帰還後の一日
地球へ帰還した一行は久し振りの地球での休暇を楽しもうとしていた。
浜松家、家の掃除をしていた黒姫の前にはリビングでくつろぐ姉の姿があった。
「姉さん…仕事は?」
「疲れたから休みー」
「神華さんが困ってるんじゃないですか?」
怠惰な姉の一面に苦言を呟く黒姫であったが黒鴉はやる事はやっているとアピールする。
「異世界からの仕入れた道具はアミラ達に引き渡したし?浜松にはちゃんと仕事与えたし?」
「異世界モールの警備ですよね?翔君はお仕事してるのに…」
「何よ?ちょっと休みを堪能したっていいじゃない」
ワガママ三昧な姉に黒姫はやれやれと肩を竦めるのであった。
異世界モールで警備の仕事をする翔は難しい顔をしながら事務室で監視カメラを見ていた。
アミラが翔が来ているのを見て不思議そうな顔をして声を掛けてくる。
「あら翔さん、警備のお仕事ですの?」
「ああ、仕事って言われて黒鴉から指示されてな」
「まぁ黒鴉さんが?…大変ですわね。上司ですものね…」
憐れむような目を向けられて翔は恥ずかしそうに頬を掻く。
黒鴉の仕入れた道具を売り場に持って行くアミラと入れ替わりで玉藻前が事務所にやってくる。
「ん?まっつぁんどないしたん?」
「お仕事、お前こそ事務所に何の用だ?」
玉藻前は机の上のダンボールを漁りながら答える。
「イベントチラシ店舗で配ろう思てな?」
「イベント…?」
自分達がいない間に決まった異世界モール内でのイベントと聞いて翔は少し遠い目をする。
「俺達が居ない間も世界は動いているんだな…」
「なーにしんみりしとんねん。戰のイベントやからまっつぁんには関係ないやろ?」
選手じゃないんだからと笑われて翔はそうだけどと肩を落とす。
「選手じゃねぇけど、なんか世界に置いていかれているようでな…」
「しゃあないやろ。おらんかったんやから」
チラシの束を抱えて玉藻前はトコトコと事務所を出ていき一人になった翔はまた監視カメラの様子を眺める作業に戻るのであった。
ーーーーー
お昼前になって黒姫が翔にお弁当を持ってくる。
「翔君お疲れ様です」
「弁当か、ありがたい」
「まだフードコート使ってなくて良かったです」
弁当を受け取りながらも仕事はちゃんとやらないととモニターをまた確認する翔、何か手伝える事は無いかと黒姫は尋ねるが特に思い当たる事が無くムムムと唸りつつ思い付きで答える。
「そういえば神鳴はどうしてるか…確認だけでもしといてくれないか?」
「そうですね、次いつ旅に出るか分かりませんものね」
黒姫は大きく頷いて神楽の世界にいる神鳴の様子を確かめに行くのであった。
神楽の世界の魔法学院を訪ねる黒姫、丁度お昼時で学食が賑わっていた。
(えーっと神鳴…神鳴はっと)
神鳴を探す黒姫、アキトを囲んで奥様達が食事している横に神鳴もいて見つけたと黒姫はトコトコと近付く。
久し振りの帰還で家族の時間を過ごしていたアキト達の会話をこっそり聞く。
「アキトくんは私の薬無いと困っちゃうのは良くないねぇ…」
「うっ…確かに…」
まだまだアキトは助けがないとダメだねとダメ男だと奥様方がウンウンと頷いて神鳴はニヤリとする。
「伸び代があるって事ね」
「いや、俺には出来ない分野を皆のサポートで補っているのであって…」
これはまだまだ引退出来ないわねと神鳴に脇を突かれてアキトは困り顔して周囲を見渡して救いを求めて黒姫を見つける。
「ん!あー、黒姫、何かあったのか?」
話をすげ替えようとして周囲から白い目をされるアキトだが何とか黒姫に発言権をパスする。
「あ、あの…神鳴の様子を見に来ました」
「私?あー、次の予定?まだ決まってないわ。急がなくても大丈夫よ」
神鳴は微笑み今はアキトを弄り倒す事が優先だと言いたげであって黒姫は苦笑いする。
アキトは険しい顔して黒姫に警告する。
「信じるなよ?コイツの機嫌次第で急に決まるから」
「コイツ扱いなんて酷いわね!」
アキトにカレーを食べる暇も与えず神鳴はバシバシとアキトの脇腹を攻撃するのだった。
ーーーーー
報告を聞いて翔は難しい顔をする。
「そうか、まだ決まってないか。いつまでも警備の仕事って訳にもいかないし」
「そうですよね…姉さんにも話さないといけませんね…」
家でテレビを見るカウチポテト族と化した黒鴉を思い浮かべて何とかしないとと黒姫は決心する。
家に戻ってきて黒姫はボーッとしている姉に詰め寄る。
「姉さん?お仕事しに行きますよ?」
「えー…今更ぁ?」
社長としての事務処理すると妹に言われて黒鴉は気怠そうに身体を起こす。
「神華さんにばかり頼るのは良くないですよ!さぁ行きますよ?」
「はぁ…なんで急にやる気になってるのよ…」
「神鳴が言うには次はまだ決まってないんですから仕事はやりますよ?」
グイグイと引っ張り姉妹は物置ワープを使ってお仕事しに向かうのであった。
「やーだー、お休みするのー!」
「ダメです!ちゃんと役目を果たしてください!」
こうして日常に戻ってきた一行は忙しい一日を過ごすのであった。




