アキト流の後始末
戦闘終了、アキトは倒れてる仲間達を見てやれやれと首を振る。
「茶虎、運ぶの手伝って…っち、逃げやがったか」
部下達は戦いに乗じて逃げ出したようでアキトは仕方なさそうに一人一人意識があるか確認していく。
「おーい、翔。生きてるかー?」
「う、うぅ…生きてます」
「まぁ特にお前には死なれたら困るからな…」
アキトは翔に肩を貸して立たせる。次に黒鴉の様子を確認する。
「黒鴉、生きてるか?」
黒鴉は腹を押さえて蹲ったまま小さな声で「生きている」と返事をする。
「そうか、玉藻前はどうだ?」
玉藻前は突っ伏したまま腕を軽く上げて大丈夫とアピールする。
三人とも息はあるのを確認したらアキトは翔に二人を任せる。
「じゃ、二人の事を頼むわ」
「アキトさんはどこへ…」
「ん?後始末」
アキトは翔に焰鬼を返し一人そそくさと宴会場を去っていくのだった。
翔は刀を鞘に戻してよろよろとした足取りで仲間達を立たせる。
「ハァ、ハァ…不甲斐ないわね…一撃で伸されるなんて…」
黒鴉は剣を杖代わりに立ち上がり敗北した事を恨めしく呟く。そんな愚痴を聞きながら翔は玉藻前に肩を貸して立たせる。
「ありがとなまっつぁん。ウチも一撃でやられてもうた…不甲斐ないわ」
意気消沈している二人に翔も曇天童子にボコボコにされた事を思い出して辛酸を嘗めた事を反省する事になる。
ボロボロになった三人を見て隠れていた茶虎童子が現れて今なら勝てると拳を構える。
「厄介な旦那は居ねぇ…お前達を倒して逃げる…!」
三人はやる気の茶虎童子にやれやれと思いながら戦う構えを取る。
「そのまま逃げれば良かったのに」
翔は茶虎童子に疑問を投げ掛ける。
「う、うるせぇ!負けっぱなしで逃げたなんてダサい真似出来るか!」
負傷した奴らなんてと甘い考えで戦いを挑む茶虎童子は武器を持たない玉藻前を狙う。
「へぇあ!」
茶虎童子は鋭い爪を伸ばして斬り掛かる。
玉藻前は妖術で新たに刀を作り出してキンッと弾き返す。
「なにィ?!」
「小狐丸はウチの妖術で作られた刀や!」
簡単に折れるけれど簡単に新しく作り出せるそんな便利な刀なのである。
玉藻前はダメージは蓄積しているがまだまだ戦えると意気込むと茶虎童子はうぐっと戦いにくそうに三人を見て後悔しつつ後退りする。
それを黒鴉が鼻で笑って剣を向ける。
「あら、もう逃げる?」
「く、クソッ!なんで元気何だよ!?」
「私達、存外頑丈なのよ」
茶虎童子は三人に気圧されて背を向けて逃げ出してしまうのだった。
強がってみたものの三人は戦わずに済んだとホッと安堵し休憩を続けるのであった。
ーーーーー
仲間達と離れたアキトは鼻歌混じりに逃げた鬼達を探していた。
「敵はどこかなー?」
アキトが襖を勢い良く開けると怯えた鬼と鬼女達がいてその怯えようにアキトは頭を掻く。
「な、なんだよ、その命乞いするような目は!」
「わ、私達は曇天童子様に無理矢理従わされてただけで…」
「だけで?人は食わなかったってか?」
アキトの放つ威圧感に鬼達は震えながら頷く。
「ほう、人は食わなかった…じゃあ悪さは?略奪だとか暴力事は?何一つやらなかったってか?んでこれからも悪さ一つしませんって言いたいのか?ああ?!」
鬼達はアキトの恫喝に怯えて返答できない。アキトは舌打ちして軽く頭を抱える。
「皆殺しにするのは簡単だ。いっそ俺を背後から襲うくらい卑劣な連中ならいいんだが…そんな気概も無さそうだな」
だが見逃せば何処かで悪さをしてしまう可能性が高い、殺してしまう方が手っ取り早いが後味が悪いと悩む。
「数も多いし斬るのは面倒だなぁ…お前らさぁ、都から遠くに…人の居ない所まで行ってくれねぇか?」
無茶と分かっていつつもアキトが尋ねてみると鬼達は震えながら頷く。
「み、見逃してくれるなら…!北でも南でも!遠くに行って…わ、悪さもしなぇ!」
「んだ、んだ!オラ達いい鬼になるだ!」
若干は悪さはしていた過去はあるんだなとアキトは微妙な顔になる。
「俺は鬼じゃねぇからな。許してやろう」
アキトはぞろぞろと芸達者な鬼達を引き連れて戻る事にするのだった。
ーーーーー
「で、そんなに鬼を引き連れてきた訳だ…?」
戻ってきたアキトが鬼を引き連れている事に面食らう一同だったがアキトが情けを掛けたことに驚く。
「いっそ無情に斬ってくるのかと思ったわ」
「仕方ねぇだろ命乞いされたんだから」
「茶虎とは大違いね」
黒鴉はあの後茶虎童子に襲われたと話すとアキトは三人がピンピンしている事からその後の顛末を察して笑う。
「無事ならそれでいい、どうせアイツは悪さして討伐令が出るだろうからな」
「アンタの後ろの鬼もその可能性があるじゃない
「どっか遠くへ行かせるさ」
アキトの言葉に三人はアキトが言うならと溜め息混じりに受け入れる。
こうして一行は鬼達を引き連れて廃砦を出て鬼達と別れる。
「あ、茶虎」
アキトが隠れていた茶虎童子を見つけて指を指す。三人はジト目をして武器をサッと構える。
「か、勘弁して下さいよ旦那ぁ!」
「お前は…ダメだな」
アキトはスッと居合い抜きで斬撃波を飛ばし茶虎童子は切り捨てられるのだった。




