完璧なプラン
夜になり翔が帰宅すると仕事終わりの黒姫がリビングでご飯を作っていた。
「おかえりなさい。サクッとご飯作ってますので待っててくださいね」
翔はサクッとと言われて今まで何かしていたのかと察して自分も何か手伝おうかと尋ねる。
「大丈夫ですよ。あ、じゃあもう用意できるので配膳お願いします」
「わかった」
ワチャワチャと動く二人は夜遅くに食事を取るのだった。
「そういえば黒鴉は?」
「姉さんは帰って実家です。お仕事させましたからお疲れのようです」
「朝からウチに来てあーだこーだ言ってたのに仕事したのか」
感心感心と翔が頷きつつ黒姫がそれを手伝ったのを察して嫁にも「お疲れ様」と声をかけるのであった。
翌日、翔達が寝てる間朝からリビングが騒がしくなる。
相変わらずフリースペースと化している浜松家のリビングでは神鳴が次の救世の旅について黒鴉と玉藻前の前で話をしていた。
「次の旅ではメンバーを変えてみようと思うの」
「アキトがいない分の穴埋めかしら?」
「アキトは居るわ、まだまだ皆鍛え足りないから」
メンバーの鍛錬不足を理由にされて黒鴉は「うぐ」とダメージを受ける。
流石に騒がしくて翔が欠伸しながら様子を見に来る。
「朝っぱらから何してんだ?」
「おはよう、まっつぁん。カナリンに呼ばれてな?」
神鳴はふふんと鼻を鳴らして腰に手を当てふんぞり返る。
「私の完璧なプランよ?」
「なんで玉藻前もいるんだ?」
「新メンバー候補よ」
何言ってんだと白けた目をする翔、玉藻前もちょっと聞いてないと目を丸くする。
「ウチにも仕事があるんやけど!?」
「いいじゃない!冒険しましょうよ!」
「誘いは嬉しいんやけど…ウチ一人で決められる話ちゃうやろ…」
確かにと神鳴は頷いて玉藻前の意見を受け入れる。
黒鴉は人数増える事に懸念点を呟く。
「増え過ぎたら大変よ?宿だって大変だったんだから」
「だから黒鴉か黒姫のどっちかをお休みに…」
丁度黒姫が降りてきてショックを受ける。
「そ、そんな…私がリストラだなんて…」
黒鴉が素早く反応する。
「ちょっと、私が休みになる可能性無いってか!?」
「だって姉さんは仕事したくないのでしょう?」
「そ、そんな事は無いわよ?!救世の旅の方が面白いとか思って無いわよ?!」
本音が漏れる黒鴉に一同冷たい目線を向ける。神鳴までそんな調子で黒鴉はツッコミを入れる。
「ちょっとなんでアンタまで白けてるのよ!アンタのせいじゃない!」
「黒姫が自ら降りるならメンバーは決まりね」
勝手に決まる内容に翔は待て待てとなる。
「黒姫一人残すなんて俺には出来ねぇぞ」
「翔君…」
イチャイチャするなと黒鴉がツッコミを入れる。
今度はアキトが物置扉から出て来てメンバーを見て「よッ」と挨拶する。
「あ、アキトや。何の用なんや?」
「何の用だって…新メンバーがどうって神鳴が言うから様子見に来た。まぁ予想通りだったな」
玉藻前の参加を予想通りとするアキトに神鳴は口を尖らせる。
「タマちゃんじゃ不満ってこと?」
「いや?実力は認める。覚悟もある。だが…お仕事があるだろ?」
せやせやと玉藻前は頷くが確認すればいいと神鳴は前向きな姿勢になる。取り敢えず神鳴のプランはまだ完璧ではないと黒鴉に小馬鹿にされるのであった。
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「あら、玉ちゃんを冒険に?…うーん」
母親兼上司となる葛葉から許可を貰おうと神鳴は早速午前中の準備中の異世界モールに仲間を引き連れてやって来る。
「姐さん!可愛い子には旅をさせよって地球じゃ言うらしいッスよ」
店員の鬼の一人が玉藻前にとって余計な一言を告げる。
「そうねぇ、確かに強くなってほしいと思うし…確かに冒険させるのも悪くないわね」
「オカン!ウチの可愛い店員さんやらんとどうするねん!」
「代わりの子を呼んだりしてみるわ」
結構冷たいことを言う葛葉にショックを受ける玉藻前と同情する一同であった。
「なんでやー!」
「タマちゃんは冒険嫌なの?」
「そんな目せんといて!今すっごい板挟みされとる!」
大体メンバーの内容が決まってアキトはチームとしての形を想像して軽く頷く。
「黒姫が抜ける分の戦力としては申し分ないだろう」
「抜けるのが黒姫なのは既定路線なのか」
「家を守るのは嫁の役割だろう?」
昭和の価値観かと総ツッコミを受けるアキトは頬を掻いて平成なんたけどとボケを重ねる。
「一応姉さんの仕事をやっておきます…」
黒姫は神華がやっていた仕事の引き継ぎをすると答えて黒鴉を気不味い空気にさせる。
「な、何よ?なんで私が見られてるのよ?」
「いや、何ていうか社長業を神華さんに丸投げしてたんだなって…」
「う、うっさい!他に頼める相手が居ないだけなんだから!」
確かに財閥企業の社長を任せられる相手が他に居ないと周りから哀しい目を向けられて黒鴉は更に「うぐっ」とダメージを負う。
「だから姉さんの代わり少しは手伝ってあげないと…ね?」
妹の言葉に同情の視線が向いて黒鴉は自棄っぱちになって「はいはいそーですね!」と開き直るのであった。




