カウス・メディア
転移で手早く宗教都市にやって来た一行はさっさと連合軍に合流しようと現在の駐屯地を残留している部隊に確認して向かう事にする。
「連合軍は現在ルサンより先に進軍しています」
「ルサンより先となるとちょっと時間が掛かるな…」
それだけ進軍しているなら補給線も伸びてて大変だろうと思いつつ翔達は補給部隊と共に進軍する事にするのだった。
数日掛けて補給部隊は大河を前にしたヴァルゴ率いる連合軍に合流する。
「君達か、良い所に来てくれた」
翔達が危惧していた兵器の魔の手がここにも及んでいた。
「サジタリウスだな?他の区域でも出現していて対処している」
「そうか、君達は相変わらずだな…いや取り敢えず『カウス・メディア』と呼ばれるアレを何とかしたい」
カウス・メディアと呼ばれる兵器が持ち出されているようで翔達は戦闘に備える事にする。その前にとアキトは情報を求める。
「敵の…カウス・メディアの特徴や特性を教えてほしい」
「カウス・メディアは魔術を使う四面体だ。問題は守りの固さ…使う魔術に対応した属性の攻撃をしなければならない…我が軍は歩兵部隊、魔術に明るいものは少ない」
「対応した属性の攻撃…か、俺の出番かな」
アキトがニヤリとして翔達が首を傾げる。
「ん?忘れたのか?俺の『不思議な旅行人』を?」
数多くの精霊武器がアキトの旅行鞄にしまわれている事を三人は思い出して黒鴉がツッコミを入れる。
「アキト!アンタそれ使えるならアルカブの時に少しは助力しなさいよ!」
「お前らだけでも戦える事を証明しないとな?」
「ぐぬぬ…」
取り敢えず今回は任せとけとアキトは親指立てるのだった。
ーーーーー
どうやらカウス・メディアと帝国軍は大河に架かった大橋に陣取っているようだあった。
アキトを先頭に橋に入るとカウス・メディアが起動しヴァルゴの話通り四面体の無機質な兵器が現れる。
「出たな!さぁ魔法勝負と行こうか!」
「魔法嫌いなクセにやる気満々ね」
黒鴉は溜め息交じりにツッコミを入れる。
アキトは早速旅行鞄を呼び出してカウス・メディアの出方を待つ。中々動かないカウス・メディアにアキトは退屈そうに呟く。
「攻撃が来なければ対応した精霊を呼べないからな…」
「先制攻撃してみてはいかがでしょうか?」
「それもそうだな…氷雨、挨拶してやれ」
アキトは氷の刃を放ち先制攻撃を仕掛ける。
カウス・メディアはそれに反応し炎の防壁を展開する。それを見てアキトは素早く次の武器を呼び出す。
「こい!ネプチューン!」
三叉の鉾を手にし黒鴉のバハムートと同じ水の属性を持つ精霊を使い防壁を突破し水をぶっかける。
カウス・メディアは反撃に雷の属性の攻撃を放ってくる。
「ティターン!」
アキトは今度はハンマーを手にし土の壁を生成し攻撃を受け止める。黒鴉はアキトの素早い武器と精霊の切り替えに舌を巻く。
「あらゆる属性を使いこなせるってのは伊達じゃないって訳ね」
「ロックブラスト!」
アキトは反撃の石の礫を放つ。攻撃はカウス・メディアに命中し兵器特有のダメージ表現、大きく揺れる動作を見せる。
「効いてる!これなら勝てる!」
冷静に次々に魔法の応酬を繰り返しダメージを与えるアキトに翔は尊敬の眼差しを向ける。
土には氷、氷には炎と属性が一巡する。
「イフリート!…サンダーバード!」
「勝負は見えたわね。アキトの力の方が上手…兵器の力じゃアキトの防壁を突破出来ないし切り替えも遅いわ」
黒鴉がこっからは見る価値無しとアキトの戦いを見飽きたような顔をする。しかしアキトはやらなければいいのにアドリブを入れる。
相手の土属性に対して植物の精霊を呼び出す。
「いけ!ドライアド」
「ちょっと!安定して周期してるのに余計な事を!」
「帝国軍の技術力、どこまで対応出来るか見せてもらおうか!」
趣旨が変わっていると呆れてしまう三人をヨソにバトルジャンキーの血が騒ぐアキトは口角が上がっていた。
「樹には炎と…まぁ想定内だ、ならばコイツはどうだ!?シルフィード!」
風の魔法を放つと土の壁が形成されるが風がガリガリと土の壁を削り取っていく。
「風に土はナンセンスだぜ!」
対応し切れてないぞとアキトは叱りつけるように魔法を熾烈に叩き込む。指導者としての一面も見せるアキトに三人からは溜め息が漏れる。
「ならばこんなのはどうだ?アイアンゴーレム!」
土ではなく鋼鉄の一撃が放たれてカウス・メディアは激しく撃ち付けられてヒビが入る。
「もう終わりか?俺はまだ半分も力を出してないぞ?」
「アキト、遊びはそこまでにしてさっさとトドメさしちゃいなさいよ?」
黒鴉からの注意を受けてアキトは仕方ないと最後に刀を手にして羅刹を呼び出す。
「羅刹!行くぞ奥義!絶空!」
混乱し瀕死状態の兵器に向けて最後はアキト自身の物理的な攻撃の奥義を叩き込みカウス・メディアにトドメの一撃を放ち破壊する。兵器は砕け散り塵になって消えていくのであった。
「大したことなかったな」
「変な事しなきゃもっと早く終わってたでしょ!」
ポカっと殴られてアキトは不服そうに口を尖らせるのであった。




