蘆谷の足取り
翔達の努力により貴族として名が上がってきた四ノ宮、他貴族からも一目置かれるようにもなって喜ばれていた。
「努力の成果っていうのもあって名前が上がったそうだ」
「宮中からのお仕事をこなしているだけじゃない」
「だからちゃんと仕事しているからだろ?」
それでいいのかと疑問を持たれるが気にし過ぎだとなって今後もちゃんと仕事すればいいだけだとアキトは語る。だがまだまだ仕事してないじゃないかと黒鴉はツッコミを入れるだった。
「あー、ほら。二人が宮中の食事会したのもあるし?そこで襲撃も防いだし多少の箔が付くというか色が付くというか」
翔が説明すると黒鴉は鼻を高くする。
「なるほど私達のおかげってことね?頭が高いわよ?」
茶番を挟みながら次の仕事が入ってくるのを待っていると四ノ宮の者がやって来る。
「次の仕事が公布された。都の外に出現した妖魔退治を命ずる」
「まーた蘆谷じゃないよな?」
「それは分からない。調査も出来るならしてくれ」
未だに捕まらない蘆谷一派の足取りが掴めるかも知れないと言われて事の重大さを覚えつつ四人は行動を開始するのであった。
都を出て東に進む。街道を進み雑木林を抜けて敵の出現情報のある山を登る山道を前にして一行はまた山登りなのかと溜め息をつく。
「なんで山なんや…」
「住み着く先がそういう場所しかないんだろ」
玉藻前はゴニョゴニョ文句を言うが登らないと始まらないと翔を先頭に山登りが始まる。
人は暫く通ってなさそうな山道に翔は慎重に進む。
「階段とか整備されてないほとんど獣道だな…」
「気を付けなさいよ?脚滑らしたら怪我じゃ済まないわよ?」
「意識したら緊張するような事言うなよな…!」
そんな口喧嘩しながら進み続けると開けた場所に出る。
休憩がてらアキトが軽く感想を呟く。
「丁度いい感じの平たい場所だな。寺でも建てれそうだ」
「それほど仏教の時代じゃないでしょ」
「流石に伝来はしてるんじゃねぇか?高僧が宮中に出入りしてたぜ?」
こんな辺鄙な場所に建てる理由は無いと話し合いをしていると餓鬼が四人の前に躍り出てくる。
「噂をしたら魑魅魍魎」
「退治や退治!」
休憩どころじゃないと武器を手にしてわーっと戦闘開始する。
餓鬼を倒すと次は大型の獣が木々の間からやってくる。
「追っかける手間が省けるわね!ガンガンやるわよ!」
黒鴉はド派手に技をかまして更に敵を誘き出す。狙い通り鬼がやって来て叫ぶ。
「うっせぇぞ!なんなんだテメェら!?」
「あら喋ってる」
「当たり前だ!ここらはこの俺、邪眼様の縄張りだぞ!」
邪眼と言われて確かに目力はあると四人は納得する強面の鬼であったが関係無いと武器を構える。
「蘆谷一派と関係無いならそのまま退治して報告して終わりよね」
「だな。残念だ」
勝手に残念がられて邪眼はブチギレる。
「好き勝手言いやがって!もう許さねぇ!くらえ!」
邪眼は少し上体を逸らしてから勢いに乗せて顔を突き出し目からビームを発射してくる。突然の怪光線にびっくりしながら何とか回避する一同。
邪眼は会心の一撃が避けられた事に面食らう。
「テメェら…やるな!」
「前動作が大きかったからな」
ある程度の修羅場は駆け抜けている一行は怖じ気付くことなく攻撃を開始する。
最初の数撃にはブロッキング反応をしたものの流石に四人からの攻撃には耐えられずアキトの一撃がクリーンヒットして膝を付く。
「ぐはっ、強え…い、命だけは…」
命乞いをする鬼に翔達は困り果てるが隙を見て反撃しようとする邪眼に一人様子を窺っていたアキトの一撃が飛び鬼の首が落ちる。
「月並みの言葉だが無駄な抵抗はやめとけ…ってやつだな」
「クソがッ!」
首だけになっても最期まで毒づく邪眼であった。
消えない死体達に翔はどうするかと仲間達に尋ねる。
「このまま残しても腐敗するだけだし…」
「じゃあ焼いて埋めちゃえば?」
「あー、それナイスアイデア」
黒鴉のアドバイスに翔は鬼を含めた魑魅魍魎を焼き祓い埋葬する事にする。
「火葬文化万歳」
アキト達も協力して骨を埋めて骨塚を作るのだった。
昼過ぎになって作業も終わり帰り支度を始める。
「帰り道も気を付けないとな…」
「そうだな。無事に帰るまでが仕事だ」
登ってきた山道を思い返して気が滅入る翔なのであった。
無事帰宅した一同、アキトが今回の事を四ノ宮に報告する。
「蘆谷とは無関係の魑魅魍魎と普通の鬼でした」
「普通の鬼…?しかしそれでも鬼は危険ではある。ご苦労であった」
それでも大変危険な存在であると頼永は語り労いの言葉を掛けてくれる。
「蘆谷一派の足取りが掴めず残念だ…」
しかしアキトは本命を逃したと肩を落とす。
「うむ…そちらも問題ではあるが都近くに鬼が闊歩している状況は宜しく無い。これからも妖魔退治に勤しんでくれ」
「分かった。依頼が舞い込めばいつでも出撃しよう」
「君達が来てくれて本当に心強い。四ノ宮も名声を取り戻しつつある」
未だに四ノ宮の最盛期には及ばないと語る頼永にちょっと欲深いんじゃないかとアキトは苦笑いするのであった。




