小国ルサン
翔達がヌンキを撃破した所で連合軍の二方向からの攻撃が帝国軍を追い詰めていく。翔達は本戦には参戦せずに成り行きを見守る。
唐突な挟撃に帝国軍は混乱しヌンキを突破された事に驚愕する事になる。連合軍は強大な兵器を突破した勢いに乗って攻め立てて帝国軍は河を背に背水の陣で戦うことになる。
「連合軍側もこれは油断できないな」
「あら、アキトは参戦しないの?」
「遅れて参戦、大暴れってのも悪くはないが連合軍側の力も見定めさせてもらわないとな」
人と人の戦争となると翔達は参戦する理由は無いとして傍観を選択する。
兵の数はほぼ互角、破竹の勢い対背水の陣は熾烈を極める。ヌンキを失い士気の低下した帝国軍は次第に押され始めて拮抗していた戦線が崩壊し帝国軍は散り散りに退却を始める。
追撃は最小限に留めて宗教都市マリーナに迫る危機を追い払う事に成功したと勝ち鬨の声を上げる連合軍なのであった。
ヴァルゴの軍に合流した翔達はミリディエムのヌンキを倒した事を賞賛される。
「見事だ、あの無敵と思われたヌンキを少数精鋭で倒してしまうとは…」
「敵が三機だけだった事が幸いしたな。まだ他にも居たのならもっと苦戦しただろうな」
敗北という二文字は無いとアキトは高らかに笑ってみせる。
「流石あの偏屈なタウロスが認めるだけはあるな…」
ヴァルゴは戦地を眺め暫くは安泰だとして翔達に次なる戦地になりそうな場所を予測してくる。
「小国ではあるがここより東方の国ルサンも窮地にある。救援に向かうのだが手伝ってはくれないか?」
「兵器が動いている可能性もある。断る理由は無いな」
アキトは断る理由も無いと翔達の頷きもあり承諾するとヴァルゴから手紙を受け取る。
「我々は軍を整えてから出発する。先に向かってくれ」
「分かった。先に向かうとする」
軍備の整えに時間が必要だと言われて翔達は街に戻り次第馬車を手配してルサンへと向かう事にするのであった。
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マリーナからルサンへは馬車で一日、焼け野原にされてない事を祈りつつ向かう。
黒鴉は険しい顔をして馬車の中で嫌なことを言う。
「ミリディエムだっけ?その兵器に襲い掛かられたら一日と保たないんじゃない?」
「そこは何とか耐え凌いでくれていることを祈るしかあるまい」
アキトはすぐに駆け付けられない歯痒さを口にして黒姫も翔も不安に思うのであった。
「無事…でしょうか」
「大丈夫だと思いたい」
果たしてルサンは無事なのか翔達が到着した時はまだ辛うじて城壁が残っているようであった。
状況の悪さを察した一行はすぐに手紙を手に兵団がいる城の訓練所へ向かう。
「な、なんだね君達は…!」
「援軍さ。はい、手紙」
「これは連合軍の印!しばしお待ちください」
疲弊した兵団は唐突な訪問者に困惑するが連合軍の印のされた手紙を受け取り急ぎ隊長を呼びに行くのであった。
「隊長のピスケスです。しかと手紙を受け取りました。ミリディエム…我々が対峙した兵器の総称ですか…」
「既に交戦したのか」
「何とか一次の攻勢は凌ぎましたがこの有様です…兵は傷付き次の攻勢が来たら長くは保たないでしょう」
ボロボロになった城壁を案内され敵の兵器について話をされる。
「敵は自走式爆弾を特攻させてきます…そしてモンスターも…」
嫌な兵器を想起してアキトはボケた事を言う。
「自走式爆弾…それってもしかしてパンジャンドラム…?」
「それは欠陥珍兵器だろ!」
翔がアキトにツッコミを入れる。珍兵器を知らないピスケスは頭の上にはてなを浮かべつつ説明を続ける。
「火薬も大して積んでなさそうな小型のコイン状の爆弾です、目標地点に到達すると爆破されるようです…」
「推進力も火薬も無いのに爆破…やはりミリディエムの可能性が高いな」
アキトは真面目に分析を開始して敵陣について確認を取る。しかしピスケスは兵団が動けない事を理由に戦闘は困難と伝える。
「こっちから打って出れない以上は攻勢を何とか凌いで援軍を待つしかない…連合軍の装備なら歩いてマリーナからは三日か?一日経っているしあと二日だな」
「二日…確実に敵は攻めてきます…」
ならば俺達の出番だなとアキトは翔の肩を叩く。
「で、でも爆弾相手にどう戦うんですか!?特攻しろってこと?!」
驚く翔にピスケスは補足を入れる。
「爆弾は城壁に到達しなければ爆破しません。なんとか近付く前に破壊出来れば問題はありません」
「ホッ、それなら普通に戦えばいいですね」
安心する翔だがアキトは楽観視しない。
「一次は凌がれた、次はもっと激しく攻め立ててくるだろうよ」
「うへぇ…やっぱりそうなるかぁ」
気の抜けない戦いになるのは確実とアキトに言われてちょっと情けない声を漏らす翔だったが黒鴉に背中を叩かれる。
「負けないわよ!絶対守ってみせるわ!」
「そうだな、情けない事は言えないな!」
翔も頬を叩いて気合いを入れる。
こうして連合軍が合流するまでの二日間、翔達はルサンの防衛に全力を注ぐことを誓うのであった。




