言い訳
出雲国にて情報収集をしている三人。
都にまで話が上がるほど厄介な相手ならすぐに尻尾が出てくると思っていたが初撃からスカされて肩透かしを食らう。
「えぇ?厄介な妖魔…?そんなもの居たかなぁ…」
三人は顔を見合わせて想定外な返しに怪訝な顔をする。
「ちょっと、どういう事よ?平和そのものじゃない?」
「もうちょい調べてみんと…」
「仕方ないわねぇ…手ぶらじゃ帰れないものね…」
取り敢えずで別の場所でも話を聞いてみることにする。
「妖魔…?あー、もしかして裏山に住み着いたやつ?退治してくれるのかい?助かるよ」
軽い調子で頼まれた三人は早速退治に向かう事に、裏山には土蜘蛛が住み着いてた。
蜘蛛の体に鬼の面、式神で見たと三人はやれやれ顔になりつつ軽くボコして撃破してしまう。
「んー多分コイツじゃないわね」
「そうだな、弱過ぎる」
黒鴉の言葉に翔は頷いて玉藻前は本領発揮出来ず消化不良だと肩を落とす。
「こうなったら意地や!話に出た奴全部退治したろ!」
「そうだな、やれる事はやろう」
こうして敵を退治し続ける事が確定して微かな情報でも逃さず退治に出向くのであった。
初日から動き回って更に河童や大百足など三体の妖魔を退治する事に成功するが件の妖魔は姿を見せずに終わる。
二日目、出雲国の人々を困らせている妖魔退治に人の多い町の中心地へと向かう。
「もしかしてアイツの事かな?海に出るっていう…」
「海ね!行くわよ!」
黒鴉に先導されて向かった先の北の海にて大きめの妖魔、海坊主が姿を現して戦闘になる。
「水上の敵なら任せろ!雷怨!」
「二尾の力!雷遁陣!」
バリバリと息のあった電撃攻撃によって華麗に退治してみせる。出番の無かった黒鴉は不満顔である。
「…どう思う?」
「コイツじゃないな…もっと強い奴を探さないと…」
完全に強敵を求めて妖魔を殺戮している一行は次なる得物を求めて町を彷徨う。
「そういえば近くの南の山道に妖魔が出るって聞いたな…」
「山道ね!行くわよ!」
今度は南側の山道だと武器を掲げて出発。
植物型の妖魔と出会して玉藻前が尻尾三本の冷気、黒鴉はノヅチによる行動封鎖、翔が焰鬼による炎というチグハグな攻撃で三人は息を合わせろと口論しながら撃破する。
「あそこは黒鴉は水属性でウチの氷のサポートやろ!?まっつぁんも雷の択が出来たはずや!」
「いや、植物には炎の方が…」
「生木は燃えんわ!」
翔も黒鴉もそれぞれの言い分を言い合ってわちゃわちゃする。
「私にだって作戦はあってね!」
「そうそう!俺にだって考えが!」
話がまとまらずギクシャクした空気になりながら山に出現する妖魔を退治し続けるのであった。
三日目、今度こそは強敵にとバーサーカー思考の三人だったが先にちゃんと作戦を立てる事とする。
「ウチが炎と雷と氷…」
「私は水と土と光ね…」
翔だけ炎と雷と二つな事に口を尖らせる。
「ま、ウチと被っとるしな」
「そっちが被せたんだろうが!」
また若干の口論をして今後の活動が危ぶまれる中で妖魔討伐に宿を出て困ってそうな町人に声を掛けて回る。
「そういえば最近…」
「ちゃっちゃか行くわよー!」
数匹の町人を困らせていた小鬼や餓鬼を退治し続けて昼頃町内に戻って来てお腹の音が鳴り響き冷静になってお昼にしようと休息と食事を取る。
「だーかーらー!私に合わせなさいよ!」
「せやけど今回はウチの練習やろ?!ウチに合わせてーな」
連携攻撃がなってないと黒鴉と玉藻前が言い争いをする中で間に挟まれた翔は申し訳無さそうに縮こまっていたが流石に喧嘩を止めようと翔が何とか二人の間を取り持つのだった。
落ち着いたところで次はどこへ行くかと話し合いをしていると町人が集まってザワザワしているのを見かける。これは出番かと三人は意気揚々と近付いて様子を窺う。
「ちょいと、都が火の海って本当かい!?」
「なんでもどデカい妖魔が現れたそうじゃないか!おっかねぇな」
三人はそんな話がちらほらと聞こえてきて面食らう。
「なんやて!?都が!?」
「話が違うわよ?!出雲国に出たんじゃないの?!」
女子二人が驚き戸惑う中で翔はアキトの付いた嘘なのではないかと分析する。
「アキトさんが俺達を渦中から遠ざける為に嘘を…」
「なんでよ?!それメリット無くない?!」
「そ、それは俺にもよく分からないって…」
黒鴉に詰められて翔は理由なんか分からないと難しい顔をする。
「と、兎に角都に戻るんや!」
「そうね!早く帰りましょう!」
三人は慌てた様子で馬に跨り都への帰路を進むのであった。
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三日前のこと、都に残ったアキトは武家屋敷で一人のんびりとしていた。
「いやー、体の良い言い訳して三人追い出したし規定日までのんびりしますかー」
情報収集の結果何かを察した様子で三人を追い出した言い訳を独り言で語っていた。
(まぁ宮中の噂が事実なら明日にでも来そうだが…さて、どうなる事やら)
危機が迫ると知りつつも余裕のある態度でぐーすかと居眠りをするアキトなのであった。




