表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
227/235

二百二十七

 ギギィ……。重そうな扉の音が牢屋に反響する。同時に、それぞれ寛いでいた三人の男が、私から見て左の方に視線を向けた。


「お約束通り、連れて来やしたゼ」

「うむ、ご苦労だったな。流石の手並みだ。下郎共とは訳が違う」


 彼等の依頼主であろう者の声を聞いた瞬間、私の肌が粟立った。そして、その声の主が私の前に姿を見せた時、想像が確信へと変わった。


「あんたは……フォワールっ!」

「おお、そうだぞ。お前達下民共が敬愛するフォワール様だ。んん? 頭が高いぞソコへ跪け」

「どうして……あんたは植物状態の筈じゃあ……」


 オジサマから聞いて以降、興味も無かったからコイツの事は頭からスッポリと抜けていた。


「とある方のお力添えでな、この計画の為に周囲を欺く必要があったのだよ……」


 フォワールはそこで言葉を途切らせ、そしてその身に殺気を纏わせた。


「そう、総てはお前に復讐する為だ。カーン=アシュフォードっ」


 和やかな表情で話していた先程とは打って変わり、鬼の様な形相で私を睨み付ける。


「冠位も持たぬ下賤の輩がよくもまぁ、このワシを小馬鹿にしてくれたもんだな。お陰でワシは良い笑いもんだ。本来なら、『リブラ』の小娘共々ワシの高貴さをその身体に叩き込んでやる所だが、今の所はお前で我慢してやろう。覚悟しておけよ?」

「それは構いませんが、殺さない程度でお願いしますよ」


 壁の向こう側から別な声。その声も聞き覚えのあるモノ。二メートル近い長身の割に、ひょろりとした頼りない身体つき。ドクターコートを羽織り知的に見えるが、中身は罵られたりするとゾクゾクゥってきちゃう変態さんだ。


「お久し振りですねぇカナさん。相変わらず良い表情をなさる」

「ラインマイル卿……」


 最悪だ。考えうる限り最悪なヤツラがタッグを組んでいた。


「どうして……」

「どうして? 私はあなたに言ったではありませんか。『錬金術学的に非常に興味がある』と。機が熟したので、こうしてご足労願ったのですよ」


 機が熟した……?


「それってどういう意味……?」

「それよりも……『サヒタリオ』、彼等に報酬を渡しなさい」

「はい。承知しました」


 フォワールは腰に下げていた麻袋を手に取り、セクハラオッサンに手渡した。


「こ、こんなに……?」

「ええ、素晴らしい仕事ぶりでしたからね。少しイロを付けておきました」

「へへ……そいつぁ助かりやす。それじゃあっし等はこれで」

「ええ、夜も深い。道中気を付けて帰って下さい」

「へへ、又のご利用をお持ちしておりやすぜ。じゃあな、ネエちゃん。立派に生きろよ」


 そう言い残し、セクハラオッサン達は出て行った。それから少し間を置いて、何処か遠くから誰かの悲鳴が耳に届いた――

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ