勇者
改めて自分の魔力量の少なさに実感した。
「じゃあ、今度は俺が魔法を撃つから、俺のことを見といて」
「わかった」
「じゃあ行くよ、吹き飛ばし」
ヴィリアムがそう唱えると、彼の周りの魔力の色がこうなった。そして、魔力が光り、吹き飛ばしが出る。
ビュンッと強い音が鳴る。もし、ヴィリアムが自分に向けて撃っていたら、軽く三十メートルは吹き飛んでいただろう。自分が撃つよりも何倍も強力だ。
「どうだろう?俺が魔法を撃つ時に、魔力の色が濃くなって、その後光っただろ?」
「あっ、うん」
魔法が強くて、驚いていた。
「どうした?そんな驚いて」
「いや、僕が使うよりも遥かに強力だから」
「その理由は、魔法の熟練度もあるけど、1番の要因は魔力量の多さだね。」
「魔力量の多さか」
確かに、アーヤ師匠も初めて魔法の火の玉を見せてくれたとき、とても大きかった。
「魔力量が多くなると、一回の魔法の威力が勝手に強くなるからね」
「あと、前も思ったけど、なんで魔法を使う時に魔法名を言っているんだ?」
一昨日の夜に人狼と戦った時もそうだ。魔法名を言わない方が相手に何を使うのかバレないのに。
「それはね、君にどんな魔法を使っているのか教えるということと、半詠唱をすると、魔力の消費が少なくなるからね」
「半詠唱?」
なんだそれ。アーヤ師匠からも聞いたことがない単語だ。
「魔法名をだけで魔法を発動させることさ。この詠唱は、魔力の消費が少し抑えられて、魔法が使いやすくなるんだよ。ま、詠唱の方が使いやすいけどね」
「なんで、アーヤ師匠は魔力の少ない僕にそれを教えなかったんだ?」
魔力量が一般人並みの僕にそれを教えた方が良かった気がする。
「それは、彼女の魔力量は人類で一番多いからだよ。だから、わざわざ敵に使う魔法を言うメリット。それ故に、そのことを忘れているのさ」
「もしかして、ヴィリアムってアーヤ師匠に会ったことある?」
「そうだけど、なんで?」
「いや、見たことあるような感じで話してたからね。いつあったの?」
「五年ぐらい前だね」
「どこであったの?」
「ラルセント国で勇者の集まりであったね」
ラルセント国は世界で一番大きく、栄えている都市だ。
「勇者の集まり?」
「勇者の集まりは、簡単に言うと、勇者の頂点を競い合う大会だね。六年に一度開催する大人気のイベントだよ。」
「勇者の集まりか、面白そうだね、ちなみに前の大会の優勝者は?」
「一応、闇の勇者だね。その時俺は勇者になったばっかで、初戦で闇の勇者と戦って負けたよ。懐かしいね。その時に話したね」
「さすがはアーヤ師匠だね」
「あの人は異次元の強さだよ、今の俺の状態で戦っても、勝てる未来が見えない」
他の勇者と比べたらどうなのだろうか
「他の勇者もそうなの?」
「まあ、そうだね。ただ、一人違う人がいたな。火の勇者フレイズだ。彼は決勝でほぼ互角の戦いをしていた」
火の勇者って確か、
「ま、今は居ないんだけど」
「そうだった思い出したよ。居ないってことは勇者をやめたのか?」
「いや、行方不明だ。ま、多分死んでいるだろうね。あ、この情報って公開してないやつだった」
「え?」
「ハルカ。くれぐれも秘密にね。それでね、一番重要なことが、この世界にもそんなに強い人を殺せるやつがいることだ。」
「そんなやつがこの世界にいるのか…」
ヴィリアムより強いアーヤ師匠と互角の火の勇者を殺せるやつがいるなんて驚きだ。
「これ以上話しても埒が明かないし、一旦話は終わりだ。さ、続きをやるぞ」
「わかった」
色々と気になることがあるが、先に訓練を終わらせよう。




