脈動する兵器
兵器アルバルダによる被害に一時部隊の立て直しの必要が出来た連合軍と共に撤退する翔達。
「撤退する事になり本当に申し訳無い…」
レオンの謝罪に翔達は問題無いと笑う。前線から一日掛かりで都市まで戻ってきて軍の立て直しを待たずに翔達は別の拠点のサポートに向かう事にする。
「さて、手短に移動するならやっぱり…」
「薬、ですよね…」
「まあそんな顔するな。取り敢えず軍事都市でいいよな?」
アキトの提案で軍事都市へ向かう事にした翔達はアキトが高速移動で転移陣を用意して不味い薬を飲んで転移するのであった。
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軍事都市に入るが既にタウロス率いる連合軍は出陣済みで今回は物資の前線への輸送に合わせて翔達も参戦する事にする。
「補給線の確保は戦争の基礎のキ。俺達も仕事するぞー」
「なんで私達がバックパッカーみたいなことしないといけないのかしら…」
荷車に乗らない分の荷物を入れた大きなリュックを背負う一行は愚痴を呟きながらも軍事都市を出発する。
街を出て山道を迂回して平地を進むこと一日と半日、タウロスが展開する盆地の陣へとやってくる。タウロスは翔達の増援を歓迎する。
「まさか君達が来るとは。歓迎しよう!」
アキトは商業都市での戦闘と新兵器について説明する。
「新しい兵器だな。我々でも確認している。兵器名は『アルカブ』、今我々が対面している強大な兵器だ」
「強大、具体的にはどのような…?」
翔が疑問を口にするとタウロスは腕組しながら説明を始める。
「奴は自身を中心に膨張と収縮を繰り返し周囲をガス攻撃する…一般兵は近付くことすら出来ない…そして矢はガスの放出で威力が減衰されて決定打にならない。我々の進軍を困難とさせている兵器だ」
アキトは攻略の案を少し考え込む。
「ガス…か、可燃性なら一気に巻き込んで爆発させる事も可能なのでは?」
「それなら試したが非可燃性のようだ…」
毒ガスに対してどう対処するかが勝負の決め手だとタウロスは語りアキトも同意する。
翔達も攻略の思案を出し合う。
「精霊魔法で一気に押しつぶしちゃいましょうよ?」
「呼吸を必要としない精霊なら物理攻撃も可能じゃないかな?近付かなければ被害は出ないんだろ?」
翔の言葉にタウロスは頷き近付かなければ安全であると説明する。しかし黒姫が小首を傾げる。
「近付かなければ安全…本当にそうでしょうか?」
「どういう事だ?」
「ただガスを放出するだけなのでしょうか」
黒姫の最もな疑問にアキトは険しい顔をする。
「しかし確かめようが無い。実際戦闘してみないとな…」
「やっぱりぶっつけ本番ですか…」
情報が無い中で手探りで攻略するしかないと結論が出て肩を落とす一同。
タウロスは戦地が特殊な環境だと説明を付け加えてくる。
「この盆地を出て帝国軍が陣取る谷間までの間にアルカブは存在していてそこを突破出来なければ進軍は叶わない…」
「谷間の入り口に居るってことか?お堅い防衛だな」
近くまでは観察に行けると説明を受けて四人はタウロスの案内でアルカブを確認しに向かうのだった。
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アルカブが存在する谷間への入り口へやって来た一行は浮遊し脈動する巨大な球体を見て楽観視する。
「何よあんな物!一撃必殺よ」
黒鴉は勇んで剣を抜く。翔は止めようとするがアキトが「やってよし」とゴーサインを出す。言われなくてもやってやると黒鴉はバハムートを呼び出して水流ビームを放つ。
アルカブは攻撃を受けて表面が歪み水流を受け止める。
「風船か何かみたいだな…」
「ちょっと!冷静に分析しないでよね!今にぶっ壊してやるわ!」
出力を上げるが歪みが大きくなるだけで破裂する様子もなく攻撃をいなされてしまって黒鴉は息を切らせる。
「はぁ…はぁ…、割れなさいよ!」
「敵に文句を言ってもな…」
翔が苦笑いすると黒鴉は次は浜松がやれと翔に無茶振りしてくる。
「えっ?!俺が!?」
「物理的に無理なら魔法的に攻める!はい!雷怨!」
雷を使えと言われて翔は成る程と濡れたアルカブ目掛けて雷怨による雷撃を放つ。
激しい稲妻による攻撃にアルカブは無反応でただただ脈動を繰り返す。アキトは冷静に分析をする。
「魔法的な攻撃も無反応…っと」
どうすればいいのよと黒鴉は剣を地面に突き立てて柄に顎を乗せて愚痴る。取り敢えず今はこれ以上の消耗は避けようと戦地を後にするのであった。
陣に戻り今後の動向を議論する一同。
「アルカブは無敵、として進軍ルートを修正する必要がありそうだ」
タウロスの見解を聞いてアキトもそれが出来るならそうしたほうが良さそうだと他のルートについて議論を始める。
黒姫は浮かない顔をして「うーん」と唸る。
「どうしたのよ黒姫」
「いえ、アルカブは本当に無敵なのでしょうか?」
「物理も魔法も通用しないんだから無敵でしょ?」
黒姫はならばなぜガスで身を守るのかと皆に問う。
「攻撃手段がガスなんじゃないの?」
「そうでしょうか?私には谷間と自身を守る為の防衛手段に見えて…」
まさか攻略手段があるのかとタウロスに問われ黒姫は頬を掻いてまだ試してない手があると答えるのであった。




