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神の下僕は世界を救いたい  作者: D沖信


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食事の誘い

「宮中から食事のお誘いー?」


四ノ宮の者からの言伝(ことづて)でほとんど強制的に食事にお呼ばれする一行。と言っても男性陣は来なくていいと言われてアキトは色々と察する。


「ははーん、なるほど。お(かみ)も女遊びが好きなようで」


「はぁ!?女遊びって私はキャバ嬢じゃないわよ!」


黒鴉がブチギレて玉藻前も困り顔になる。


「ウチの元ネタ的にー、確かにーお呼ばれしてもー…おかしくないしー?」


「つまり私は添え物扱い…?それはそれで許せないわね」


黒鴉は相変わらず怒りっぱなしで翔はまあまあと宥める。


「俺とアキトさんは蚊帳の外らしいし…羨ましいというか…」


「どこがよ!?女を食い物で釣ろうとして喰い物にしようとしてる連中よ?!許せないわよ!というか妹居ないからそんな余裕な顔出来るのよ?!」


黒姫不在だからこその平静について指摘されて翔は難しい顔をしてしまう。


「た、確かにそうだけどさ…」


「そら見なさい!そういう所よアンタは…!」


それ以上はやめとけとアキトが間に割って入る。


「…分かったわよ取り敢えず行けばいいんでしょ?」


「せやな。お行儀良くせんとなー」


黒鴉は溜め息をついてビジネスモードに切り替えるのだった。


ーーーーー


夕食会にお呼ばれした二人は私情を殺して高貴な方々の接待をする。

挨拶の場で黒鴉は引き()った笑顔をしていて玉藻前がやれやれと苦笑いしつつ任しとけと胸を張って恭しく挨拶をする。


「此度はご招待いただき誠にありがとうございます」


少々関西訛りが入っているが隣の黒鴉は面食らう。


(こいつ、出来るッ!)


黒鴉も後に続いて頭を下げる。高貴な方々は二人を愛らしいと大喜びしていた。


「そち、名を何と申す?」


「玉藻と申します」


「ほっほ、これはこれは。愛らしく侍にするには勿体ない」


玉藻前が大人気で黒鴉は苦笑いしてしまう。

黒鴉の番になって名を尋ねられる。


「黒鴉と申します」


家名は名乗らず名前だけ答える。


「ふむ、齢は食っておるが顔立ち、振る舞い…そちも侍にするには勿体ないのー」


(…年齢は確かにこの時代からしたら結婚適齢逃してるわね…)


怒りたい所を冷静に抑えて笑顔を取り繕う。


「ほほっ、二人ともそう(かしこ)まらなくてもよいぞ?ささ、食事を用意したまえ」


貴族達は二人を褒め称えながら食事の用意をさせ始める。黒鴉と玉藻前は出された食事を会話を挟みつつ楽しくいただくのであった。


食後、日も暮れて帰り際になる。


「流石に強引に迫っては来なかったわね…」


「気にし過ぎやで、今の内は楽しむのが正解やで」


玉藻前の前向きな言葉に黒鴉は難しい顔をする。

二人は取り敢えず帰る準備をしていると中庭の方が騒がしくなる。


「んーなんやぁ?」


そっと顔を覗かせると星明かりの下で鬼が現れて宮仕えの人達を襲おうとしていた。


「黒鴉!敵や敵!」


「なんですって?!」


二人は慌てて飛び出し鬼が逃げ遅れた人に金棒を振り下ろす前に素早く割って入る。


「さっさと逃げなさい!…チッ、何なのよコイツら!」


「考えるのは後や!くらえっ狐火!」


玉藻前が鬼達に火を付けて黒鴉が切り捨てる。鬼が式神のように霧散するのを見て二人は同時に朝の決闘を思い出し合点がいったような顔をする。


「これ、蘆谷の置き土産って事かしら…?」


「せやろな、怖い物無しってか?恐ろしい奴やで…」


宮中を攻撃するなんてとんでもないと二人は呆れつつ式神退治を終えるのであった。

見世物のつもりは無かったが二人の奮闘を見ていた貴族達は手を叩いて二人の活躍を褒める。


「侍というのも満更でもないようだな」


「戦う花というのも悪くは無いでおじゃるな」


二人はやれやれと思いつつ一礼して宮中からそそくさと脱出するのであった。


ーーーーー


「あのロリコンどもめー!」


屋敷に戻ってきて黒鴉の開口一番がこれであった。


「ま、まぁ完全にウチ目当てって訳ちゃうやろ?」


「どう考えても時代的に私よりアンタが目当てでしょう!?」


生意気なと黒鴉は玉藻前の頭をぐしぐしとする。兎にも角にも食事会から無事に戻ってきた事に一安心する翔。


「無事で良かった良かっ…」


「良かない!夜になって宮中に鬼が出たのよ?!」


「鬼ぃ?!…でも大丈夫そうだな」


だが二人が元気そうなのを見て翔は苦笑いする。


「何笑ってんのよ…あれもこれも蘆谷のせいよ!」


「せやな、鬼は少なくとも蘆谷の式神っぽかったしなぁ」


黙っていたアキトが「へぇー」と興味を示す。


「やっぱり今朝の陰陽対戦の後に仕込みをしてたな…」


「せやろな。まぁギリギリ水際で倒したから問題なしや」


「それに四ノ宮の活躍になるなら悪くないだろう」


アキトは女子二人は良くやったと褒めるのであった。

玉藻前は宮中の食事が美味しかった事をアピールして武家屋敷の味気無い食事をちょっと批判する。


「こっちでも肉が欲しいわ」


「無茶言うぜ…鶏…いや鳥肉だって簡単には手にはいらないんだぞ?」


「むぅ、残念やなぁ…お金があれば…」


黒鴉と玉藻前は贅沢な取り引きしていないことを残念がるのであった。

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