飛竜退治
宗教都市を出た翔一行は転送陣とそれに付随する薬品を使って長距離移動をしようとする。
アキトが出入り口を作るために高速移動薬を服用して方角を確認して跳んで行く。
「相変わらず凄い薬ですね」
黒姫が跳んでったアキトを見て呟く。黒鴉は小さく溜め息をつく。
「味さえ何とかなればね…」
「シュメイラ先生はあの不味い味こそが良いっていうからな…良薬口に苦しがモットーだし」
翔が説明すると苦いどころじゃないと黒鴉は嫌がる。
数分後転送陣がアクティブになって翔達は薬を嫌々飲みワープして商業都市近くまで移動するのであった。
もう夜なので翔達は宿を取りアキトはちょっと用事と一人先に戦況の報告へ向かう。駐屯所にはレオンは不在でアキトは仕方なさそうに他の戦地での情報と兵器についての共有を行う。
「報告ご苦労様です。将軍には早馬で連絡をしておきます」
取り敢えず今出来ることはやったとアキトは宿に戻るのだった。
翌日、翔達は前線基地まで合流するべきか酒場で議論する。
「緊急事態じゃないなら俺達が首を突っ込む必要性は低い。慎重に事を進めてもいいんじゃないか?」
アキトが慎重な対応をすると宣言して翔と黒姫は賛成するが黒鴉は帝国の兵器を先んじて潰すべきと提案する。
「こっちに来るって分かっている訳じゃないしなぁ」
「あと二機潰すだけで純粋な力比べになるんでしょ?さっさと破壊してのんびりしたいわ」
「戦地に出てこないなら何とも言えないしな…」
黒鴉は溜め息をついてならば何をするのかと疑問を口にする。
「まさかまたトレーニングって言って雑魚狩りさせる気?」
「雑魚狩りか…大物行くか?」
アキト不在でも行けるのかと言われて黒鴉は大見得切ってやれるに決まってると豪語して翔と黒姫は呆れてしまう。
「やってやるわよ!ドラゴンでもデーモンでも何でも来い!」
「そうか、じゃあちょっと依頼覗いてくる」
アキトは依頼の書類を一枚貰って戻ってくる。
「近場の山の飛竜退治を受けてきた。頑張れ」
「ワイバーンごとき私を止められないわよ!行くわよ浜松!黒姫!」
結構な無茶をしそうだとアキトは翔達に注意を促すのであった。
ーーーーー
アキトを一人街に残して翔達は登山を始める。
「ワイバーンなんてドラゴンの下位互換、ちゃちゃっと片付けて鼻を明かしてやるわ」
依頼書を手にした黒姫は姉の言葉に険しい顔をする。
「ワイバーンの群れだそうです。一匹じゃないですよ?」
「フン、群れだろうが何だろうが変わらないわよ」
余裕な様子の黒鴉に翔も嫌な予感を感じ取る。
「こういう時って大概ろくな事にならないよな?」
「陰気臭い!やる気出しなさい!」
「それは…そうだな。やる気は出そう」
黒鴉の鼓舞に二人は仕方なく乗るのであった。
そんな三人の前にターゲットの飛竜ワイバーンの群れが現れる。
「現れたわね!さっさと退治するわよ!どりゃぁー!」
黒鴉は剣を手にして精霊を早速呼び出して周囲を水で綺麗さっぱり押し流す。
燃費だとか無視した大技に翔と黒姫は唖然としてしまう。
「姉さん、まだ敵はいます。そんな全力ぶっ放しは…」
「細かい事はいいのよ!さっさと片付けるわよ、アンタ達もやる!」
急かされて翔達も武器を手に黒鴉の攻撃で殺気立ったワイバーンの相手をさせられる。
思ってたよりガンガン現れる増援に翔はヒィヒィ言いながら刀を振るう。
「精霊使って一掃しちゃいなさいよ!」
「増援が多いのに大技使えるかよ!」
少しは節約した戦い方をしろと翔は怒るが黒鴉は気兼ね無くガンガン大技を使っていく。
「群れなんてすぐに退治できるわよ」
「姉さん、ちょっとは魔力温存した方が…」
妹からも注意されるが全く気にせず水をバシャバシャ使う黒鴉。そんな事をしていれば当然魔力が尽きて精霊の使役もままならない程に疲弊してしまう。
「まだ来るの…?疲れたんだけど」
「言わんこっちゃない!しっかりしろ」
翔が息切れしている黒鴉を庇うように立ち回る。
「数が多過ぎるのが悪いのよ!」
言い訳をする黒鴉だったが目の前で翔に守られていると気付くとド根性で立ち上がる。
「アンタなんかに守られる私じゃないわ!おりゃー!」
黒鴉は奮起して剣をがむしゃらに振り回しワイバーンを切り落としていく。
「めちゃくちゃしやがる…」
「翔君、姉さんをサポートしてあげてください!」
「わかってる」
黒姫は自分は大丈夫だからと精霊を上手く扱ってナイフ一本で華麗に立ち回り無茶をしている姉を頼むと翔に託すのだった。
翔は二刀流に構えて精霊を同時に呼び出し雷怨に黒鴉の援護をさせる。最初からやれと黒鴉は憤慨するが自分が足を引っ張っている事には気付いていない様子だった。
開戦からワイバーンを一掃するまでは十数分の出来事であった。
「やってやったわ!」
「もうちょっと黒鴉が考えて技を使っていればスマートにいけたと思うんだけどな…」
「勝ったのに文句言うな!」
やり遂げた黒鴉は鼻を高くしているが気疲れした翔と黒姫はやれやれ顔をするのであった。




