臭い男って、アリか?」


「騎士的にはナシ、でしょう」


「うがあああ、どうすりゃいいんだ!?」


 団長室で苦悩する後悔男、爆誕!


「取敢えず、汗を流すか!?」


「酒臭い汗をですか?」


「魔力で中和しても臭いは消えん!汗で流し出すしかないっ!取敢えず、スクワット10000、腕立て10000、懸垂10000、素振り10000、これくらいすれば臭いも消えるのでは?」


「酒呑んでそんな運動したら、死にますよ!」


「では熱湯風呂はどうだ?」


「酒呑んで風呂!?言語道断です!」


「どうすりゃいいんだよ!?」


「向こうも呑んでいますし、そんなに臭わないのでは?」


「お、俺としてはアルコール抜きでちゃんと向き合いたいのだ」


「では明日にしますか?」


「……え?明日でもいいの?」


「夫婦になるのでしょう?お話しされては?」


「は?」


「ですから、協議です」


「なんて切り出すんだ?初夜、明日でもいい?って言うのか?初心者の俺が?それって言っていいのか?女性に対して、いや妻に対してとんでもなく失礼なことではないのか!?」


「さぁ?私は独身ですし、よく分かりません」


「あ、ゲンジロウ!逃げたな!」


 そして導き出した結果は精神統一による魔力的素振り、である。


 外は雪が舞いだした。

 その中で厚着をしたバイセンが静かに、重く剣を振るっている。

 呼吸を整え、一振りの動作が5分以上だ。

 全身から湯気が立上り、その目は真剣そのもの!

 汗は滝のように流れ、魔力は周囲の雪を溶かしている。


(明日なんて言えるか!俺にとっても、彼女にとっても大事な一夜の……はずだ!)


 その様子を横で見ているゲンジロウ。


「ここまでしますか?」


「当然だ!」


「でも、彼女にとってあなたは4人目の男ですよ」


 ピタリ、と止まるバイセン。


「はい?」


「いや、だから4人目」


「…………そうだな、で、何が言いたい?」


「噂の悪女、男の扱いには慣れているのでは?お酒くらい気にしないのでは?なんせ『竜倒し』を呑み干す女性ですよ、獣人すら昏倒(こんとう)するのに」


「言われてみればそうだ」


「それでも、アルコール抜きます?」


「……それでも今は俺の妻、俺はちゃんと向き合いたい、過去の男など知るか!」


「素振りに乱れが?」


「う、うるさい!」


「「!?」」


 ……でしゅから……


「ゲンジロウ」

「はい」


 そっ、と移動する二人。


(どこだ?)

(あ、あの城壁の影に)


 そこに、微かに見える人影が二つ。


「姫しゃま、ホントに大丈夫でしゅか?」


「はい、お酒を抜く方法はこれしかありません!」


「ここらでしゅたら、人目も無いでしょう」


 そこには着ぶくれしたシュガーロッドと、軽装のソルティ・ドルティ。


「これだけ着込めば汗も出やすいし、急激に冷めることも無いでしょう」


「はい、私もいましゅし、気分がわりゅくなったら、言ってくだしゃい」


 すっ、と型を作り始めるシュガーロッド。

 それは武術の型である。


 足下より魔力を練り、ゆっくりと動きだす。

 そして、すぐにその身体から蒸気が湧き始めた。


(若、まるで舞いですな)


(あの動き、相当な手練(てだれ)れだぞ。見ろ、あの足捌(あしさばき)き!)


 そして5分くらいだろうか、シュガーロッドは服を脱ぎ始めた。


(!?)


(ごらっ!ゲンジロウ見るなっ!)


「あついっ!もう、お酒は抜けたでしょうね?」


「とんでもなく、お酒くしゃいです!*モザイク*みたいな汗の臭いでしゅ!」


「そ、そこまで言わないで!でも、気分、爽快です!」


「しょのようでしゅ、ではお酒の汗を拭きお風呂へ」


 バイセンとゲンジロウはその女体から眼が離せなかった。

 そこには、無数の傷を宿した体があった。


「……この傷の数々……嫌われるでしょうか……」


「バイセンしゃまは騎士であり、剣聖、傷をお嫌いになることは、ないかと思いましゅ」


「それは戦士としてでしょう?私は……その……妻になる身です。この体、綺麗ではありません」


「いえ、民を守った証でしゅ」


「守った自覚はあまりないのですが……いつも成り行き上で……」


「向こうは覚えていたではないでしゅか、商人のリンジョウ、カモトヒの民」


「ですが……」


「お話しをされましぇ、きっと、()めてくだしゃいましゅ!」


 ここでシュガーロッドはポロポロと涙を(こぼ)し始めた。


「ひ?姫しゃま!?」


「……嫌われたくありません……こんな気持ち、初めてです……」


「姫しゃまを泣かすとは、とんでもない悪い男でしゅ!」


「……バイセンさまは悪くありません!」


「でしゅが、姫しゃまのことを悪女と絶対思っていましゅたよ?」


「そうでしょうか?」


「夫婦になるのでしゅ、お聞きなされましぇ、さあお部屋にもどりましょう」


「……はい」


 ここで不安に包まれるソルティ・ドルティ。


「……姫しゃま、初夜の心得、よろしいでしゅか?」


「はい、まかせてください!」


「……」


 かなり心配そうな目でシュガーロッドを見るソルティ・ドルティ。


「大丈夫ですよソルティ、関節技をキメない、でしょう?」


「……姫さま的にはそうなんでしゅが、一般的にはちがいましゅ!」


 今度はソルティが泣きそうになる。

 大丈夫か?我が(あるじ)は!


「そうなのですか?ではこれもバイセンさまに聞いてみましょう!」


 汗を流すだけ流し、スッキリしたシュガーロッド。

 足取り軽く部屋へ戻っていく。

 そして何やら重くなる覗き見ヤローの二人組。


「……ゲンジロウ、今のはなんだ?」


「……」


「何を笑っている?ゲンジロウ?」


「いや……同じことをして、汗を流しているのがおかしくて」


「そこか!?」


「……」


「どうした?ゲンジロウ?」


「若、ニヤけていますよ」


「はぁ?俺が!?」


「なにニヤけているんです、この果報者!あれだけの女に、あんなに思われるなんて!嫌われたくない?若が言わせたのですよ?」


「お、俺が!?」


「そうです」


「とんでもない女性だな」


「はい、あの動き、間違いなく称号持ちですよ。それにあの傷痕(きずあと)、異常です」


「……拳聖か?それとも槍聖?斧聖は南の砦にいるし」


「王家には……確か槍聖がいたはず」


「……あの無数の傷は……商人のリンジョウの言葉も気になる」


「ドバシィさまは、何かご存じかと思いますが」


「父上は話してくれん、お前が聞けとしか」


「ではそうなさいませ、なんせ夫婦なのですから、そしてこれから初夜ですよ」


「あ、そ、そうであったな」


 そしてバイセンは身支度をし、自室に戻る。


 この場合の初夜は、建前上お話しをするだけ、である。

 指輪の交換が済んでから夫婦となり生活が始まるからだ。

 だが今回は政略結婚、本人の意思は関係ないのだ。

 既成事実が先行する、悲しさである。


 寝室のドアを開けると、そこにはシュガーロッドが待っていた。


 シュガーロッドに与えられた部屋は、バイセンの寝室と繋がっている。


「……シュガー?」


「すぴー」


 寝て待っていた。


 王都からの長旅+夫との出会い+突然のパレード+『竜倒し』+酒抜き運動+結婚の儀式の緊張+その他出会いに会話+ふかふかのお布団=熟睡


「そりゃ、寝るよな」


 ソファーに座り、シュガーロッドを見つめるバイセン。

 ことのほか長い睫、綺麗な髪。

 こんなにしっかりと、女の人を見たことがないバイセン。


(かわいいなぁ……ん?寝顔をみていていいのだろうか?)


「すぴー」


 ボリュームのある胸部がゆっくりと上下している。


(触っていいのだろうか?いや、就寝しているし勝手に触ってはいけない気がする。夫婦とはいっても自分勝手はだめだろう)


 それに彼女は明らかに称号持ち。

 バイセンは確信している。あの型、あの動き、尋常ではない。


 ヘタに触ると、無意識的反射で斬られる。


 なんせ、自分がそうだからである。

 そしていつしかソファーで寝てしまうバイセン。


 そう、彼も疲れたいたのだ。


 深夜、パチリと眼を覚ますシュガーロッド。

 喉が渇いたのだ。

 大酒呑みあるある、である。いや、大酒呑みではなくても、飲酒後は水が欲しくなるのだ。


「ソルティ、喉が渇きました……お水をいいですか」


 すっ、と差し出されるゴブレット。


 ギョクギョク。


「ありがとう……ソルティ……?」


 え?ソルティ手がでかい?


 手の持ち主に眼を移すシュガーロッド。

 そこにはバイセンが立っていた。


「うひゃああああっ!?」


 奇声をあげるシュガーロッド。

 なぜ『うひゃああああっ!?』なのか、作者にも分からないが、奇声のあと、シュガーロッドはフリーズした。


 そしてなかなか再起動しない。


(え?な、なんでここにバイセンさまがここに?あ!?)


「ああああ、あの、私……寝てました?寝ていましたよね、その……ご、ごめんなさい……」


「いや、俺も寝てた」


 ここで止まる会話。

 続かないのである!


((どうやって始めるの!?その、いろいろと))


 見つめ合う二人。


((う、動けない、でも今じゃない気がする))


 ここで思い出すゲンジロウの言葉。


「言葉に詰まったら、相手のことを気遣う言葉を口にするのです」


 ああ、そうだな。


 そしてシュガーロッドも思い出す。


「姫しゃま、いたわりの言葉は誰でも嬉しいものでしゅ、言葉に詰まったらお使いくだしゃい」


 ああ、そうよね、ソルティ。

 最初に動いたのはバイセンだった。


「長旅、疲れたでしょう今日はどうでしたか?この辺境、城塞都市ウンタラは気に入りましたか?」


 そう言って、ゆっくりベッドに腰を下ろすバイセン。


(さ、先を越されましたぁあああ!)


「……はい、ここは気に入りました。私にあっているようです」


「お酒が?」


「えっ!?お、お酒だけではありません!」


 バイセンにしては、良い言い返しである。


「危険な所ですよ、ここは」


 そう、次々に戦士が戦い死にゆく場所なのだ。


「そうですね、バイセンさまも日々の守り大変でしょう」


(シュガーは傷を気にしていたな、俺から話しを振ってみるか?その方が話しやすいのでは?)


「肩の傷は?」


 さっ、と顔色を青くし、小さな手のひらで傷跡を隠すシュガーロッド。


「……これは……これだけではありません。他にも……」


「戦士の傷だ」


「!……はい……」


 バイセンの首元から覗く体にも、無数の傷跡があった。


「シュガーロッド、あなたは何者なのです?噂の悪女でない」


(よしっ!ここよ!)


 そう、シュガーロッドはソルティ・ドルティから秘策を授けられていた!

 それは、相手にセリフを言わせる、という超高難度なミッション!


「姫しゃま、会話の中で、必ず悪女を否定しゅる言葉を、バイセンしゃまに言わせるのでしゅ!」


「はい?そ、そんな高度な会話はできません!私には難しすぎです!」


「いえ、姫しゃまはもともと悪女ではありましぇん、ですから自然に会話していれば、必ずバイセンさまは、悪女を否定しゅる言葉を言いましゅ」


「そう、そうでしょうか……」


「そうしたら、こう言うのでしゅ!」


 ここでソルティ・ドルティの一人芝居が始まった!


「君は本当に悪女か?」←バイセンの声マネ(以外と上手い)

「そう思われましゅか」←シュガーの声マネ(そっくり)

「いや、君は噂の悪女ではない」


「いいでしゅか、ここで姫しゃま、衣をずらし、肩を見せるのでしゅ!」


「きゃあああっ!?エ、エッチですっ!」


「そしてこう言うのでしゅ、『お確かめに、なられましゅか?』これでスタート、バイセンしゃまは落ちます……姫しゃま?」


 シュガーロッドは真紅に染まり(耳まで)固まっていた。


「そ、それではまるで、私が悪女みたいではないですかっ!?」


「駆け引きでしゅ!」


「わた、私にはそんなシチュエーション、む、無理ですっ!だいたい、夫婦に駆け引きが必要ですか!?」


「特訓でしゅ!」


「ひーん」


 こうして30分程の短い時間で、猛特訓する鬼教官ソルティ・ドルティと、消極的生徒のシュガーロッド。


 さて、特訓の成果は!?


 衣をほんの少しだけずらし、手で傷跡を隠す。

 さすがに恥ずかしいのだ、怖さもある。


 それでもチラリと見える胸元は、大いにバイセンを刺激した。


 熱い視線を感じるが、手は動かせない。やはり傷跡は見せたくない。


 そして決め台詞。


「……お確かめに、なりまじゅが」←咬んだ。


「……(咬んだ)」←なんか察している。


「……ます……」


「……え?」


「旅に出ます!もう無理です、あんなに練習したのに、駆け引きなんて私には無理ですっ!ひーん」


 なんで肝心な時に限って咬むんだ!

 さっ、と手を掴むバイセン。


「旅になど行かせない」


「ですが!」


 掴まれた手を『鬼籠手(おにごて)すくい』で外し、反射的に『蠍掴(さそりつか)み』で掴み返すシュガーロッド!


「なっ!?」


(俺の『籠手掴(こてつか)み』を返した!?剣聖の俺の技を!?)


「ふふっ」


 満面の笑顔のシュガーロッド。


(剣聖の俺を笑った!?)


 更にシュガーロッドの『蠍掴み』を『桃皮剥(ももかわは)ぎ』で滑らせ、逆に『蠍掴み』で掴み返すバイセン。


「ふっ」


 (かす)かに笑うバイセン。


(えっ!?私の『蠍掴み』を滑らせた!?なんて技なの!?こんな技知らない!)


「い、今のは!?」


「父上直伝の秘奥義『桃皮剥ぎ』だ……君は、拳聖か?私の技を次々に返す、これは奥義『(おう)(がえ)し』ではないのか!?」


「拳聖はソルティです」


「!?」


「ただ、私が呼べば、リモウスの祠から聖なる籠手が送られてきます」


「どう言うことだ?」


「私は弓聖なのです」


「え?」


「先に弓聖の称号を取りましたので、拳聖は辞退したのです。ですがリモウスの祠は私を認め、ソルティが使っていないときは私に使用を許可しています」


 会話中も腕の取り合いが続いていた。


 そしていつしか二人は技に熱中し始めた!

 止まらないのだ!

 技を返される(くや)しさ、キマらなき(あせ)り。

 特にバイセンは楽しみ始めたのだ!


 全力で技を使っても、あっさりと返される。


(こんなにあっさりと返し技が!?今までない経験だ!なんだ今の技は!俺の後を取った!?剣聖の俺の!有り得ん!)


(これが剣聖?剣だけじゃないの!?バックをとっても、すぐに取り返される!)


 シュガーロッドも驚きと感動を味わい始めた。


((凄い、ここまでの技を!))


(俺の技、効果がないとは!?)

(私の技が効果無しですって!?)


 そして体術は加速し、全身を使ってのスパーリングになる!

 二人の実力は拮抗(きっこう)していた。


 ヒュッ、とシュガーロッドが肩と首を絞める!


「どうです?奥義『葛締(かずらじ)め』です!」


『桃皮剥ぎ』で(かろう)うじて締めを(まぬが)れるバイセン。


「あまい!」


(い、今のはヤバかった!締め落とされる所だったぞ!)


 シュガーロッドの豊かな胸が押しつけられていたのだが、それどころではない!


「なっ!?ソルティ直伝の『葛締め』を!?同じ技で!悔しいっ!」


 もはや、楽しくてしょうがない!

 そして楽しい時間の終りが、唐突にやって来る。


「「!?」」


「シュガー!」


「はい、バイセンさま」


 魔物の気配。


 カーテンを開くと、遠方の城壁が赤く染まっていた。


(姫しゃま)


「ソルティですか」


(私がでましゅ、姫しゃまはバイセンしゃまと一夜を)


「そうもいきません、数が多いようです、私も出ましょう」


(城壁が危ういようでしゅ、先に行きましゅ)


 バイセンは籠手と臑当(すねあ)てを装備し始めた。


「手伝いましょう」


 ぐっ、と革紐を締めるシュガーロッド。


「締め付けはこのくらいで?」


「ああ、充分だ」


 胸当てを装備し、バルコニーへ出るバイセン。


「行ってくる」


「ご武運を、私はここから援護します」


「なるほど、ソルティが出るときは、基本、君は援護か?」


「はい」


 バイセンは右手を夜空に向けた。


 一瞬、周りが真昼のように明るくなる!

 そしてバイセンを中心に無数の魔法陣が飛び交う!


EX(エクス)カリバーン!」


 挿絵(By みてみん)


 ドオオオオオオオオオオンッ!


 空間が振動し、右手に現われる七色の宝剣!


 フッと消えるバイセン。


 遙か遠方の城壁で、光の渦か暴れ始めた!


「では私も……」


 シュガーロッドは静かに左手を夜空に向ける。


 風が吹き荒れ、シュガーロッドを中心に無数の魔法陣が飛び交う!


悟克放丈(ごこくほうじょう)!」


 ドオオオオオオオオオオンッ!


 空間が振動し、真紅の大弓が現われる!


 そしてバルコニーから放たれる虹色の矢の数々!

 矢は、大きく弧を描き、城壁に迫る魔物を次々に撃ち抜き吹飛ばす!


 ……お、おい、見ろ!なんだあれは!?……

 ……城から無数の光の……矢か?あれは!?……

 ……あいつ、輿入れした悪女じゃないのか!?……


 髪を振り乱し、半裸で大弓を引くその姿は、神々しかった。

 魔法陣が飛び交い、次々に飛んで行く虹色の矢。

 その姿は、城塞都市ウンタラの都民を魅了した。


 ……おい、なんで城壁の向こう側が分かるんだ!?……

 ……あの悪女、聖弓か……

 ……おい、剣聖と聖弓だと……

 ……ぜ、前線に光の狼が……

 ……え?……

 ……す、凄まじい獣人が!輝く獣人が……


 そして朝日が昇り始め、夜が明ける。


 魔物は全て撃退されていた。


 ここから運命の日が始まる。

 二人にとって大事な儀式、指輪の交換日である。

 見事、交換できれば二人は夫婦として認められるが、はたして?


 今回はここまでです。

次回 第六話 サブタイトルは その日 です。

毎回ご愛読ありがとうございます。


次回予告


 その日の朝。

「で、まだ起きてこないと?」

「はい」

「ゲンジロウ、たたき起こしてこい!」

「おそらく、皆さん寝ていますが」

 寝坊である。

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