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神の下僕は世界を救いたい  作者: D沖信


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九尾の狐

童満が調伏したのか巨大な体長五メートルはある九尾の狐が戦場に出現し一睨みで都の武士達を怖じ気付かせる。


「フハハハ!やれ!完膚なきまでに蹂躙(じゅうりん)しろ!」


童満は高笑いして指示を出し九尾が武士達目掛けて炎を撒き散らしながら突進する。


「こ、こんな化け物如き!怯えるな!掛かれー!」


怖気付いてもそこは武士、覚悟を決めて斬り掛かる。しかし尻尾の一振りで軽くあしらわれて吹き飛ばされる。


周囲には狐火が灯り枯れ草が燃え上がり明るくなる。

翔達は戦線が崩壊したのを見て出撃する。


「これが本物の…」


「凄い圧ね…」


翔と黒鴉は冷や汗を垂らしつつ武器を手に握り締める。


「ウチが相手や!」


玉藻前が飛び出し自分が相手をするべきなのだと本気の二尾モードを展開する。

無茶だと翔は止めようとするがアキトが翔を止める。


「やらせてやれ」


玉藻前はアキトに感謝しながら刀を抜いて九尾と対面する。九尾は玉藻前を見てニヤリと笑うように口角を上げて目を細める。


「行くで!でやぁ!」


ビッと一閃、縦振りの一撃を放つ。九尾は身を(ひるがえ)してその一太刀を回避する。

九尾はまたニヤリと笑い口を開く。


『面白い小娘だ』


「なんや?喋れたんか」


『少々品性に欠けるようだが似たものを感じるぞ?』


お座りして尻尾を揺らしてホッホッホと笑う九尾に童満は不機嫌そうに命令を出す。


「遊んでいる暇はない!さっさと倒してしまえ!」


『余裕の無い人間程つまらない物はないな…先に食ってしまおうか…』


「何だと?誰が復活させてやったと思っている!」


恩着せがましい口振りの童満はカンカンに怒りながら兎歩で結界を張る。


『小心者め…小娘もそう思わないか?』


「ホンマやね」


玉藻前は刀を構えたまま九尾の言葉に同意する。

戦いは続いていると九尾は体勢を整えて尻尾を立てる。九本の尻尾の先端に火を灯し玉藻前に向かって突進、玉藻前はカウンターで仕留めに入るが九尾の突進はフェイク、直前でムーンサルトで翻って尻尾をぶつけてくる。

玉藻前の一撃は空振りに終わり逆に尻尾によるカウンターが入り吹き飛ばされる。


「ちぃ!やるやないか!」


服に付いた火の粉を払いながら玉藻前はまだまだと戦意を昂揚させていく。


『ホッホッもう少し(たの)しませて貰おうか』


尻尾を振り回し火を放ち周囲を完全に炎で覆い尽くし特設リングを作り出す。


「逃げ道は無いっちゅう訳やな?…逃げる気は更々無いんやけど!」


今度は玉藻前が突進し刀を振りかざす。


「ちぇあぁ!」


大振りの一撃。見え見えだと九尾は回避行動を取るが玉藻前は更に踏み込み二の太刀を放つ。

ズバッと前脚に深手を負わせる事に成功する。


『!?…人の姿をしていると舐めていた…』


九尾は反省の弁をしてペロリと傷を舐めると即座に治癒させてしまう。


「んなアホな!」


『大妖怪を前に驚く事もあるまい?仕留めたければ首を落とすんだな』


仕方ないとアキトが声を掛ける。


「挑発に乗るなよ、無限なんてものは無いぞ!」


「言われんでも分かっとるわ!」


玉藻前は仲間の言葉にムキになりつつも冷静に敵を観察する。


(せやけどウチの技に対応される前に何とか活路見出さんと…!)


同じ火は通じないとして見て電撃攻撃を放つ。


『ほう、(いかづち)か…面白い』


九尾は玉藻前の攻撃を真正面から受け止めてみせる。


容易(たやす)いな』


「今やっ!」


余裕の表情をしていた九尾に玉藻前は斬り掛かる。

今度も深々と首を落とす勢いで斬り込んだのだが切断まで至らず治癒されてしまい玉藻前は舌打ちする。


『ホッホッ残念だったな!今度はコチラからいくぞ?!』


攻勢に転じると宣言したのを見て玉藻前はほくそ笑む。


「そーでもないで?」


『…?』


突然目の前をリスが通過し九尾の狐は怪訝な顔をして口を空けてばくんと食べようとする。

既に幻覚の中に入った九尾は尻尾を揺らし大暴れを開始する。

玉藻前は炎に包まれないように位置取りしながら幻覚に踊らされる九尾を眺める。


(もっと消耗せい!)


幻覚と戦う九尾は跳ね回る玉藻前を捕らえようと自身も跳ね回りドスンドスンと音を鳴らす。

ガンガン体力を消耗する九尾は中々捕まらない玉藻前にイライラした様子で牙を剥き出しにする。


『まだ逃げるか小娘!』


「な、何をしている…?!」


童満はその九尾の動きに違和感を感じ驚く。


「そこやっ!」


野ざらしになっている首を玉藻前はビシッと捉えて斬り飛ばす。


『なん…ですって…!』


想定外の方向からの攻撃に首を落とされながら驚く九尾、スゥーッと身体は消滅していき首だけになりつつ玉藻前を睨み恨めしそうに呟く。


『幻覚か…やってくれたな』


「攻勢に出てくれてありがとさん。我慢比べしとったら負けてたわ」


玉藻前は勝利を確信し納刀して一息入れるがまだ終わっていないと首だけの九尾は瘴気を放ちつつ石に変わる。

玉藻前は咄嗟に回避行動をして石から離れる。


「これが殺生石っちゅうやつか」


「おのれ貴様ら!私がどれだけ苦労したか!」


騒ぐ童満の背後をいつの間にか取ったアキトが縄で縛り付ける。


「はい、大人しくしよーな?」


「は、離せ!まだ戦いは終わってないぞ!」


「大将が捕まったんだ。負けを認めるんだな」

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