反撃開始
六基めの兵器を破壊し帝国軍を一時退ける事に成功した翔達一行は生き残った連合軍兵を引き連れて連合軍陣に凱旋する。
「流石だな。見事破壊してくるとは…」
レオンは翔達の成果に舌を巻く。
「帝国軍は長居しても仕方ないと陣を下げたようだが…我々もすぐに打って出るわけにはいかない…他の区域を助けてやってほしい」
他と合わせて進軍するとレオンは説明し書簡を書き留める。アキトが早馬より早く届けてやると書簡を受け取る。
黒鴉が安請け合いしたことを苦々しい顔をして小言を言う。
「またテキトーな事言って!不味い薬を使うんでしょ?それも何回も!」
黒鴉の何回もという言葉に翔と黒姫も辟易とした顔をする。
「そんな顔するなら俺一人で行ってくるから」
アキトは口を尖らせ書簡を送るなら一人で出来るからとブツブツ言いながら高速移動薬だけで薬を節約できると言い訳をするのであった。
商業都市に戻った翔達、アキトは三人に買い物や宿等を任せて他の都市に向かって出発する。
高速移動で軍事都市にやって来たアキトは早速書簡をタウロスへ渡しに向かう。
「む、アキト殿か」
「レオン将軍からの書簡を届けに来た」
「レオンから?いただこう」
書簡を確認したタウロスは一頻り大笑いしてニヤニヤする。
「反撃の時来たり…か!フハハ!いいぞ」
タウロスは筆が乗ると自分も書簡を書き留めてアキトに手渡す。
「俺からもレオンへ言いたいことがあるからな。よろしく」
よろしくと肩を叩かれたアキトは苦笑いしながら書簡を持って続いて宗教都市へと向かうのだった。
「流石にえぐ味がじわじわ効いてくるな…」
不味い薬に慣れているアキトも連続使用は身体に毒だなと口を袖で拭う。
何とか宗教都市に辿り着いたアキトはもう戻ってそうなヴァルゴを尋ねる。ルサンから帰国していたヴァルゴはアキトが持ってきた書簡を受け取る。
「ふむ、レオン将軍からの…遠路遥々ご苦労であった」
お硬い感じは相変わらずで書簡を確認してまた「ふむ」と小さく頷く。
「兵器は六基破壊済み…決起するなら今か…」
「返事書きます?今日中に届けますよ」
「…君は何を言っているんだ?少なくとも四日は掛かるぞ」
常識的な事を言われてアキトはハハハと笑って誤魔化しつつ自分には出来ると答える。
「まぁちょっとした薬で高速移動をしてまして…」
「巷ではそんな便利なものがあるのか?」
「あー、これは俺の嫁さんの特製なんだ」
ヴァルゴはアキトが結婚していると聞いて「ふっ」と笑う。
「あの仲間に薬師が居たのか」
「あー、あれはもう一人の男のツレだから俺の嫁はまた遠くに居てな…」
説明が難しいとアキトは頬を掻く。ヴァルゴは取り敢えずレオンへの返答を認めるのであった。
ルサンのピスケスのところにも行くかとアキトは考えるがレオンの書簡はもう無いので戻る事にする。
商業都市アクロへ戻ったアキトはその日の内に書簡を届け終えた報告を陣地にしに行く。
「え?届けた…?もうですか?」
アキトは返事の書簡をレオンに渡してレオンは本当なのかと目を丸くする。
「一体どんな方法で…」
「あー、それはですね…」
ヴァルゴにした説明をアキトがするとレオンは羨ましがる。
「そんな便利な薬があるなら是非使ってみたいものだ」
一日に四本も薬を飲んだアキトは非常に苦々しい顔をして一言「やめておけ」と答えるのであった。
「ウチの薬は兎に角不味いから。うん…」
「なんだか分からないが君の顔色からそれは伝わってくるよ…」
酒場に戻ってきて翔達と合流したアキトの顔色が悪いのを見て大丈夫かと心配する。
「流石に日に四本は身体に毒だな…」
「薬は毒と紙一重って言いますからね…無理し過ぎですよ」
黒姫に注意されてアキトは面目ないと謝るのであった。
翌日、陣から一時戻ってきていたレオンはアキトに五日後、連合軍として一斉に出陣すると説明する。当然アキト達にも供をして欲しいと依頼を出してくる。
翔達三人もその話を聞いて一旦はアキトを見て確認を取る。
「あら?対人戦闘はしないんじゃないの?」
「ああ、そのつもりだが…懸念点がある」
アキトはまだ兵器が出てくるんじゃないかという事を口にして翔は以前出た話を振り返る。
「ミリディエムが再生産されたり新型が出るかも知れない…か」
「そうだな。反撃するにもそれらが出てきたら連合軍も苦戦するだろう」
対処法が分かっている相手なら何とかなるとアキトは言うがどいつもこいつも精霊と覚醒者パワーでゴリ押し撃破したと黒鴉に言われてそうだったとアキトは頭を掻く。
「取り敢えず参加するだけ参加しとこうや、尖兵のモンスター退治だけでもやる価値はあるぞ」
アキトはいい加減な物言いで勝手に話を進めてしまい翔達は戦争に参加することとなるのであった。
各地でも冒険者を傭兵として雇う事になり戦力は増強され、連合軍は大きく勢い付くのであった。
翔達は商業都市の連合軍に付き従いまずは平野に展開している帝国軍と一戦交えることになるのであった。




