二百二
次期冠十二位はカーン=アシュフォードに決まり、それを推したのはタドガーだと言うのだから、何かしらの意図があって推したとしか思えない。
「では、王女殿下から鉱石を一時返して頂き、ソレを与えてやれば問題ないと思うが?」
オジサマはそう言うけれど、医療機関でも無い一個人に、アレを根掘り葉掘り調べられるのはいい気がしない。だってアレは私の――
「それが一番現実的ですわね」
「そうね」
うっわ。二人共ノリノリだ。
「どう? カナちゃんもそれで良い?」
私に繋がる様な何かが出ればどうなるか分からない。かといって、このまま即位して執拗に聞かれるのも、ハゲてしまいそうだ。
「ほ、他に何かありませんか……?」
「うーんそうねぇ……森に入ってもう一個見つけてくる、とか?」
それは却下で。
「だけど、また在るとは限りませんよ。アレも何百年に一個の可能性もありますし」
「そうなのよねぇ……」
条件さえ満たせばまた出るかもしれない。だけど、あんな思いはもう二度としたくない。危ない橋を渡るしか無いのか……
「分かりました。王女殿下に一時返却を願い、ソレをタドガーに与える。というオジサマの提案に賛成します」
「それで、良いのね?」
「はい。王女殿下に取り次ぎをお願いします」
「分かった。スグに。とまではいかないだろうが、なるべく早くお会い出来る様に取り計ろう」
オジサマの言葉に緊張した面持ちで頷く。そしてもう一つ、橋を渡ると決めた時に心の中で決めた事がある。
「オジサマ、おばさま。そしてリリーカさん。私に戦う術を教えて下さいっ」
何時迄も守られているだけじゃダメだ。少なくとも、降りかかる火の粉くらい自分で何とか出来る様になりたい。
私の決意が本物だと思ってくれたのか、オジサマ、おばさま、リリーカさんは顔を見合わせる。
「お父様、任命式はいつですの?」
「年明けてすぐだ。あと三ヶ月って所だな」
「では、急がないといけませんわね……」
オジサマ、おばさまとリリーカさん。私に向けられた六つの目玉がギラリと光った。……気がした。
「え……あ、あのぅ……」
「ふふ……覚悟してねカナちゃん」
お、おばさま……?
「ええ、もうらめぇって言わせて差し上げますわ」
り、リリーカさん?! どこで覚えたのそんな言葉っ。
「ククク……用意はいいか、小娘」
こっ、小娘っ?! オジサマまでおかしくっ!?
「このオレのピーをそのエロい身体に刻み込んでやっ――」
おばさまから放たれた拳が、オジサマの後頭部を正確に捉え、オジサマは床に突っ伏した。
「あなた、女の子にそんな事を言ってはダメですよ」
「……ばい、ずみばぜん」
オジサマ……無愛想でクールな外見とは裏腹に、内側ではそんな事を思ってたんだ。
「ところでお姉様、ルリ姉様はどうしますの?」
あ……すっかり忘れてたっ。




