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神の下僕は世界を救いたい  作者: D沖信


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アルナスル

ミルウェイ大橋での連合軍と帝国軍の戦いはジリジリと連合軍が押し勝つ形で大橋の占領に成功するのであった。

帝国軍は陣を下げて撤退する。ヴァルゴは追撃は行わず無理せず行軍を止める。


「よし、帝国の領域を元の位置まで押し返したぞ!ここからは向こうの領土だ。慎重に行くぞ」


ヴァルゴは軍を整え直し負傷兵と区分けする。

翔達は侵攻に参戦するかを議論する。


「さて、こっからは帝国領らしいな…どうする?進むか?」


「行くしかないでしょう?帝国軍に兵器を作るバカが居るわけだし」


黒鴉は腕組して強行軍すべきだとやれやれ顔をして首を振る。翔と黒姫は慎重に事を進めるべきだという意見を出す。


「慎重…?ビビってるだけじゃない?敵本陣に近付けば必ず兵器が出てくるわよ?」


「そうだけど…人との争いには介入しない…それがルールだったはず」


「体の良い言い訳ね、兵器の被害を減らすのが私達の役目でしょ?」


黒鴉の言葉に言い負かされて翔は難しい顔をする。


「理解はするけど納得は出来ない…そんな顔ね」


「姉さん。侵略する側に回るのは難しい事なんですよ?」


「勘違いしてるわね、侵略がどうたらこうたらなんて私達には無関係、これは戦争なのよ?戦わなきゃ死ぬの」


ストイックな考えを口にする黒鴉に黒姫も唸らされる。

アキトが仕方なさそうに意見をまとめる。


「つまり人との戦いはせずに兵器が出たら仕事する。そういう事だろ?」


甘えた事を言っているようだがそうしたいと翔達は願っていてアキトは仕方ないなと頭を掻く。

そういう体で話を進めて来ようとアキトがヴァルゴに話を通しに行こうとした時であった。


「敵の新兵器だ!」


どうやら帝国軍が置き土産をしていったようで侵攻を妨害するように兵器が投入されたようであった。


「早速出番のようだぜ?」


「随分と敵も性急なのね」


翔達は駆け出し新兵器へと向かう。途中ピスケスと出会う。


「君達は!そうか新兵器とたたかうんだね。気を付けてくれ。情報は無いから…」


「まあ何とかなるさ」


アキトは軽く笑ってみせてヴァルゴ率いる連合軍の最前線組に合流する。


「来たか!帝国軍が置いていったもので我々の足止めをする為の兵器のようだ。奴らは『アルナスル』そう呼んでいた」


アルナスルは球体が連なる奇妙な形をしていてふよふよと漂い触手のように伸びた連なる球体を振り回して近付こうとする兵士達を吹き飛ばしていた。


「なるほど、対処しよう」


アキトが先制攻撃だと刀を抜いて氷柱を飛ばす。切断するように触手の中段に命中、切断した触手が別の個体の様に独立稼働を開始する。


「分裂するのか…!コイツは厄介だぞ」


「何とかするしか無いわ、纏めて押し流す!」


黒鴉が精霊を呼び出してウォーターカッターでバラバラにしてやると意気込み水を噴射、狙いは良かったが敵は細切れになりつつも次々に分裂していく。


「黒鴉!ストップ!それ以上はマズい!」


「わ、分かってるわよ!何よコイツ!全然死滅しないわ!」


分裂し周囲に溢れかえったアルナスル。圧倒的な数になり迫りくる小型に対し怖じ気付く兵士達を庇うように翔が動きズバッと切り捨てる。すると分裂することなく消滅していく。敵を小型化すれば対処が可能だと分かる。

兵士達も戦えると分かると引け腰から立ち直る。


「よし、狙いは決まった俺達は大型と中型のやつを対処するぞ!」


四人は一斉に大型のアルナスルに向かっていき戦闘開始、鞭のように触手を振り回す大型に対して魔法攻撃を行う。

ダメージを負わせると分裂するが分裂した部位を逃すまいとアキトが素早く切り捨てていく。


「こっちは任せろ、デカブツを削っていけ!」


見せ場は貰ったと黒鴉が意気揚々とウォーターカッターで敵を攻撃しどんどん中型に分裂させていく。


「私の前に平伏せー!」


「やり過ぎ!もうちょっとペース考えろ!」


アキトに続いて翔と黒姫も中型を相手する事になって黒鴉の暴挙にツッコミを入れる。そして暴の力で押せ押せの黒鴉の攻撃があとどれくらい続くのか不安にさせてくる。


「…今は目の前の敵だ!」


翔は不安を払拭させようと刀を振るって中型を斬り刻んでいく。

大型のサイズも黒鴉の攻撃の繰り返しによってどんどん小さくなっていき翔達は分裂した中型と大乱戦になる。

圧倒的な数を誇るアルナスルだったが長きに渡る戦闘で遂に本体のサイズもだいぶ縮小される。しかし黒鴉の方が燃料切れを起こしトドメには至らなかった。


「あーもう、言わんこっちゃない!」


「うっさい!勝てばいいのよ!」


黒鴉は破れかぶれに剣を振り上げて本体を一刀両断する。追撃の横振りで四分割、さらに分裂する敵にイライラして振り回し細切れにしてしまう。


「おんどりゃー!はぁはぁ…どうよ!」


もう分裂復活しない敵に対して黒鴉は汗を垂らしながらドヤ顔で勝利を確信し腰に手を当てて高笑いする。


「フィジカルお嬢様だな…」


アキトがボソッと呟き翔は吹き出してしまう。


「財閥企業のトップですからね…フィジカルも鍛えてますよ」


黒姫まで姉の暴をそう評価するのであった。

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