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第17話 王宮誓約局の監査

監査は、祝宴会場ではなく王宮誓約局の閲覧室で始まった。


 監査官ユディット・レンベルクが淡々と書類を並べる。四八七二の削り跡、修道院の搬入票、偽婚約印、持参金庫の空箱、そしてミレイアの招待状。


「セレナ・アルヴィス名義の主任認証は返納済みです。使用可能だった理由を説明してください」


 局長補佐マルセルは黙り込み、フェリクスは局長命令を口にした。局長は「祝宴が先で確認が遅れた」と苦しい言い訳を重ねる。


 その間、ユディットは宝飾目録と実物照合を進めた。ミレイアの首元から外された首飾りの裏には、ヘレナの婚礼番号が刻まれている。


「……そんなはず」


 ミレイアがかすれた声を漏らした。


「自分で押した印でしょう」


 私は静かに言う。


「自分のものではないと、知っていたはずです」


 閲覧室の空気は重かった。けれど私は不思議と息がしやすかった。もう私一人の言葉ではなく、番号と封蝋と実物が同じ方向を向いていたからだ。


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