アルカブ
攻略方法で試してない事があるという事で翌日今一度アルカブへ挑戦する事になる。
「黒姫が意見を出すなんて珍しいわね」
姉の言葉に黒姫は微妙な顔を頬を掻く。
「珍しいだなんて…私だって考えて行動してるんですよ?」
「てっきり浜松のイエスマンしてるだけだと思ってたわ」
結構ヒドいことを言う黒鴉に翔もアキトも白い目をする。黒姫はそんな姉の事を許しつつ溜め息をついて良くないですよと諭すのだった。
脈動するアルカブが鎮座する場所に到着した一行は黒姫の一挙手一投足に注目が集まる。
「え、えーっと…じゃあ試しますね?デス!」
精霊を呼び出してアルカブに向かって進ませて鎌を振り下ろす。誰もが黒姫の攻撃を無意味だと思って見ていた。
エイッと一撃、ズバッと球体が切られてダメージを受けた時の震えを見せる。
「あら、効いてるわね…」
「ふむ、物理的な攻撃は通用するのか…」
弓矢はガスに防がれたが無理矢理物理攻撃を当てればダメージにはなると見ると翔も焰鬼を呼び出して拳を叩き込ませる。しかし打撃攻撃は効果が薄く攻撃をゴムのように歪んで受け止められてしまう。
「打撃は効きが悪いな…」
「私が頑張らないと!」
黒姫は力んだ様子でナイフを握りしめてデスを鼓舞する。
デスはスパスパと斬撃を放ち続ける死神の鎌、ダメージが蓄積されていくアルカブは脈動を早めてガスを更に噴出させていく。
翔達がいる現在地にもガスが到達して四人は「うっ」と一歩ずつ下がる。
「よっぽど近寄らせたくないようね…」
「だが精霊には効果ないようだし無意味だな」
攻撃を受けても尚形を保つアルカブであったがデスの連続攻撃に遂に大きく揺らぐ。
「後ちょっとよ!黒姫頑張りなさい!」
魔力が持つ限りやり切れと黒鴉に激励される。
精霊とシンクロするように黒姫はナイフを振りかざし空を切る。渾身の一撃がデスから放たれてアルカブは不整脈の様に脈動が乱れてプスプスと収縮していく。
倒したのかと歓喜する翔達であったがアルカブは第二形態へと移行する。一メートル程の大きさの黒い球体に変化したアルカブはブラックホールの様に周囲を吸い込み始める。
「今度は吸収か!」
ガスを吸い付くし周囲の地面をも剥がし取る吸引力に四人はヤバいとすぐに対処を要求され黒鴉が水流を吸い込ませる。
「長くは保たないわ!すぐに対策考えて!」
「対策ったって…」
翔も雷怨を使い水流に電気を流して効果があるか確かめる。
「クソッ!魔法は効かないのか!?」
「吸収なんて芸当、限界が無いわけが無い!」
アキトは冷静に敵を観察して対処方法を考える。ブラックホールの消し方なんて簡単に想像も付かないがエネルギーを吸収するだけ吸収すれば相殺可能なのかと考える。
「で!?どうすればいいのよ!」
黒鴉は切羽詰まったように叫ぶ。
「そのままエネルギーを食わせろ!」
「え?!いいのね!やっちゃうわよ!」
あれはブラックホールとは違うとアキトが答えて翔と黒鴉は協力して攻撃を続ける。
ピシッと遂にアルカブにヒビが入り光が漏れ出す。
「後ちょっと!浜松!気張りなさい!」
「俺よりそっちがな!」
二人は意地の張り合いをするように鼓舞し合ってアルカブへの攻撃をより一層強める。ヒビはいっそう広がりアルカブは素早く鼓動する。
「トドメだ!」
バクバクと強まる脈動、それが一瞬停止して遂にアルカブは砕け散るのだった。
「はぁ…はぁ…、やった!」
翔と黒鴉は息を切らせて歓喜する。
観察だけしていたアキトはよくやったと三人に賛辞の言葉を送る。
「アンタもちょっとは協力しなさいよ!」
黒鴉はゲシゲシとアキトの足を蹴る。
「イテテ、お前らだけでも頑張れるじゃないか。いやーお疲れ様だ」
「そういう問題じゃないわよ!」
「何にせよこれで進軍ルートは確保出来たんだ。報告に戻るぞ」
こうして一行は吉報を持って連合軍の陣に戻る事にするのであった。
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見事アルカブを撃破し進軍ルートを確保出来たという報告をする翔達。タウロスはまさか本当に倒してしまうとはと目を丸くする。
「散々苦しませてきた兵器を半日足らずで撃破してしまうとは…」
「これで進軍出来ますよね?」
「勿論だ、我らの力を今一度帝国軍に知らしめてくれようではないか!」
タウロスは拳を掲げて力強く吼える。
アキトは冷静に戦況を分析して翔達に次への道標を提示する。
「他の戦場にも兵器サジタリウスが出ているかもしれないな。さて、どうする?」
「行くしかない。でしょう?」
「なら次の連合軍の駐屯地へ向かうとしますか」
翔達の間では結論が出ていてタウロスは少し残念そうにする。
「もう行くのか?君達に落ち着く暇は無さそうだな」
アキトが笑って謝る。
「悪いな大将、これも俺達の仕事だからさ」
爽やかに別れを告げて次の連合軍の駐屯地を目指そうとする一行は不味い薬をアキトから渡されて苦々しい顔をする。
「宗教都市に行くのにまた飲まないといけないのか…」
「魔法でピューンと行きたいものね…」
そんな便利なものは無いとアキトに一蹴されて一同苦い顔をして宗教都市へと転移するのであった。




