アキト強襲
平野の前線にまでやって来た翔達は帝国軍の尖兵たるモンスター達の退治を行う。兵器もなく安全に戦闘を行える環境で翔達は戦闘をしていた。
「この程度だとトレーニングにもならないか?」
アキトの軽口に三人は皮肉かと微妙な顔をしてアキトを睨む。
「おいおいそんな顔すんなよ。皆強くなったんじゃないかと言いたいんだぜ?」
「本当かしら…」
「信用ねぇなぁ」
本当の事なのにとアキトは頭を掻いて苦笑いする。
そんな事より手を動かせと黒鴉はツッコミを入れつつモンスター狩りを続ける一行なのであった。
一通りモンスターを退治した所で連合軍が進軍を開始してバトンタッチして四人は戦線を離れて休憩をする。
人との戦闘は避ける事に対しては文句は無いが色々と戦争に思う所がある黒鴉は若干の愚痴をこぼしていた。
「なんて言うか、本当に秩序を保っているのかしら…?」
「世界の均衡を保つ為の戦争だ。まぁお前らは人斬りしなきゃいいさ」
レクチャーの内容と判断基準が曖昧で翔は難しい顔をする。
「アキトさんの言う均衡だとか秩序だとか基準が難しい…」
「そうか?分かりやすく話しているつもりだった。済まない」
どういう基準なんだと黒鴉と黒姫も知りたそうにアキトを見る。アキトは少し考えるように顎を触ってから答える。
「まず一つ、外の力を使う者にはこちらも力を惜しまない事。ミリディエムだったり今の状況だな。二つ、自衛の為なら力はある程度使ってもいい。山賊とかとの戦闘だな。舐めプして怪我してもしょうもないからな」
二つのパターンを聞いてそれは分かったと三人は頷く。
翔は今の戦闘について確認する。
「外の力が協力してるからって現地民の兵士達は攻撃しちゃダメなんですよね?」
「俺は別にいいと思ってるがお前達は人斬りの経験積んでないから不慣れで怪我するかもしれないからな」
実力不足を指摘されて翔達はガクッと姿勢が崩れる。
「ぐぬぬ、言うじゃない…」
「人を斬ることに慣れろとは言ってないぞ?」
アキトの言葉に翔達は少しホッとしたような顔をする。
「なんだその顔は、実力と精神力が不足しているのは事実なんだぞ?」
「人斬りにそういう事言われたくないわよ!」
「人斬りとは人聞きが悪い!好き好んで斬ってる訳じゃないぞ!」
軽く憤慨するアキト、どうしても話は平行線になりそうでアキトは溜め息をついて止め止めと話を切り上げる。
「人を斬るだのは無し。お前らそういうのダメそうだし」
「ダメって何よ!?」
黒鴉は相変わらず噛み付くがアキトはハイハイ終わり終わりと無理矢理話を切り上げる。
「むぅ…」
「まあまあ、姉さんもムキにならずに…」
「兎に角、納得し難いわね…」
アキトを睨みつけるように黒鴉はジト目をするのだった。
ーーーーー
連合軍と帝国軍との戦闘は一進一退で中々前進出来ないようであった。
指揮官として前線に出ていたレオンが戦闘をきり上げて陣に戻ってくる。
「流石帝国軍だ。兵の質、練度が高い…」
「平野での戦闘だとその辺りが顕著になるからな…」
アキトは疲弊した兵士達を見て険しい顔をする。
「力を貸してほしい」
レオンの切実な願いにアキトは仕方ないなと自分だけだと約束して出撃の準備を整える。
「パターンとしては山賊と同じだしな。身に振りかかる火の粉は払い除けないとな」
自分に言い聞かせるようにアキトは語る。
「一人で戦況ひっくり返すなんて兵士の面目丸潰れになっちまうぜ?」
「君達は兵器を幾つも壊してきた…誰も面目に傷は付かないさ」
「そうか、まぁ今回は俺一人だけどな」
その一人で十分さとレオンは笑いアキトも不敵に笑うのだった。
本気は出さないが無双はしてやると意気込むアキトはさっさと出陣して前線の部隊に加わる。
氷雨の力を申し分なく発揮して氷の足場を作り敵陣を滑り強襲を始める。帝国軍は突然の襲撃者に混乱する。
「な、なんだ!?コイツは!」
アキトは氷の棍棒のようになった刀を振り回し次々に兵士の兜ごと叩き潰していく。
「どけどけぇ!大将首はどこだぁ!」
「何としても止めろー!」
必死にアキトを止めに掛かる帝国軍、しかし覚醒者の身体能力を発揮しているアキトを捉える事は出来ず攻撃は空振りに終わる。アキトに手間取っていると今度は連合軍から攻め立てられて帝国軍の戦線は崩壊していく。
帝国軍の将校は突撃してくるアキト一人に翻弄される兵士達に喝を飛ばす。
「何をしている!たかが一兵に!」
立て直そうとして声を上げ鼓舞のために旗を掲げたのが災いしてアキトは指揮官の将校を見つけ出す。そしてそれ目掛けて氷の足場を展開して滑って突進する。
「止めろ!何としても止めるのだ!射殺せ!」
弓矢まで持ち出してアキトを狙うが氷の盾を展開するアキトには弓矢は通用せず遂に将校は接敵されてしまう。
「大将首貰ったぁ!」
「タダでやられると思うなよ!」
将校は一般兵よりも的確にアキトを狙って剣を振るう。しかしそれでもアキトには届かずカウンターの一振りでホームラン級に飛ばされてしまい帝国軍は瓦解してしまうのであった。




