終戦、祭りそして
大陸に平穏が戻ってきて商業都市の終戦記念の祭りが行われて翔達は祭りの様子を宿から眺めていた。
「平和になるのはいいけど気分は良くないわね…」
黒鴉が兵器作成者の処刑の報せを聞いて翔達も溜め息を漏らす。
アキトだけ平然としていて冷たい目線を黒鴉から向けられる。
「お前らが気に病む事じゃないだろ。敵側の奴だぞ?」
「そういう所はドライよね」
「割り切りって言ってくれ、俺だって犠牲は少ない方がいいって思ってるさ」
アキトの言葉を嘘くさいと訝しむ黒鴉であった。
「祭りを楽しんでこいよ。お金余ってるんだろ?」
「そんな気分じゃないわよ…ねえ?」
同意を求められるが翔と黒姫はお金は使った方がいいと息苦しい宿から早く出たい一心で黒鴉を引っ張り出す事にする。
残されたアキトはふぅと一息ついて旅行鞄を呼び出す。
「さて、仕事は終わった。今回はどんな感じだった満足したか?」
旅行鞄越しに神鳴に評価を尋ねると神鳴がヨイショと出て来て少し不満そうな顔をする。
「私もお祭り行きたいんだけど?」
「先に話すこと話してからな?」
ムスッとしながらも神鳴はこの世界についての敵と評価をする。
「そうねぇ、兵器は驚異的ではあったけど四人は過剰戦力だったかしらね」
「まぁ次回からは俺は居ないからな。こんなもんだろう」
「…翔本当に引退しちゃうの?」
今更だなとアキトは頭を掻いて「もういいだろう」と正直疲れたと答える。
「分かるだろ?家族もたくさんいるし…」
「んー、でも別に姉さん達の生活に翔お金が掛かってるわけじゃないし?」
痛い所を突かれてアキトは「うっ…」となってしまう。神鳴は仕方なさそうに頭の後ろで手を組む。
「まぁ?どうしてもって言うなら?」
「なんだよ歯切れが悪いな、ハッキリノーって言ってもいいんだぞ?」
「お休みは必要だよねって話」
次の世界はアキトは休んでもいいと言われて少しだけホッとするが気になってしまうこともある。
「うーん、でも翔達がまだ未熟というか…まだまだ不安は残るんだよな」
「あら?やっぱりまだお休みはいらなそうね」
「むぅ、休みは欲しいが…まだまだひよっ子だしなぁ…」
翔達が居ないことをいい事に色々と愚痴をこぼしてしまうアキトに神鳴は苦笑いするのだった。
「でも四人は過剰よね…メンバーの変更も視野に入れないとね」
「ちょっと待て、メンバー変更?ひよっ子の育成が大変だって言ったばかりだぜ?」
「いいじゃない、パーティ変更で新しい風を吹き入れるのも悪くないんじゃない?」
またテキトーな事をと呆れるアキトなのであった。
祭りに遊びに行っていた翔達にアキトと神鳴が合流する。神鳴の登場に翔達は目を丸くするが食べ歩きしたいと神鳴は翔達にタカるのであった。
アキトは挨拶回りにすぐに翔達と別れてレオンに会いに行く。
「やあアキト殿。お祭りは楽しんでおられますか?」
「まぁ仲間達が俺の分も楽しんでいる。今日はお別れを言いに来た」
「お別れ…そうですね。戦争は終わり傭兵業も終わりですからね」
レオンは少し残念そうにアキトと握手を交わす。
アキトは自分達の身の上を語る。異世界の存在を突然語られてレオンは面食らっていた。
「異世界…皆さんはそれで特殊な力と強さを…」
「まぁそんなところだ。それでやる事やったから元の世界に帰ることになってな」
やる事について言及はしなかったが色々と察せられてやはり残念がられるのだった。
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一方翔達は祭りの屋台の食べ歩きをしていた。
フルーツ等甘いものを中心に食べる女子達を翔は微笑ましく思う。
「次はアレ食べたい!」
「底無しの胃袋ね…」
「だって食べ納めよ?もう来れないんだもん」
神鳴のその言葉に黒鴉は「そうよねぇ」と同意しながらハッとしてツッコミを入れる。
「異世界モールに商人の招致しないと!忘れてたわ!」
「あー、そんな事言ってたね。でも今日帰っちゃうし何か仕入れるだけにしたら?」
黒鴉はぐぬぬと悔しそうに自分の行動力の甘さを呪う。翔と黒姫は協力するからと励ますのであった。
「そうと決まれば祭りの露店で安く仕入れてモールで高く売ってやるんだから!行くわよー!」
姉の無茶な発言に黒姫はつい微妙な顔をしてしまう。神鳴も食べ歩きが中断されてしまい口を尖らせる。
「ちぇー、もっと食べたかったのになぁ」
「うっさい!この余ったお金をどれだけ地球のお金に換えられるかが大事なのよ!」
お金のことになるとうるさい黒鴉を見て流石の神鳴も諦めるしかなかったのであった。
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買い物を終えてアキトに合流する翔達。その手荷物の多さを見てアキトは唖然とする。
「また沢山買ったな…」
「そりゃあ私の商売人としての誇りが掛かってる訳だし!」
乾いた笑いが出てアキトも用事は済んだと語る。
「用事って?」
「そりゃ世話になった人への挨拶ってやつだ」
レオンへの話は終わったしアキトは少し伸びをする。
「それじゃ神鳴!さっさと帰るわよ!?」
「はいはい、でも黒鴉はもう少し風情を覚えるべきね」
情緒とかを楽しむ事も覚えるべきと神鳴に指摘されるが黒鴉はそんなもの知らんと腕組し神鳴を急かすのであった。




