計画的山賊達
前線基地にやってきたアキトは周囲の兵士達の士気の低さに怪訝な顔をする。
(内戦とはいえこの士気の低さはマズいな、負けるぞ)
アキト的には負けても知らん顔できるが上層部に近づくにはそれなりに頑張らないといけないなと兵士達とコミュニケーションを取ってみることにする。
「ハロー、調子はどうですか?」
「誰だお前」
「傭兵です。最近入りました」
アキトはペコペコと頭を下げて低姿勢で話を進める。
「内戦はどのくらい続いてますか?」
「お前何も知らないのか?ここ数年続いているというのに」
「と、遠くから来たもので…」
アキトは誤魔化し笑いして話を続けようとする。しかし兵士達は疲れた顔をして話を遮る。
「勘弁してくれ、何でもかんでも聞かれても疲れるだけだ。詳しい戦況は将軍にでも聞いてくれ」
「う、すみません…」
アキトは謝りその将軍を探す。草臥れた様子の重装の男が野営テントにいてアキトは色々と察しながら挨拶を交わす。
「どうも、物資輸送でやってきました」
「あぁ、ご苦労様。新顔か?」
アキトは傭兵になった経緯を説明する。
「傭兵か、どのくらい強いのやら」
「襲われる部隊を守りながら山賊一味を一人でボコれるくらいには…」
ほうほうと将軍はアキトの実力は高いものだと判断して感心する。
「俺はファウル、帝国軍はこれから君の世話になりそうだ」
自己紹介されてアキトも自己紹介を返す。
「アキトです。宜しくお願いします」
帝国軍と聞いてアキトは思っていたよりも規模が大きいなと頬を掻く。ファウルは続けて戦況を話す。
「このブラックリーチの土地を失う訳にはいかない。なんとしても反乱軍をここで抑えなければ」
「相手の数は?」
「数百といったところか、我々は百五十余り、普通に戦っても負けるだろう」
反乱軍と前線基地の兵数の差にアキトは唖然とする。
「帝国軍の本隊は?」
「各地の反乱軍のゲリラ戦術相手で手が回らないようだ」
状況は分かってきた。そんな戦況でも犯罪者を異世界送りにしている事を深刻に思ってしまう。
(犯罪者を異世界に…人口が減り続けるだろうに…いや影響は微細か?しかしこの事を簡単に聞くに聞けないのはもどかしいな)
「何か考え込んでいるようだな…?」
「ちょっと気になる噂を耳にして…」
アキトは犯罪者が行方不明になる話を出すとファウルは何か知っている様子で「ああ…」と頷く。
「私も詳細は知らないが帝国首都では犯罪者を異界に島流しにしているようだな」
「異界…?」
「おっと、話をしてもよく分からないよな?…異国に送っているということだ」
やっぱりかとアキトは溜め息をついてどうにかしないとと険しい顔をする。
「それがどうかしたのか?」
「送られた側は大変だなって…」
「ふむ、我々の預かり知らぬ所だな」
間違いなく是正しないといけないなとアキトは内心ムッとしてしまうが顔に出さないようにして仕事を探す事にする。
「話を戻しましょう。今自分に何か出来ることってあります?」
「そうだな…君は山賊退治が得意らしいし近くの洞窟を根城にしている山賊を退治してきてくれ。物資輸送の邪魔だ」
「え?まだ居るの?」
複数の山賊に囲まれてる道を使う方が問題あるのではないかとアキトは渋い顔をするが他の一般人や商隊の迷惑にもなっているだろうし断る理由は無いとまたまた山賊退治へ向かうのであった。
ーーーーー
指定の洞窟近くに寄ると早速見張りの山賊と出会す。
「旅人か?ここへ来るべきじゃなかったな!」
結構規模の大きそうな山賊の砦にアキトは騙された気分になりながら仲間を呼ばれる前に見張りの山賊の首を斬撃波で斬り飛ばす。
「要塞化してるな…デカ目の組織じゃないか…」
堂々とアキトは洞窟に侵入してちょっと隠密気味に先へと進む。少し開けた場所で次の襲撃などの計画をしている山賊達を見つける。
ゲラゲラと笑っているのを見てアキトはコソコソと闇に紛れて敵の数に合わせて懐からナイフを抜き出してノック音を立てて顔をアキトの隠れている方へ向かせる。
「なんだぁ?」「誰かいるのか?」
数人が確認に向かってくるのに合わせて姿を現して素早く投擲、一撃で山賊達を一網打尽にする。
「ふぅ、やれやれ。無警戒に音に誘われちゃあ危ないぜ?」
アキトは山賊達のテーブルに乗っている手紙がある事に気付いて中身を確認する。
(ほぅ、反乱軍が物資を与えて組織させたのか。拠点の周囲に山賊がいるのも納得だな…)
手紙にある反乱軍からの指令にアキトは冷笑する。不意に背後から殺気を感じてアキトは回避行動をする。
「うおりゃぁー!」
斧が振り下ろされてテーブルが両断される。
「っち、外したか」
男は舌打ちしつつニヤついてアキトを睨みつける。
「山賊のカシラか?」
「よくも部下達をやってくれたな…?許さねぇぞ?」
口とは裏腹にアキトの首が幾らになるか皮算用をしている様子で勝ちを確信した様子で斧を構える山賊頭。
白けた目をするアキトは素早く刀を振り抜いて斬撃波を浴びせ余裕の表情だった山賊頭はバッサリ切り捨てられるのであった。
「油断大敵、さて、手紙も得たし報告すっか」




