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神の下僕は世界を救いたい  作者: D沖信


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本陣落とし

二日目開戦、回復した水原の兵団を相手に平良の一団がぶつかり合う。

再び起こった二軍のぶつかり合い、それを見てアキトはチャンスだと再び進軍する提案を立てる。


「今回は勝ちに行く」


「今回は?」


頼永に怪訝な顔をされてアキトは真意を語る。


「正直俺達が手柄を立てるのは規律に反するがやらなきゃ終わらないなら多少強引にでも幕引きさせる」


「出来るのか?」


「俺達なら可能だ」


アキトは翔の肩を叩いて任せておけとにこやかに語り翔は「えぇ…」と困惑する。


「戦力の過剰な介入に該当するんでしたよね?」


「戦乱が長引くなら介入もやむなし、つーわけで、命を取らずに相手の戦意を削ぐ」


また難しいお題目を出してきたとアキトの言葉に仲間達は険しい顔をする。


「削ぐってどうやって…?」


「相手の武器を破壊したりなんやかんやする!」


テキトーに作戦を立てられて肩を落とす翔達なのであった。

頼永は疲弊した兵を見てアキトに尋ねる。


「野武士達はどうする?」


「頼永様の護衛として残しておく、行くのは俺達だけで十分だ」


ハリスは自分もかと驚き指差すがアキトは護衛してろと苦笑いして翔達を連れて出発するのであった。


ーーーーー


四人だけで堂々と水原の控え部隊の所までやって来たアキト達を為義は大笑いして歓迎する。


「ハッハッハ!どーした?降伏でもするか?」


「正面から潰しに来たぜ」


「面白い冗談だ、お前ら!やっちまえ!」


控えにいた兵達が武器を手に四人に襲い掛かる。

熟達した技量の四人は慣れた様子で攻撃を避けながら武器破壊をしていく。


「何ッ!?」


無力化させられていく兵士達は仰天の顔をして為義もまさかと目を丸くする。


「戦場で殺しもせずに勝つ気か!?舐めやがって!」


為義自信も武器を手にしてアキトに斬り掛かる。アキトはヒョイヒョイと躱して息子達が居ないことを尋ねる。


「今日は若頭も強弓の射手も居ないのか?」


「うるせぇ!前線に出てるに決まってんだろ!ハアハア、避けるな!」


「悪い悪い、ちゃんとチャンバラしてやる!」


氷雨を抜いて為義の刀を圧(へ)し折ろうとするが業物(わざもの)なのかガキンとぶつかり合う。


「?!良いもん持ってるじゃないか!」


アキトは口角が上がり業物に目を輝かせる。


「あたぼうよ!コイツは水原の宝刀『鬼切』!数多の鬼を屠(ほふ)ってきた大業物よ!」


折るには勿体ないとアキトは苦い顔をする。


「怖じ気付いたか?!」


「惜しい、余りにもいい得物だから…ついな」


「東雲、お前見る目はあるようだな!」


一応武器の蒐集家(コレクター)として良い武器は見分けられるとアキトは真剣に語る。

兵団を相手していた翔達をチラッと見てアキトは一瞬だけ思い悩んだ顔をして覚悟を決める。


「相手に取って不足無し、鬼切…折らせてもらうぜ!」


「たわけ!俺様がお前の刀を折ってやる!」


アキトと為義、即座にギンと三合打ち合う。その大きな音に翔達に負かされていた兵団達は大将同士の一騎討ちに固唾を飲む。翔達も手を止めて一騎討ちを見守る。

精霊も使わず魔法も使わずアキトと為義の自力だけで戦う様に自然と手に汗握る。


「ただの流浪人と思っていたが…やるじゃあねえか」


「荒くれ武者と思ってたが存外喰らいついてくるじゃないの」


アキトも軽口を返して更に五合打ち合う。押されているのは為義、次第に武器を大きく弾かれていく。


「っく!負けられるかぁ!」


底意地を見せつけてくる乱撃にアキトは冷静に見切って最後の一発を弾き返す。為義は大きく姿勢を崩されてそのまま首筋に刃を当てられる。


「こ、殺せ!首を取れ!」


「俺は殺しに来た訳じゃねえからな。この戦争を終わらせに来た」


血一つ流さずに終わらせられた一騎討ち、為義は「クソがッ」と悪態を付きながらも負けを認める。


「たが!水原の戦(いくさ)は終わらねえ!止まらねえ!俺が死んでも息子達が生きてる限り続くぜぇ?!」


「猛々(たけだけ)しいな…」


「あたぼうよ、俺の息子達だぜ」


本陣が陥落したとしたも戦いは続くと言われてアキトは困り顔になる。翔達はなるようになれと苦笑いする。

本陣が落ちたと報せは出すが本当に止まらない水原の一団にアキトも呆れ返る。


「藤村氏の負けの筈なのにまだやるのかね?」


「ハッハッハ、東雲は勘違いしてるが大将は俺じゃねえ、長男の義朝だ」


そりゃ終わらない訳だとアキトと為義は仲良く戦況を見守る。そして世間話を始める。


「子供は沢山いるが全部自慢の子さ…どうだ強かったか?」


「若頭の頼賢と強弓の為朝、二人は相手したけど…まぁ悪く無いんじゃないか?長男坊は一度顔合わせはしたが実力は見てないな」


「アイツは何事にも冷静で冷徹だ。きっと本陣を落とされた俺を見限るだろうよ」


親子の縁ですらも使えないのならばと見限ることの出来るストイックさを持ち合わせているのだと言われてアキトは難しい顔をする。


「長生きは出来なさそうだな」


「ハハッ確かにそうだな!」


暫くして水原と平良の戦いは水原が手勢を討ち破れなかった事で引き分けに終わり藤村氏の軍勢の敗北が決まるのであった。

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