中級魔法1
前回の武術大会で分かった。僕は川上よりも圧倒的に弱い。だが、最初川上は僕の三百倍ほどの力を持っていると王女が言っていた。つまり、毎日訓練をしていけばいつかは追いつけるかもしれない。その可能性は限りなく低いが、モチベーションに繋がる。だから、まずは中級魔法を覚えなくてはならない。アーヤ師匠が僕に中級魔法を教えてくれる条件は、火の玉を六個同時に使えることと、闇穴を三個同時に使えることだ。そのうち一つの火の玉を六個同時に使えるのはできるため、あとは闇穴を三個同時に使えるようになることだけだ。だが、闇穴を二個同時に使えるところからつまづいている。アーヤ師匠にコツを教えてもらおうとしても、自分でしてみろと言われた。これも勉強なのだろう。二個までは頭の中でイメージできるが三個になると急にできなくなる。お手玉と同じと同じで二個同時に使えても、三個はできないようなものだ。つまり、難易度が段違いに難しくなる。
その時は急にやってくる。
僕はいつも通り闇穴の練習をする。集中する。そして生成。今日は調子がいい気がする。
「あれ?」
魔力の流れがいつもとは違う気がする。
目の前には闇穴が三個同時にできていた。
僕はいきなりのことで驚く。そして、
「やったぁぁぁぁ!」
練習している平原で僕の声が響く。そんなことはどうでもいい。なぜなら、ついに闇穴を三個同時に使えたのだから。つまりこれでアーヤ師匠に中級魔法を教えてもらえる。
僕は急いで家に戻る。
「あら、おかえりハルカ。どうしてそんなに元気なの?」
「実はついに闇穴を三個同時に使えるようになったのさ」
「え!すごい!おめでとう」
「いやー、ありがとう」
「お母さんはもう一ヶ月はかかるって言ってたのに」
アーヤ師匠には思ったより期待されていないようだった。
「いきなり使えるようになったからびっくりしたよアーヤ師匠は?」
「お母さんはね、台所でお昼ご飯を作っているわよ」
「ありがとう、教えてくれて」
僕は台所の方へ行く。アーヤ師匠が料理をしている。
「アーヤ師匠!」
「どうしたんだいハルカ君?そんなに嬉しいことがあったのかい?」
「はい!実は闇穴を三個同時に使えるようになったんです!」
「おお!思っていたよりも速かったね。ってことは中級魔法を教えてほしいんだね?」
「そうです!早く使いたいです!」
「分かったよ、昼ごはんを食べてから教えるよ」
「はい!」
僕達は昼ごはんを食べていたもの平原に行く。ルージュも僕が中級魔法を覚えるところを見たいらしく、ついてきた。
「よし、じゃあ中級魔法を教えるね」
「はい!」
「今日はハイテンションだね。まあ無理もないか、前まで散々中級魔法を覚えたさそうだったからね」
「ちなみにまずは何を覚えるのですか?」
「まずは闇魔法の闇鞄を教えるね」
アーヤ師匠が作った魔法か、どんな詠唱文なのだろうか。
「この魔法は、詠唱文が存在しないから、無詠唱限定なんだ。だから、闇穴が三個同時に使えるようにさせたんだ」
「どういう風にすればいいのですか?」
「まず、これが一番難しい。空中に闇穴を作るんだ」
「空中にですか?」
「物をとるときにいちいち地面から出すのは面倒くさいだろ?」
まあ、分かった。しかし、空中に作るのか、一回やってみよう。
僕は空中に闇穴を作ってみる。だが、これが難しい。今まで散々地面に発生させてきたのだから。目をつぶって集中する。
「フゥッ」
力んで声が出てしまった。
「おお、」
アーヤ師匠が驚いた声を出す。僕も目を開けてみる。空中に大きい空間ができていた。




