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神の下僕は世界を救いたい  作者: D沖信


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目指すべきは都

村まで報告へ戻った一行は村長宅へ入る。


「ふむ、生きて帰ってきたか」


「あの程度じゃ怪我一つしないわ!」


村長の素っ気ない言葉に玉藻前がどーんと胸を張る。


「それよりも都から人が来るなんて聞いてないぞ」


アキトが溜め息混じりに質問すると村長は何の話かと首を(かし)げる。


「景明とかいう陰陽師が鬼退治に来てたぜ?」


「かげあき…ら?都の陰陽師様が…」


「彼らが到着前に倒しちまったけどな。コイツが」


ドヤ顔している玉藻前を指差す。やっぱり信じられないという顔をする村長、取り敢えず仕事は終わったと報告し今日の宿はあるかと確認する。


「…空き家が一軒ある。今日はそこを使うといい」


一晩屋根のある場所で眠れるとほっと一安心する一同であった。


入れ替わりで陰陽師一団が村長宅にやって来る。先頭の景明と目線が合った翔はペコっと一礼する。景明はニコッと微笑み軽く会釈を返す。


「結構良い人達なんじゃないかな?」


翔はそんな風な感想を抱くが玉藻前は目を細めて否定する。


「ありゃタヌキや。化かされたらアカンよ」


狐に対して狸と評したのを聞いてアキトが茶化す。


「なんだ?動物の勘か?」


「女の勘や!」


それもちょっと表現が違うんじゃないかと黒鴉が軽くツッコミを入れる。


「むー!兎に角奴は信用ならん!」


「意地っ張りね。陰陽師嫌い?」


「キライ!」


好みには素直な玉藻前であった。


空き家に入りアキトは色々と資材を確認して囲炉裏に火をくべる用意をする。アキトが翔を呼ぶ。


「翔、火を頼む」


「ウチがやるわ、狐火!」


玉藻前が任せとけと指を囲炉裏に向けてボッと炭に火を付ける。


「便利だな。これからは火付けは玉藻前に頼むか」


「精霊魔法は疲れるからなー、ウチに任せとけー。わっはっは」


大笑いする玉藻前、調子に乗り過ぎだぞと注意を受けて口を尖らせながら「はーい」と返事してくつろぎ始める。黒鴉もまったりとゴザの上に座り欠伸(あくび)をする。

翔が取り敢えず次の目標を口にする。


「明日は都に向かおう」


「まあ、それしかないわよね」


玉藻前はあまり気乗りしない様子であった。


「むぅ…あの陰陽師達もおるんやろ?嫌やなぁ…」


「やっぱり何か因縁でもあるのかしら…?」


「勝手に正体を看破してモノノ怪扱いしてくる奴らやで?空気とか読めないんやろうな」


それは確かにと黒鴉は玉藻前に同情してあげるのだった。

アキトがゴソゴソと道具袋を取り出して漁り始める。


「何してんの?」


「何か飯作ってやろうかなって」


「作れるの?」


馬鹿にするなよとアキトは適当にスパイスを取り出す。


「…カレー作るつもり?ちょっとニオイが…」


「トリの干し肉にスパイス、悪くないだろ?」


鶏肉と聞いて玉藻前が変化を解いて尻尾をフリフリする。


「鶏肉!おにぎりとスープだけじゃ味気無くて物足りひんかったんや!」


「失礼な事言わない。サッと下味付けてパパっと完成」


元が干し肉というのもあって楽にスパイスチキンを作り出す。

翔と黒鴉も食事にありつけてホッとする。


「正直晩飯無しかと思ってた」


「ホントね、準備がいいわね…って!あるならさっさと言いなさいよ!最初のパニックが茶番になるじゃない!」


黒鴉のツッコミに全員がハッとして白けた目をアキトに向ける。


「おいおい、俺の非常食なんだから最初から頼るなよ?本当に困窮した時に出すもんだからな?」


今がその時なのかと三人が難しい顔をする。それでも出された食事は美味しくいただくのであった。


ーーーーー


翌日、村を出発する一行は村長から都の方角を聞いて向かう。

歩いて半日程と言われて既に疲労感が漏れ出そうになるが我慢して歩く事にする。


「雰囲気はウチの世界に似とるんやけどなぁー」


「モノノ怪がいる分神斎の世界に寄ってるな。時代は平安とか辺りだろうか」


翔が話を乗るとアキトが「ほー」と翔に平安について色々と確認をしようとする。


「ちゃんと歴史の勉強した理由じゃないから…」


「だろうな」


「うぐ…っ!ただ碁盤の目のような町作りがされてるって事ぐらいは知ってるぞ」


そんな事は基本中の基本だろうと黒鴉にも笑われる。


「武士や侍なんてものが台頭してない貴族社会だ。つまり礼節を重んじるって訳だな」


「礼節…ですか」


メンバーを確認してそういうものに(うと)いのは自分だけなのかと翔はショックを受ける。


「まっつぁん気にせんでええよ?ウチも古風な礼節は分からんから」


「そ、そうか…」


アキトはゲラゲラ笑って翔の背中を叩く。


「俺も固い格式張ったものは好きじゃないからな!黒鴉に任せるとしよう」


「はぁー!?現代社会のやり口が通用するなら私が出てもやぶさかではないけれどー?」


「こんなとこで話してても取らぬ狸の皮算用だな。取り敢えず都に入るとしようか」


下らない雑談を続けながら街道を歩き山間部抜けて半日、村長の話していた通り都が見えてくる。

豪華絢爛とまではいかないが朱塗りの門がデカデカと建っていて翔は少しテンションが上がる。


「羅生門ってやつ?!」


「羅城門よ、それは小説」


黒鴉から冷静にツッコミを受ける翔であった。

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