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神の下僕は世界を救いたい  作者: D沖信


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復興と不安

アキトに対して不信感の積もる三人だったが取り敢えず今回の嘘について水に流すとしつつ今後の事を確認する。


「で、まだ敵が居るとして…どうするつもり?」


「いつも通りでいいんじゃないか?都に居ることで情報も集めやすいしな」


「確かに情報は集まるけど守るのは大変よね」


敵からやってくるのを待つには都は不利だと黒鴉は語る。実際大怪獣の攻撃から都を守る事はアキトでも敵わず苦戦させられていた。


「都の形状は攻めやすく守るのも難しいのは事実だな…」


「待ち構えるには不利…ってことですか」


翔達は腕組みして唸る。アキトは行く当てもないしと笑って答えると全員が賛成するのであった。


「ところで新しい敵…って言えばいいのかしら?それはいつ、どんな敵が現れるのかしら?」


「さぁな、俺にも分からない。怪しい情報を集めるしかないな」


アキトの発言にガッカリする一同なのであった。


ーーーーー


討伐隊が凱旋してから暫くして、平和な日々が続く中で不穏な噂をアキトが入手する。


「南方の寺が武装化を進めているなんて情報が入ってきた」


「人間同士の争いには不介入でしょ?」


「まぁそうなんだが…四ノ宮の指示があったら行かないとなぁ」


もしもの時に備える必要があるとアキトは説明して三人は渋い顔をする。


「面倒臭いわね…寺が武装なんて物騒よね」


仏僧(ぶっそう)だけにとアキトがボケると玉藻前と黒鴉から鋭い腹パンツッコミが入り悶絶する。翔は二人の剣幕に苦笑いしてやり過ぎだとツッコミを重ねるのであった。


「うぐぅ…ちょっと空気を明るくしてやろうと思ったのに」


「そんなに暗くないわよ!」


「やれやれ、俺は宮中まで頼嗣殿を護衛するから三人は復興の仕事手伝うなりしろ」


アキトの言葉に仕事を求めて三人も武家屋敷を出るのであった。


復興の手伝いをする三人はいそいそと家屋の資材を運ぶ。


「数日でこうも立て直しする人々の逞(たくま)しさって素晴らしいわね」


再建された家を眺めて黒鴉は額の汗を拭(ぬぐ)う。


「お嬢様が肉体労働か」


「あら、私どちらかというと現場主義よ?必要なら身体を動かすのも吝(やぶさ)かではないわよ」


鼻を鳴らして得意気に笑う黒鴉も相当に逞しいと翔は笑う。


「笑っとる場合やないで?ガンガン運ばんと」


木材を担ぐ玉藻前は苦々しい顔をするのだった。


一仕事終えたのは数刻後、お昼前頃になっておにぎりを皆取り出して食べる。翔達もお昼にしていると朝話していた噂をする雑談が耳に入ってくる。


「南方の飛影山の僧侶が武装蜂起するって噂知ってっか?」


「あー、なんか武具をしこたま買い込んでるって話だろ?」


「そうそう、おっかねぇ話だろ?」


どうやらアキトの仕入れた噂は本当に近いようで三人は神妙な顔をしてもしもの時どう動こうかと一人一人頭の中で思考するのであった。


ーーーーー


アキトは護衛の仕事の前半を終えてまったり過ごしていると平良氏の一団を見かける。


(へぇ、今は都の守りをしているのか)


大怪獣騒ぎ以降は外の問題も起きていないのか都の守護をしている平良氏にアキトは護衛の仕事は不要になるかなと考える。


「おや、貴殿は…」


平良忠盛がアキトを見かけて足を止める。


「蘆谷の一件では世話になったな」


「大妖魔退治の英雄様に覚えてもらえていたとは光栄だ」


「…宮中に用事かな?」


英雄と呼ばれるのに慣れていないのか気恥ずかしそうにする忠盛は頬を掻いてアキトに質問する。


「主の護衛を…まぁ皆さんが居るなら暫くはやらなくても…」


「いや、我々は…飛影山との合戦に備えてすぐに都を離れる事になっている」


話していいか悩んだ仕草をした後情報を口にする忠盛にアキトは「あらま」と驚くフリをしてご苦労様ですと頭を下げる。


「水原氏も参加してくれるそうだが…貴殿らは?」


「少人数だからな、合戦には不参加かな…多分」


兵を擁していない自分達には無縁な話だと笑って答えるのだった。


「皇(おう)が病に伏していなければ…おっと今のは内密な話なので…」


「ハハッ、話する相手が居ないから安心してくれ」


どうやら地球で天皇に当たる人物の代替わりが近いようで今回の一件もそれが起因になっているようで忠盛は口を滑らせた事に溜め息をつく。アキトは事情に納得しつつオフレコな話を聞いてしまい苦笑いする。


「次期皇はもう決まって…?」


「その話は出来ない…すまない」


「深入りしてこっちこそすまない」


若干の不安要素を抱えたまま平良氏達は去っていくのであった。


(ヤバいな、次期皇が決まってないままだと…最悪内部分裂して乱が起こり得る…)


アキトが深く考えていると今度は水原氏の一団が通り掛かる。


「相変わらず主の護衛か?」


「これは為義殿、水原の兵を率いて…為義殿も合戦の?」


「まあな、お前達は動かないのか?」


個人としては動くかどうか尋ねられてアキトは今回は参戦しないと答える。

残念そうにする為義は部下から時間がないと急かされてアキトに別れを告げて都を出発するのであった。


(参ったなー、仏僧との戦いが終わろうが何だろうが皇の代替わりが近いなら面倒事が起きるだろうな…どうしよう)


身の振り方というものを考える事になるのが近いとアキトは頭を痛めるのであった。

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