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神の下僕は世界を救いたい  作者: D沖信


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決戦、那須高原

平良の兵士達が次の戦闘に備えている所に加わり翔達も戦支度を進める。


「取り敢えず何はなくとも情報収集はしようぜ」


アキトの一言に全員がハッとして蘆谷の戦い方を平良氏達に確認する。


「式神と妖魔、両方が襲ってくる。数が多くて中々進軍出来ていないのが現実だ」


「兵糧にも限界がある。そろそろ進展させないとマズいんだがな…」


兵糧よりも敗北の噂が立っていると伝えると平良氏の兵士達は悔しそうに歯を食いしばる。


「都ではそんな話が…!?」


「クソッ、平良の名が地に落ちる!何とかせねば!」


焦って浮き足立つよりもしっかりと仕事をするように忠盛が指揮をとる。


「相手は悪鬼悪霊を操る悪しき陰陽師、油断すれば喰われるぞ!」


とはいえ忠盛も何とかしたいと拳を握り締めていた。

アキトは仲間達にこういう時のアドバイスをする。


「心を強く持て、実直に戦えば必ず道は開けるものさ」


「根性論!策とか(ろう)しなさいよ!」


「俺達は付け焼き刃な策略より腕っぷしだろ?」


脳筋過ぎると黒鴉は唖然とするが翔も玉藻前も良い策略が今は無いだろと黒鴉を説き伏せるのだった。


「な、無くはないでしょ!?ほら玉藻前の殺生石でパワーアップ大作戦とか」


「大作戦ちゅうほど現実味あるかいな?」


「アンタが疑問感じてどうすんのよ!」


ツッコミをしっかり入れられて玉藻前はテヘペロと(おど)けるのであった。


ーーーーー


一夜明けて日の出と共に進軍が開始される。

行く手を阻むのは数千の式神と妖魔達、早速前線がぶつかり合って激しい乱戦が開始される。翔達もすぐに戦えるようにスタンバイして進軍を続ける。流石に今回は結果を出そうと兵士達の士気も高く結構な勢いが付いていた。


「この調子なら私達の出番は無さそうね」


「油断してると流れ弾食らうぞ?」


アキトは笑っているが真面目モードで注意する。


「そこまで落ちぶれるつもりは無いわよ」


黒鴉はご機嫌斜めになったタイミングで丁度天狗型の妖魔が前線を割って翔達のいる辺りに特攻を仕掛けてくる。


「おいでなすった!」


素早く対応する一行は刃を交えること一刀の元に斬り伏せるのだった。


手緩(てぬる)いな」


「俺達も強くなっている…って事ですかね?」


アキトはこの程度で実力を測るなと鼻で笑ってここからだぞと軽い喝を入れる。しかしそのアキト本人はちょっと戦いたくてウズウズしている様子だった。


「力を溜めてタイミングを伺っているつもりだったが…」


「ちょっと、足並み合わせなさいよ」


「わ、わーってるって…」


前線が維持されている間は控えとしてジッとしているのが役目であり血気盛んに動かないとアキトは自分と仲間に言い聞かせる。

その前線が崩れたのはその直後であった。

巨大な鬼の式神が現れて前線の兵士達を蹴散らし始める。


「出番かしら?!」


「出番だな!」


アキトと黒鴉は飛び出して行き翔と玉藻前はやれやれと後を追う。


「待ってたぜ!大物をよぉ!」


飛び出したアキトは氷雨を呼び出して氷の足場を作り出して鬼に迫る。


「あ、それズルい!」


黒鴉も足場を使おうとするがツルッと滑って上手く扱えなかった。その間にアキトの格好良く一刀両断して撃破する。


「あー、もう力を溜めるとか関係なく戦っちゃってるよ」


「もう好きにさせたらエエやん」


翔と玉藻前は諦めて前線で暴れ出す二人を眺めるのであった。


前線に出たアキトと黒鴉は意気揚々と敵を倒し始める。


「大人しくしてるよりコッチのほうがやりやすいってもんだ!」


アキトの言葉に黒鴉も頷いてやる気を出し大挙して押し寄せてくる妖魔と式神を仕留め始める。平良の兵士達はその二人の奮戦に鼓舞され負けられるかと武器を掲げて突進を開始する。

冷静に見ていた翔は頭を抱える。


「あーもう滅茶苦茶だ!」


「実はそっちの方がエエんとちゃうか?今まで足りんかったのは勢いなんやない?」


「そ、そうなのか?…って遅れるわけにはいかないな、走ろう」


翔達も走り出して戦場の様相が一気に動く。蘆谷の兵団は勢い付いた平良氏を止めるには至らず次々と防衛線が突破されて式神を操っていた蘆谷一派の陰陽師見習い達は逃げる間もなくアキトの捕縛術で捕縛されていく。


「お縄につけーい!今なら島流しで許してやるかも知れないぞ!」


捕縛縄で召し捕った陰陽師達は兵士達に連れられて戦線を離脱していく。着実に敵が減っていく中で蘆谷のリーダーたる童満に近付いている気がするがそれと同時に妙なプレッシャーを感じ取る。


「分かるぞ、向こうもそれなりに備えている…」


「空気がピリついて来たってやつだ」


アキトと翔の言葉に玉藻前は小首を(かし)げる。


「よう分からんわ、まだ日暮れまで時間はたっぷりあるで?ゆっくり行こうや」


焦ることはないと説くが敵は待ってくれなかった。童満直々に姿を現すのだった。


「どうやら今回は都の武士も本気…いや、違うな強者が混じったか…?」


忠盛は剣を差し向けて童満に降伏するように宣告する。


「蘆谷、追いかけっこは終わりだ!大人しく降伏せよ!」


「降伏?愚かな!この戦、貴様らの敗北で終わる!出でよ最強の式神!白面金毛九尾の狐!」


童満は大妖怪をも従えてみせたと高笑いするのであった。

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