ルサン防衛戦
ルサンの防衛に駆り出される翔達一行、酒場で敵が来るのを待ちながら雑談をする。
「さて、自走式爆弾ね、どう戦う?」
アキトが疑問を提唱して翔が答える。
「一度攻撃が止んだ事を踏まえると残弾数に制限がある?」
「かもな、だが悠長なことは言えないな…既に城壁はボロボロだ。あと何発耐えられるか分からないぞ」
確かにと敵の弾切れを待つのは愚策と分からされる。黒鴉が次に意見を出す。
「それじゃあ射出機を直接叩く?」
「それも考えたが敵までの距離が不明だからな…」
「アンタ一人で加速で追っかけれないの?」
加速と言われてアキトはポンと手を打つ。
「それがあったか!どうせなら高速移動薬の方が体力使わなくて楽なんだが」
「自分の手札くらい覚えておきなさいよ!」
指摘を受けてアキトは一人で突貫する事を考える。
黒姫は三人のやり取りを見て難しい顔をする。
「敵の手数がどれだけか分からないのに攻めに転じるのはどうかと思います…」
「確かに黒姫の言う通りね…アキトが抜けたら三人、フルパワー出し続けられるわけでもないし…」
黒鴉は「うーん」と唸る。ちょっと様子見してからでもいいんじゃないかとアキトに言われて兎に角まずは防衛だと四人は頷くのであった。
ーーーーー
敵の出現の報告を受けて翔達は防衛線に急行する。
傷付いた兵達がモンスターと戦っていて翔達はすぐに交代する。
「あとは任せてくれ!」
獣型のモンスター達を翔達が引き受けて一気に先鋒を撃破する。その手際の良さに城壁から兵士達が見ていて舌を巻く。
件のバスケットボール大のコイン型の爆弾が現れ結構な速度で突っ込んでくる。
「来たわよ!…ってやり辛い大きさね!」
四人は武器を手にしつつ一気に精霊も呼び出す。アキトが音頭を取る。
「対爆弾布陣だ。手数を増やすぞ!」
「了解」
手数も増えて突進してくる爆弾を着実に仕留めていく。ダメージを受けた爆弾は煙の様に消滅し跡形も無く消えていく。
「爆破しないってのは本当みたいだな!」
安全ならどんどん倒してしまおうと翔達は走ってくるモンスターと爆弾を処理していく。
「爆弾そのものは大したことないですね」
「油断するな翔、勢いは衰えてないぞ」
アキトの言う通り爆弾は次々と突っ込んできてモンスターもまだまだ来る。精霊による魔力消耗を抑えつつ戦う翔達。
「勢いが落ちるならコッチから攻勢に入れるのにな…」
「今は防衛に注力ですよ!」
ナイフで奮闘する黒姫に叱られてアキトはしゅんとする。
「なにしょぼくれてるのよ!働け働け!」
「ほーい」
アキトは淡々と刀を振るうのであった。
戦闘開始から数十分、モンスターの攻勢が止まり爆弾も手数が減ってきた所でアキトは次の手を考える。
「そろそろ動いていいか?」
「ちゃんと爆弾処理しながら行きなさいよ?」
「勿論!」
アキトが一人飛び出して行き翔達はちゃんと防衛を続けるのであった。
爆弾の来る方向へ加速しながら走るアキト。
(さて、敵は何処かな?)
探しつつ大暴れするアキト、爆弾はまだ来ていると走るのだが突如ピタリと爆弾の出が止まる。
「勘付かれたか…?」
残念ながら追撃出来ないとアキトは諦めるか真っ直ぐ進むかの選択を迫られて今は追撃をしないことにするのだった。
翔達のもとに戻ったアキトはやれやれ顔をして逃げられたと報告する。
「残念ね、弾切れ起こしたのかしら?」
「分からない、だがこちらが陥落してないのは向こうは何かしらの手段で知っていると思われる」
どんな手段で?と全員が考えるが今は不明のまま防衛戦を終えるのであった。
城壁の修繕が進むなかで翔達もその作業を酒場の依頼から手伝う。
「みんな負傷して修繕に割ける人員が足りなかったから助かるよ」
「いえいえ、これも冒険者の仕事ですからー」
黒鴉が営業スマイルを見せて石材とセメントなどの資材の運搬を妹と共に行う。翔とアキトは壁に石を乗せてセメントで塗り固める。
「爆撃に耐えられるかと言われると…だな」
兵士が資材の情勢について嘆く。
「本来はもっと分厚くするのだが資材が足りなくてな…」
「今は緊急の応急処置ですからね…仕方ないですよ」
「援軍が来るまであと一日、頑張って耐えなければ」
連合軍到着まで何とか持ちこたえてみせると兵士達と翔達は誓い合うのであった。
夜襲の警戒に当たるアキトは仁王立ちして敵の攻撃を待つ。兵士も数人出ていて篝火を番する。
「こういうキツいお役目はオトナの仕事ってやつだな」
寝ずの番は肉体的に厳しいだろうとアキトが担う。
「敵が来ないことに越したことはないんだがな」
「昨日は来てないので夜は来ない可能性が…」
「楽観視は出来ないが…もしかして夜は出撃出来ない理由があるとか…?」
アキトは少し考え込むが答えは出ず警戒は続けるのであった。
敵が来ないまま日が昇り始めてアキトはホッとして肩の力を抜く。
「やっぱり何かあるな…監視の夜目が利かないとか…?憶測で考えたくはないがそうだとすると…」
アキトが考え込もうとしたタイミングで城壁の上から敵襲を告げる声が響き渡るのだった。




