表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神の下僕は世界を救いたい  作者: D沖信


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
61/76

商魂燃える

仕事を淡々とこなしていく日々が続くこと一週間。

蘆谷は一向に見つからず都は多少の不安を抱えながら翌日に夏祭りの行事を迎える事になる。

玉藻前がポカーンとしながら口を開く。


「はえー、祭りがあるなんて初めて聞いたわ」


「都の人々の為の行事だ。俺らには関係無い話だよ」


アキトは横になって欠伸(あくび)をしてやる気の無さを前に出してくる。


「なんや?やる気無いやん?」


「お金無いからな。祭りなんて楽しめないだろ」


全員がお給金の無さを思い出してガックリと肩を落とす。


「そうだった…俺らにはお金というものが無かった」


「どっかの誰かが無給で屋敷と食事だけで働くなんて言うから…」


アキトへの冷たい視線が突き刺さりアキトは「仕方無いだろ」と「文句あっか?」と開き直りで対応してくる。


「ダメやコイツ…すっかり開き直っとる」


「貴族のお仕事だけじゃなくお金稼ぎもしないとダメそうね…」


「そ、そないなこと出来るんか!?」


黒鴉はやれやれと首を振って翔の背中をバシバシ叩く。


「な、何だよ…?嫌な予感がするんだけど…?」


「別にアンタを頼る訳じゃないけど神鳴の力を使ってチョチョイと物資を持ち込んで商売しようって事、売るのは別に武器とかじゃないわよ?アクセサリーだとかスイーツだとかよ?」


「…す、スイーツ…?」


黒鴉は幾らでも商売する作戦くらいはあると胸を張ってさっさと神鳴と交渉させろと翔に迫る。


「わ、分かったよ…えーっと指を鳴らして旅行鞄を呼ぶんだったよな?」


翔はアキトを真似て指を鳴らすと旅行鞄がちゃんと出て来てホッとする。


「よろしい、んじゃ早速」


黒鴉は旅行鞄に近付いてニヤついた顔をしながら鞄の口を開けて神鳴に呼び掛ける。朝早くの事もあり神鳴が大分不機嫌そうに鞄から這い出てくる。


「何よ…?」


「ちょーっと協力して欲しいのよ?異世界モールのパワーを使ってゴニョゴニョ…」


黒鴉が事の経緯(いきさつ)を説明すると神鳴はほうほうと興味を示す。


「はえー、お祭りするから出店をする…いいのかしら?」


「許可なんて後で取ればいいのよ!これで一気にお金持ちよ!」


神鳴はアキトをチラッと見てアキトは勝手にしろと言いたげな顔をしていて神鳴はオーケーサインを出して早速チームを招集し始めるのだった。


お呼ばれしたのは玉藻前の母親の葛之葉とその部下達。


「あらあら、なんで私達なのかしら?」


「そりゃウチが居るか…」


玉藻前がいるからとアピールするが黒鴉は否定して指を立てて答える。


「文化レベルが近いから知識、知見を貰えるんじゃないかと思ってね」


「なるほどね。分かったわ!明日のお祭りに力を貸してあげようじゃない!いいわね仙狸ちゃん?又虎ちゃん?」


早速翌日の為の仕込みを台所で開始する葛之葉一派に黒鴉は手を捏ねて明日は大儲けでガッポガッポとニヤケ顔が止まらないのであった。


ーーーーー


用意されたのは大量のべっ甲あめ。砂糖を使った物の中ではシンプルであった。

それと出来合いの和風のアクセサリーを多数持ち込み準備万端に整えていた。


「さぁて売るわよー!」


「ちょっと待って黒鴉ちゃん。商売は私達に任せて黒鴉ちゃん達は楽しんでいらっしゃい」


「え…でもお金が…」


葛之葉は白い粉の入った袋などを取り出す。


「お塩よ、後お米」


「は?」


黒鴉をはじめ翔と玉藻前が目を丸くする。


「あら知らない?この時代は物々交換が取引の主流なのよ?」


「へ?」


お金でガッポガッポ作戦が泡と消えていく黒鴉はショックを隠せなかった。


「そ、そんな!じゃあガッポガッポは!?」


「また今度ね。さぁ玉ちゃんもいってらっしゃい」


送り出しを終えた葛之葉は腕捲くりして部下達を鼓舞する。


「季節は夏…秘密兵器の用意はどうかしら?」


「大丈夫ッスよ姐さん!」


「よーし、売るわよー!」


本来べっ甲あめは江戸時代に入ってから普及したもの。それを平安時代に持ち込んだとなれば売れるかと思いきや飴という珍しい物に庶民は中々手を出さない。


「警戒されてるわね…サクラも用意した方が良かったかしら…」


この時代甘味など庶民にはほとんど無縁でありスイーツと言っても果物や樹の実が殆どであった。


しかし、値段は安めにしているのもあって一部庶民は購入し飴の甘さに驚いていた。

そしてもう一つ秘密兵器として用意していたのがカキ氷である。


「雪女さんの氷室から頂いた氷のスイーツ!柑橘系の汁を添えて…」


最初は避けられていた出店も口コミでどんどん広がり日が昇った頃には大盛況となる。

不思議なものを出す店だと話題が広がり庶民だけでなく貴族や宮仕えの耳にも入る。


「姐さん、飴の追加入りました」


「いいわよ、ガンガン入れてちょうだい」


アクセサリーも売れ始めて店の横には米俵が置かれ始める。


そんな時だった。


「ほう、不思議な物を売る店と聞いて来てみれば…妖魔が何をしているのだ?」


安部景明が部下を連れてやって来て開口一番喧嘩を吹っかけてくるのだった。


「妖魔…?何のことかしら?」


変化の術で人に化けている葛之葉達、そんな二人はビリビリにメンチを切り合うのであった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ