狩りごっこ
沢山の人々が空飛ぶ円盤に注目をする。翔達は急ぎ円盤を追い掛けて祭りの中心部まで集まってくる。
「な、なんなのよアレ!」
「UFOだ、ユーフォー!」
「見れば分かるわよ!」
黒鴉は翔の発言に噛みつきながら剣を抜こうとする。
『アー、マイクテストマイクテスト、ハローエブリワン!』
響いてくる若い女性の音声に人々は大混乱、横文字にアキトは白けた目を向ける。
慌てた様子のアキトを追いかけて来た水原為義と平良忠盛の両名が顔を合わせて軽く火花を散らしながらアキトに質問する。
「なんなんだありゃあ…なんて言ってるんだ?」
為義に詰められてアキトは苦笑いしながら答える。
「えーっとだな、こんにちは皆さん…」
『レッツ、エンターテインメント!イッツ、ゲームタイム!』
「娯楽と遊びの時間です」
二人ともアキトの翻訳を聞いて目を細める。
「フザケているのか…?なんなんだあの飛行体は…」
アキトは冷や汗を垂らしながら次の音声を和訳する。
『ア、ハンティングゲーム!』
「狩りごっこ…マズいな」
アキトに続いて翔達も身構える。
円盤はビカビカと光を放ち立体映像が流れる。
『ハロハロー…ん?…言語設定が違った?まぁいいわ。ルールは簡単生き残ることー。はいよーいドン!』
円盤の中央が開いて機械とも生物とも言えないハイブリッドな四足歩行のモンスターが投下される。人々を襲おうとするそれにアキトは即座に反応して羅刹の一撃を撃ち込む。
「ハリス!民間人の避難誘導をしろ!」
「は、はいぃ!」
ハリスはアキトの剣幕にビビりながら大声で人々を誘導する。
一撃でハイブリッド生物をダウンさせるが倒す事は出来ていないようですぐに立ち上がってくる。
円盤からは戦力が不足していると見て更にモンスターを投下してきて翔達も対応に追われる。
「街の人々は殺らせない!」
「こんな見世物、プロデューサーはクビね」
翔と黒鴉に続いて玉藻前も尻尾を三本にして意気揚々と前に出る。
「よっしゃ!本気見せたる!いくでー!」
ようやくお披露目できるとご機嫌に翔達はアキトに続いて戦闘を開始する。
都を混乱させるなどと怒れる武士達もまた次々と集まってくる。
「親父!なんなんだこれは!」
「忠盛様!平良一門すぐに動けますぜ!」
都の守りを外様の翔達に任せられるかと水原、平良両家が立ち上がり戦闘に参加する。
『ご覧下さい、無謀で勇敢なヒーロー達です!』
次々とモンスターを投下する敵は実況して場を盛り上げる。
『ちょっと不粋な輩が混じってますが…まぁ問題無いでしょう、さぁ!ここからが本番ですよー!』
武士達の抵抗もありモンスターは次々と破壊される中で大物が下ろされる。
『タイラントドラグーン!』
以前都を火の海に変えた怪獣が姿を現して一同を仰天させる。為義が弓を構えさせながら叫ぶ。
「こいつは!気を付けろ火を吹くぞ!」
熱線を吐く体勢に入る怪獣に対し武器を持ち替えたアキトがヒョイヒョイと氷の足場を作り飛び掛かる。
「好き勝手にやらせるかよ!」
熱線攻撃より先にアキトの作り出したとびきりの氷の塊を口に詰められて怪獣は身悶えする。武士達は今だと矢を一斉に浴びせる。
「ウチらも続くでー!」
玉藻前がアキトのように氷の足場を作り三人が続いて怪獣の頭上を取る。
「貰ったぁ!」
黒鴉がバハムートを呼び出して水流を浴びせる。硬い鱗に阻まれ切断出来ず軽く舌打ちする。翔が雷怨で水流に電撃を流し感電させる。
「ギャオオオン!」
流石にダメージが入って叫び声を上げる怪獣、ガンガン行くと黒鴉は武器を持ち替えてノヅチの力で怪獣の半身を土の中に押し込む。一気呵成に攻め立てて炎のコンビネーションを放つ翔と玉藻前。
三人の圧倒的な技のオンパレードに武士達は唖然とするが大将の一声で我に返りまた矢を番える。
「撃て撃てー!火を吹く暇を与えるな!」
速攻で劣勢になる敵は困った顔をして頬を掻く。
『あらら、大物がこんなあっさり…』
アキトが懐に潜り込んで怪獣の首を切り落としいい所を持っていく。
『…困りましたねぇ…どうしますぅ?はい、はい。オーケー分かりました!』
まだ諦めていないのかとアキトは溜め息をつきながら刀を円盤に向ける。
『視聴者はもっと過激なものをお望みのようですね。では行きなさいレッドラム!』
エンジン音を轟かせて両手がチェンソーの巨人が大地に降り立つ。レッドラムと呼ばれた怪人はチェンソーを振り回し翔達を威嚇する。
武士達から放たれた矢はチェンソーで弾き防がれる。
アキトが立ちはだかるが無視して遠距離攻撃をする武士達を狙ってレッドラムは飛び跳ねる。
「っく、コイツ!」
頭上を越えられたアキトは舌打ちして急ぎ怪人を追い掛ける。
武士達が狙われる中で為義が恐れを知らずに声を上げて斬り込む。
「テメェら!刀を抜け!斬り刻んでやれ!」
息子達を筆頭に刀を抜いて一斉に斬りかかりレッドラムは逆に斬り刻まれる。
『ワァオ、恐れ知らずの野蛮人!』
加勢も必要無く一体の怪人なら楽々と倒してしまう現地人にアキトは目を丸くするのであった。




