お説教をしに
アキトは異世界に入り早速犯罪者を異世界送りにする街の前に降り立つ。
「気が利くじゃないか。街の近くは助かる」
普段見せない神鳴の優しさにアキトはいつもこれならなと呟きつつ街に入ろうとする。しかし門番に止められてしまう。
「何者だ、門は閉ざされている。中には入れられない」
アキトはやれやれと内心思いながらもいつもの軽口でどうにかやり込めようとする。
「旅の者なんだがどうしても腹が減って…何か食べ物を…」
「…金は?持っているのか?」
「路銀も尽きて…仕事も探したい…」
悲惨な境遇なのだとアピールし情に訴え掛けてみるが無情なまでに冷静な門番は首を横に振る。
「ダメだ。金もない奴が生意気な…仕事だと?賊でもやったらどうだ?お似合いだぞ」
挑発されてアキトは苦笑いして頭を掻く。
喧嘩してもいいがいきなり面倒事になるのはマズいと思いつつ挑発に乗るのは悪い事かと思い直す。
「なんだぁ?やるかぁ?」
ボクシングポーズを取るアキトに門番はゲラゲラ笑って剣を抜く。
「調子に乗るなよ浮浪者!」
「おっと、抜いたな?」
アキトも刀を抜いて相手してやると喧嘩どころか殺し合いに発展する。アキトは軽く刀を振って相手の剣を切り落とす。
「なっ!?」
「まだやるか?」
「待て、わかった…だが入場しても見張りは付けるぞ」
門番は冷や汗を垂らし仕方なさそうに城壁に向かって合図を出して門を開けさせる。こうしてアキトは刀を納めて堂々と入場するのであった。
入場するとすぐ近くに衛兵がやってきてアキトを威圧する。
「仕事と宿だな?金がない奴が簡単に仕事を探せるのか…?」
「まぁ、頑張ってみせるさ。まだ日は高い」
アキトは笑って仕事探しを始めるのであった。すぐに仕事は見つかり市場にて近くの洞窟で鉱石を採ってきてほしいという仕事を請け負い早速街を出て一人洞窟を目指す。
洞窟というよりも放棄された坑道に入ったアキトは探索を始める。
「さて、鉱石を探さないとな。落ちてないかな?最悪その辺のツルハシ使わないきゃならないか?」
そんな独り言を呟いていると奥の方から人の声が聞こえてくる。
「次に馬車を襲うのは…」
山賊が襲撃の話し合いをしているのか重要な単語が聞こえてきてアキトは溜め息をつく。
「なんだ賊か…」
コソコソと動き隠密を続けるアキトは鉱石を手に入れるなら山賊を倒さないとダメそうだとなって仕方なく黒コートの内側に手を入れる。
会議を終えて解散する山賊、アキトはバラバラに行動を始めた山賊を一人一人処理する算段を立てて投げナイフで丁寧に処理していく。
「ぐぁ!」
一人が声を上げて山賊全員が臨戦態勢に入りアキト目掛けて武器を構えて突進してくる。
「なんだコラ!」「すっぞコラ!」
アキトはそんな山賊すら素早く仕留めて華麗に対処する。山賊の頭と思われるガッシリとした装備の男が両手斧を掲げて現れる。
「テメェ、ナニモンだコラァ!」
「簡単なお仕事引き受けた旅人だ」
「簡単だとぉ!死んだぞテメェ!」
部下を殲滅されたのにまだヤル気に満ちている山賊頭領は斧を振り回しアキトの投擲を斬り落とす。
「お、やるじゃあねえか」
他の雑魚と違うとアキトは感じ取って刀を抜く。
山賊頭領とのぶつかり合いでアキトは違和感を感じる。
「普通…じゃないな?」
「その通り!俺はスキル『頑強』を覚えた…」
「なんだ、そういう事か。どうして山賊ってのはどいつもこいつもそういうのを好むのかね?」
相手の言葉を遮りアキトは落胆したようにスキルの事をすぐに飲み込み理解し斧を一撃で切断する。
「馬鹿なっ!」
「おっと、斧までは頑強じゃなかったな」
「貴様ぁ!」
山賊頭領は落ちている仲間の武器を即座に拾い上げて構えを取る。
「うオラァ!」
そのまま力任せな一撃を振り下ろす。地面が抉れて瓦礫が飛ぶ。それをアキトは冷静に下がって攻撃を回避する。
攻撃が当たらず頭領はアキトを睨みつけて苦々しい顔をする。
「…テメェもスキル持ちか?」
「いや?鍛え方が違うだけさ」
アキトの小馬鹿にした態度にイライラが爆発した頭領は身体を回転させながら武器をがむしゃらに振り回しアキトを追い詰めようとする。
「ブッコロス!」
「んな滅茶苦茶な…」
壁際まで追い詰めてくる敵にアキトは隙を見出して瞬時に頭領の懐に飛び込み縦一線の一撃浴びせる。
「がはっ!」
流石の頑強スキルでも羅刹の一撃には耐えられず袈裟斬りにされて血が吹き出し倒れるのだった。
アキトは起き上がらないのを確認してから納刀して仕事に戻ろうとする。
(あ、ついでに山賊が金持ってないか確認しよ)
仕事ついでに臨時収入をゲットだとアキトは洞窟の探索を進める。
お目当ての鉱石の採掘場所を見つけてさっさと掘ろうと近場の放棄されたツルハシを使いカツンカツンと掘り始める。その辺にある袋いっぱいに詰めた鉱石を持ち帰る事にするのであった。
日は傾き夕時に街に戻り衛兵に睨まれながらアキトは仕事の報告と多めの報酬を頂き満足そうに宿を取りに向かうのであった。




